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四十七話 俺の異世界未来予想図様


 王都には学校があって、将来有望な人が集まるそうな。 


 でも学校に入るには難度の高い入試を突破出来る頭とヘビーな学費が払えるお金が必要と。


 

 なんだか異世界だってのに、夢がねぇなぁ。




「金無し才能無し本人クッソ弱~あっははは~」



 これ、怒っていいよな? さすがに怒っても、いいよな? すげーリズムよく言われたけど、怒っていいよな?


「もう、ラビコ。あんまりからかっちゃだめですよ。大丈夫です。キャンプ場で私を助けようと行動したあなたの勇気は、私がちゃんと受け止めましたから」


 ロゼリィが優しく微笑んでくれた。なんていい子なんだ。


「強くなくたっていいんです。あなたの勇気や才能は宿屋で発揮すればいいんです。危険な冒険者なんてやめて、とある宿屋で婿としてやっていく道があなたには一番合っています。うふふ」


 ん? 今、危険な笑いを感じたが。


「ちょっと~勝手に社長を宿屋の跡継ぎにしないでよ~。社長にはもっと私の周りでウロウロしてもらって~才能のある人を引き寄せてもらうんだから~こんなにいいエサ滅多にいないんだし~!」


 エ、エサ? 俺エサなの!? なんか以前、王の力がなんとかって言ってなかった? エサに格下げなの?



「ちぇー結局金と才能かぁ。どっちも持ってないわ。こりゃーさっさと定職就いたほうがよさそうかぁ」


 異世界に来たからには日本にいたんじゃ絶対出来ないことやってみたかったけど、結局定職探しで終わりそう。はーあ。


「ではすぐに行動しましょう。お父さんに言ってあなたを正式に雇って貰えるようにしてきます。お給料はうち、高いですよ? 儲かっていますし!」


 ロゼリィの宿屋かぁ、まぁここご飯美味しいし居心地いいしなぁ。それでもいいのかなぁ……。


「まぁまぁ社長~それはいつでも出来るからぁ~まずは今までの私のお給料を支払ってもらいたいな~。え? 払えない? ならしょうがないな~借金返すために私の奴隷になって~未来永劫タダ働きだね~あっはは~」


 う、しまった。そういやラビコって俺の部下なんだっけ。


 多分どうやったって払える額じゃねぇだろ。




「二人共待ってくれ、定職の話はもうちょっと考えさせてくれ。とりあえず俺はこの世界を巡ってみたいと思う。俺はこの世界のことを知らなさ過ぎるんだ、だから多くのものを見て視野を広げたい。この歴史の本を読んでみたが、あまりに情報が少ない。俺はこの世界のことが知りたいんだ。まずは情報を得て、動くならそれからだ」


 攻略サイト無しとかキツ過ぎだろ、この異世界。


 何か二人が目を丸くして俺を見ている。なんだ、変なこと言ったか?


「や、やっぱりあなたはすごいです! 料理のアイデア一つも他の人とは違うし、この地方には無い材料を平気で組み合わせて美味しい物作ったり。もう考え方がすごい、この港街だけではなく世界を相手にしようとしているんですね。すごいです……惚れ直しました!」


 ロゼリィがものすごい笑顔で抱きついて来た。いや、だから情報無いと攻略できねーだろ。


 異世界だぞ? なんも知らないんだって。


「ふふ~ん? この本は世界の大まかな歴史が書かれたものだけど~一般人には十分な知識だと思うよ~? これ以上となると、それこそ王都の学校や他の国の学校、各地の専門家にでも学ばないと手に入らない知識かなぁ。なんだい、社長は世界の王にでもなるつもりかい~? ふふふふっいいね~ちょっとゾクってきたよ~。野心の強い男は好きさ~それもとびっきりデカイときたか~」


 ラビコが俺が読んでいた本をパラパラとめくり、ニヤァと魔女の笑顔。


「この本を読んで十分だ、じゃなく~これじゃあ情報が少ないって発想がすごいね~。世界のことを知りたい、か~そんなこと言う人初めて見たよ~。自分がいるここが世界だ、っていう狭い視野じゃなくて、広い世界を見てそこに自分がいるって発想だねぇ」


「そうだなぁ、出来たら俯瞰で見たい。画面をたくさん並べて情報をいっぱい表示したい」


 ゲームやるなら二画面以上が有利だし、上から視点のほうが周りが見える。


「あっははは~社長って時々変な言葉を使うな~でもそれ真理だねぇ。画面を並べる? ようするに目で見て~焦点の合った物を一つだけ脳に伝えるんじゃなく~、何個も同時に焦点を合わせて~それ全てを脳で認識し~それぞれを追う。そしてそれらを上から見ているような広~い視野を持つのかい? 人間が目で追える物は二個の目でやっと一つだってのに~社長の考え方って桁外れだよ~あっははは」


 ラビコも俺に抱きついて来た。両方からは、俺の紳士でいれるメーターの針が吹き飛びそうです。


「面白いなぁ~社長は面白いな~今まで会ったつまらない男達とは全然違うなぁ~んふふ~。お金が無いのがあれだけど~そこは私が稼いでいるし~大丈夫さ~」

 

 何が大丈夫なんだ。





 とりあえず俺の将来の選択肢は、ご飯の美味しい宿屋の婿か、キャベツの大魔法使いの使いっぱ、の二択らしい。










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