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五百十九話 冒険者の国ヘイムダルト 1 地下迷宮派か天空の塔派かお胸様派か様

「やはりダンジョンといえば基本は地下迷宮……いや、天空の塔っていう勇者装備がありそうなゲームっぽい響きの塔も捨てがたい……」



 港街スプレートを出て十二時間後、船は冒険者の国の王都があるヘイムダルト港にゆっくりと入港していく。


 時刻は朝八時。


 昨日寝る前に水着魔女ラビコに冒険者の国にある地下迷宮か天空の塔、どっちをホームにするか決めておけとか言われ、俺はいまだに悩み答えが出せないでいる。


 冒険者の国ヘイムダルトには何やら二つのダンジョンがあり、これによって国が成り立っているぐらい重要なものらしい。


 そして二つあるがゆえに派閥があり、地下迷宮派か天空の塔派かで別れ結構な争いが毎年起きるそうだ。


 その争いは苛烈で、命に関わるほどのものらしい。



「あっれ~? 社長ってばま~だ決めてないの~? もう着いちゃったよ~ヘイムダルト~ほらほら早く早く~あっはは~」


 二択を振ってきた当の魔女が爆笑しながら俺を小突いてくる。


 あのな、命に関わるような情報は先に教えろよラビコ。目的地に着く前夜にそういえば思い出した、みたいに軽く振ってくんじゃねぇよ。


「どっちのダンジョンをホームに選ぶかで命に関わるとか、そんなすぐに決められるか! もっと情報をくれ、利点や欠点とかさ、地下か塔かの名前だけの二択じゃ決められねーっての!」


 俺が吼えると、猫耳フードをかぶったクロが不思議そうな顔で首を傾げる。


「どうしたんだキング。もしかしてお祭りに参加する気満々なのか?」


 お祭り? 


 いや、それがなクロ、これは命に関わる重要な二択らしい……ってラビコが笑いを堪えきれない吹き出す寸前みたいな顔しているってことは……ああ、まーた俺ラビコにからかわれたのか……。




「にゃっはは! ……地下迷宮か天空の塔かどっちをホームに選ぶかで命に関わるって……それよ、この王都ヘイムダルトが出来たキッカケの話じゃねぇか。千年近く前の話なのに、キングってばラビ姉にいいようにおもちゃにされてンなぁ。まぁ気持ちは分かるぜ、キングって素直でかわいいからなぁ。つい脅してみたくなるっつーか」


 クロさん曰く、ラビコが言ってきたことは遥か昔のお話で、まだ王都が無かった頃のことだそうだ。


 千年ぐらい前、地下迷宮をホームにして稼いでいる集団と天空の塔をホームにしている集団で争いが起き、多くの犠牲者が出たとか。


 その抗争は過激化し長引いたが、とある人物が間に立ち私財を投入。折衷案として二つのダンジョンの中間に街を建設し、大掛かりな組織を立ち上げ、組織が提示するノルマを達成すれば報酬が入るシステムを導入したとか。


 元はどっちが稼げるかっていう、稼ぎの差の小競り合いから始まった抗争らしく、それを今よりもっと安定して稼げますよっていう方法を作り上げ争いを収めたそう。



 その大掛かりな組織が今の冒険者センターで、二つのダンジョンの中間の場所に作った街が今の王都ヘイムダルトだそうだ。


 そしてその争いを負の歴史のままにせず、毎年両者で競う安全なお祭りとして昇華、定着化させ、エネルギーの発散場所としたんだと。


 なんかすげぇ頭良くて交渉上手い奴がいたんだな。


 当時は名もない島だったそうだが、今では国として成り立ち、作った冒険者センターは世界中のどこの国にでも当たり前にある施設になっている。


 一応俺も冒険者センターに登録して冒険者になって上手く異世界でやってこれたが、その人が先駆者として冒険者っていうものを作ってくれたおかげなのか。


 銅像でもあったら頭下げてお礼を言っておこう。



 つか今思い出したが、ラビコって俺が新しいとこ行こうとしたら、いっつもこうやって脅してくんだよな。まんまと毎回怖がる俺も悪いんだろうが。


「あっはは~社長ってばすぐに怖がるからおっもしろくてさ~ついついやっちゃうんだよね~ごめんごめん。ほら社長~おもちゃにした代わりに胸触っていいよ~。ほらほら~いっつもガン見しているラビコさんのお胸さんだよ~触りたいんでしょ~? あっはは~」


 ラビコが謝るフリをして、さらに俺をおもちゃにしてきやがったぞ。


 どうせ俺には触れないでしょ、ってことなんだろうな。


 このクソ魔女……俺だってやるときはやるんだぞ……触っていいのなら触るぞこの野郎! ……しかしラビコってロゼリィほどじゃないが、胸は大きいんだよな。うーん、やはり一番はロゼリィ。次いでアプティ、ラビコ・クロって順番だろうか。


「う~わっ、社長ってば全員の胸の大きさ見比べて、ロゼリィのところで納得して頷いてる~。ちょっとひどくない~その比較~」


「え、わ、私ですか? い、いいですよ。どれほど浮気をしようが、最終的に私のところに帰ってきてくれるのであれば……。なんにせよ、まず告白からお願いしますね」


 え、あれ、俺喋ってた? っかしいな……。


 そしてロゼリィがもじもじ体を揺らし上目遣い。うーん可愛い。しかしロゼリィのいう俺の設定ひどくないか。当たり前に浮気するとか……エロ本さえあれば日々笑顔マンの俺にそんな片鱗ありますかね……?


「……私も胸は大きいです……欲のままにどうぞ、マスター……」


 バニー娘アプティさんが無表情に胸を突き出してくる。いや、すっげぇありがたい提案だが欲のままは犯罪でダメだろ。触りてぇけど。


「あークッソ! ハイラかアンリーナがいないと、こん中じゃアタシが一番胸小さい扱いなのかよ、やってらんねぇ! おい、アタシだって一般的に見たらでけぇんだぞキング! 全員胸出して比べてみっニャフゥ!」


 猫耳フードを揺らしながらクロが上着を脱ぎ始めたので、俺は慌ててクロの頭に手刀を入れる。


 ……もちろん、もちろん迷ったさ。これ放置してたらクロの生のお胸様が拝めるんじゃって……でも今って連絡船を降りようとしているお客さんの列に並んでいる最中なんだよね。


 なんだか揉めている俺たち注目浴びているし。


 結果、二秒ほど迷い手刀。


 クロという尊い犠牲は払ったが、これで新しい国での俺の世間体は守られた。



 今の俺の頭の中は皆さんの想像のお胸様でいっぱいで何をしに来たか忘れ気味だが、さぁ行こう、新たなる国ヘイムダルト!



 ……なんだっけ、俺はお胸様派閥でヘイムダルトは組織的にエロい国だっけ?







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