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五十二話 来年の水着イベントはすごそうだ様


 次の日早朝五時。



 イケメンボイス兄さんに手伝ってもらいつつ、ベス含む四人分のお弁当を作る。



 おにぎりに少し味付け強めの焼きそば、厚焼き玉子に野菜炒め。デザートは兄さんが差し入れだよと、アップルパイを焼いてくれた。飲み物は紅茶にレモンの薄切りを浮かべ、完成。


 大きめのカバンにお弁当を詰め、氷袋を上にかぶせる。バスタオルを宿から数枚借り、あとは現地の海の家で借りることにする。奮発してビーチパラソルを予約しておいた。



 ロゼリィ、ラビコが集合しベスを引き連れいざ、夏の海へ!



「あはは~こりゃあすごいことになってますね~」


「そ、そうですね……水着でよかったです」


 借りたビーチパラソルを砂浜に突き刺し、場所を確保。


 混んでいて端っこしか場所がなかったら嫌だなぁ、と思っていたが海の近くのいい場所が取れた。 


 日焼けは女性の天敵らしく、ロゼリィとラビコはビーチパラソルの下に体を寄せ合うようにしている。ベスが元気に砂浜を走り回っているなぁ。混雑した砂浜で走り回るのは迷惑行為なので、止めるべきなのだろうが、今日はいいんじゃないかな。



 残念ながら水着の女性客はいないな、ちと期待外れだった。というか水着の男もいない。


 砂浜貸し切りとか、俺の財力で出来るとは思っていなかった。


「ビーチパラソル一本、十Gで貸し切りとか、ちょっとすごいよな」


「社長~ほら~パラソルに入って~」


 ラビコがビーチパラソルの前でずぶ濡れ棒立ちになっていた俺を引っ張る。



ザザザザザザザザザン!



 砂浜を激しく叩く水音。波の打ち寄せる音ではない。


 向こうに見える黒い波の音を表現するなら、ドパァァアアアンドドドドド! ズロロローン! だろうか。つか近寄りたくない。



「お弁当濡れちゃいましたけど~社長の手作りなのでいただきましょう~」


「そ、そうですね! お弁当手作りとか感激しました! いただきます!」


 二人が俺が作ったお弁当を開け、食べ始めた。


「ちょっと雨水で水分が多くてあれですけど~さすが社長~濃い目の味付けでちょうどいい感じになっています~」


 ああ、疲れた時は濃い目が美味しいからな。そう味付けた。


「す、少し冷えますね……」


 ロゼリィが俺に体をくっつけてきた。


「あ~それいいね~私も~それ~」


 ラビコも楽しそうに俺に体をくっつけてきた。


 水着の女性二人に両サイドから体を密着され、これぞ夏のイベント発生で本来大喜びするところなのだが。



ザザザザザザザン



 ああ、これ雨の音な。


 黒い雲、吹き荒れる風、滝のように降る雨。


 誰もいないビーチに一本だけ立つパラソル。




「いやぁ~見事に嵐ですな~せっかく美女二人の体にオイルを目隠しで塗ってみようイベントとか~、二人場織でスイカを食べようイベントとか~、ビーチバレーでポロリもあるよイベントとかを~考えていたのですが~また来年ですね~」


 ラビコが俺の頭を撫でながら開催予定だったビックイベントを教えてくれた。


 マジかよ、そんなおいしいイベントがある予定だったのかよ。


「あ、あなたの疲れが溜まっているとのことなので、私も一肌脱ぐ決心をしてきたのですが、残念です……」


 ロ、ロゼリィ、が、脱ぐ。ぜひ、見たかった……。


 結局ご飯だけ食べて、すぐ撤収。



 次の日、なぜか俺一人体調を崩し寝込んだけど、二人の水着姿を間近で見れたのでそれを思い返し、来年のポロリを想像してニヤニヤしていたらロゼリィにちょっと気持ち悪がられましたとさ。



 俺の夏、おしまい。







 

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