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12 異世界転生したらお姫様が集まったんだが

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四百九十四話 お姫様お姫様お姫様 5 異世界転生したら姉妹が出来たんだが様

「ふぁ……ねむ……」



 翌朝六時、宿ジゼリィ=アゼリィ入り口側にある足湯の掃除。基本二十四時間無料で利用可能なのだが、この時間だけは掃除の時間とさせてもらっている。


 なんだか昨日のことで妙に興奮してしまいあまり寝れず、朝五時にはベッドから起き上がった。


 当たり前のようにバニー娘アプティが俺のベッドに潜り込んでいたが、最近はアプティが朝起きて側にいれば安心するようになってしまった。


 アプティ曰く、オレンジの服を来た女性が深夜俺の部屋に侵入を試みてきたとか。すぐにその女性を追い払ってくれたらしいが、こういうことがあるのでアプティは最強の番人としてこれからも俺の側にいて欲しいものだ。


 しかしハイラはパワーあるな。王都から来て疲れていなかったのかね……。



 掃除当番だったアルバイトさんには食堂で休んでもらっているが、昨日からこの宿に来ている御一行については、王都から来た観光客、として話が通っていた。


 さすがにこの国のお姫様御一行が泊まっている、という情報が漏れたらまずいし、スタッフ達を信じていないわけではないが、無用なトラブルは避けたい。


 知られると警備が大変になるし、サーズ姫様達は相当王都でのお仕事を詰めてこのソルートンにやって来たみたいなので、出来たらゆっくり過ごしてもらいたいじゃないか。


 サーズ姫様にはいつもお世話になっているし、王都ではお城の部屋を無償で俺達に貸してくれたりもした。なら今度は俺達がそれを返す番。


 忙しい王都での日々をちょっとの間でいいので忘れてもらって、ソルートンのゆったりと流れる時間をのんびりと笑顔で過ごしてもらいたい。



「よぉし、尊敬するサーズ姫様の為、がんばるぞ」


「ほう、君に尊敬されていたとは嬉しいな、はは。ああ、この足湯というのはもう使ってもいいのかな?」


 俺は掃除を終え道具を片付けていると、足湯に座っている女性のすっと綺麗な足が見えた。げ、サーズ姫様……なんでこんな朝早くに……。

 俺がどうぞ、と頭を下げると、サーズ姫様が綺麗な素足を足湯に入れる。


「これが噂に聞いていた足湯か。王都のカフェジゼリィ=アゼリィにはない、ここ独自の施設。どれ……ほぅ、これはこれは……足だけ温泉に入るというものがどういうものなのか、本当に興味があったのだが、これはいいものだな。しかも無料で展開しているとは相変わらず君は策士だな。足湯を楽しんだら思わず宿に入ってご飯でも、と連想してしまうぞ、はは」


 するとすぐにほうっと息を漏らし満足そうに笑顔を見せてくる。気に入ってくれたようで何よりです。

 


 昨日の部屋騒動。キチンと宿の部屋を三人それぞれに用意し、そこで寝てもらった。


 サーズ姫様が俺の部屋がいいとか言ってきて焦ったが、初日は大人しく従おうと引き下がってくれた。初日は、か……。



「おはようございますサーズ姫様。お早いんですね、旅の疲れとかは大丈夫なのでしょうか」


「王都ではいつもこの時間には鍛錬で体を動かしているよ。せっかく休暇でソルートンに来たのだから休もうと思ったのだが、体のリズムはそうすぐには変えられないものだな、はは」


 俺は足湯を楽しむサーズ姫様の横にすっと立ち、その美しく長い素足を気が付かれないようにじーっと見る。滅多に見れないサーズ姫様の生足、もう目に焼き付いても構わん。


「はは、君は女性の体なんて見慣れ過ぎているんじゃないのか? それなのに随分と熱心に私の足を見てくるのだな」


 サーズ姫様が俺の顔を見上げ、ニヤニヤ笑いながらワザと足を組み替えたりしてくる。おおおおお……! すっげ、すっげぇ! エロいよ、エロすぎるよサーズ姫様の生足……はぁはぁ。気が付かれているし遊ばれているが、構わずGO。


 俺が女性の体を見慣れている? ラビコの水着姿だったりアプティのバニー姿だったり、それはまぁ毎日見ていますが、見れるものは全部見たいし、夜の一人感謝祭用のストックはいつでも無限に募集中です。


「ふむ、これだけ食いついてくれるとこちらも楽しくなってくるな。ラビィコールがよく君で遊んでいるが、気持ちが分かってきたぞ、はは」


 サーズ姫様が悪い顔で笑い、昨日と同じ服のスカート部分をめくりあげ……


「おいこら~! こんのクソ変態~! 勝手に人の男を誘惑してんじゃねぇよ!」


 もうちょっとでサーズ姫様のエデンが見えるというところで、後ろから怒号。ち、ラビコか、もうちょっとだったのに……。


「これはこれは。滅多に朝早く起きてくることがない、わがまま魔女ラビィコールではないか。好きな男を自分の体を使って誘って何が悪いのだ? 人の男? 彼は二十歳まではフリーだと聞いたが、違ったかな?」


 スカートから手を離し、サーズ姫様がラビコを笑顔で睨む。ああ……滅多に見れないサーズ姫様のエデンチャンス終了……。


「うっせ~、こういうことがあるから変態姫がいるあいだは何時だろうが監視するんだっての~。だいたいさ~私が毎日水着姿見せてあげてんのに、な~んでちょっとしか見えない変態の足で興奮してんのさ~!」


 あのな、誤解のないように言うが、俺はラビコの水着姿で毎日興奮しているぞ。そこは保証しよう。ネタのご提供マジ助かる。


 だが、普段隠れているものが何かの拍子でチラっと見えることと、露出の多い肌を見て楽しむ水着は全く別。エロい点は共通。



 怒ってラビコが俺に突撃してくるが、そこでふと気付く。朝六時半頃とはいえ、宿の前の街道を歩いているソルートン民が何人かいて、騒いでいる俺達をチラチラ見てくる。


 まぁラビコは有名人なのもあるが、お綺麗な女性二人が騒いでいたらそりゃあ見るか。そしてその注目されているタイミングで俺達がサーズ姫様、と呼んだら……。


「ラビコ、お忍びで来ているサーズ姫様の呼称を変えよう。さすがにペルセフォス国内でサーズ姫様、の名前は有名すぎる」


 わざわざサーズ姫様御一行は帰りました、なんてパフォーマンスまでやったってのに、俺達が「サーズ姫様」と呼んでいたらお忍びの意味がない。怒るラビコをなだめサーズ姫様を見る。


「……あ~そういえば。じゃあみんな「変態」で統一すればいいんじゃない~? あっはは~」


 俺の提案にラビコがゲラゲラ笑いながら言うが、そう呼べるのは付き合いも長く仲の良いお前だけだっての。俺達がサーズ姫様をそんなふうに呼べるか!


「呼称? ああ、私だと気付かれないように、か。すまないな、迷惑をかける。そうだな……君は普通に私のことをサーズ、と呼んでくれて構わないぞ。どうせ数年後、そう呼び合う関係になるのだし、はは」


 サーズ姫様……本当に意味分かっていますかね……あなたの本名を呼んだら注目が集まるから変えようと言っているのに……いや、ニヤニヤ悪い顔だし、冗談で言っているのか。



 掃除が終わった足湯に三人浸かり思案。


「何がいいかなぁ……でもサーズ姫様はサーズ姫様だしなぁ」


 あだ名的な何かってもな、うーん。



「おはようございまふぅ……もう、何なんですか先生、あの恐ろしいバニー女は……。あ、これが噂の足湯ですか。ふんふん、これはいいですねぇ、顔がホワーっとなってしまいますぅ」


 うんうん唸っていたら、女性版オレンジジャージを着たハイラが眠そうな顔で登場。そういや深夜、俺の部屋に侵入しようとしてアプティに追い返されたんだっけ。


 ハイラは今年の代表騎士であるウェントスリッターになってそこそこ有名だけど、まぁ、ハイラは「ハイラ」で大丈夫だろ。俺の横にいれば、同じオレンジジャージ着た女性がいるなぁ、ぐらいにしか思われないだろうし。なんとなく兄妹に見えないすかね。


 ああ、ハイラって確か十九歳で年上なんだが、なんとなく妹っぽいんだよな、言動が。妹……ふむ、この路線でいってみるか。



「じゃあこういうのはどうでしょう。お二人は久しぶりに俺の様子を見に来た親戚っていうのは。ハイラが親戚の妹でサーズ姫様がお姉さんって設定で……」


「ほう! 君のお姉さん、いいぞいいぞ……それはとても興奮するワードだ。そうか、私は君の姉だものな、それなら君の部屋で寝泊まりするのが自然だ。うんうん、なにせお姉さんなのだからな! はは」


「妹! なるほど、それなら妹が兄である先生に甘えるのは当然ですよね! それ最高の設定じゃないですか、甘え放題抱きつき放題……ああ、もちろん寝るときも一緒のベッドで、兄妹なんだから当然裸で……お風呂も……! ……!」


 俺の提案に二人が尋常じゃない喰い付き。


 ハイラさんよ、兄妹なら裸で一緒のベッドで寝るとかむしろ無ぇだろ。


 やべぇ……この設定チョイスはミスだったか。自分から二人のおかしな行動に免罪符を与えてしまった系……。でもまぁ、ただの王都からの観光客を特別扱いしているのはおかしい、と宿の事情を知らされていないスタッフへのアンサーとしては「俺の親戚だから」の設定が楽なんだよな。



「あの、僕は?」


 俺の提案にサーズ姫様とハイラが妙な想像で変なテンションになる中、いつのまにかもう一人の王都からの観光客、アーリーガルが不安そうな顔で背後に立っていた。


 いつからいたんだよお前……! さすがペルセフォスで一番と言われる隠密、気配を消すのは世界レベルかよ。


 これ以上余計な設定付けたキャラ増えられても対処に困る。


 何の設定も無しキャラ、アーリーガル。それでいいだろ。なんか普通にそこにいるけど、男のことなんて紳士諸君も細かく興味ないだろ?



 お前はお前の名前を誇れ。







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