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11 異世界転生したら森の民がいたんだが

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四百六十六話 水の国オーズレイク 2 大国大都会と対岸王都様

「では時間も時間なので、すぐに宿を探しましょう」


 天井の高い巨大な駅、王都オーズレイク。


 魔晶列車を降り駅を見渡すが、本当にペルセフォス並に金のかかった施設。アンリーナが慣れた感じで地図を広げ、泊まれる場所を探し始めた。


 さすが頼りになるぜ、アンリーナ。初めて来るし、俺は全く地理が分からん。



「す、すごい混雑しているな……」


 駅舎内は人で溢れ、地元の人と俺達のような観光客でごった返している。


「ま~ナイアシュートが開催されるから、それ目当ての観光客が集まっているからね~。ってか私達もその一部ってやつさ~あっはは~」


 愛犬を抱えて人の多さに驚いていたら、水着魔女ラビコが右腕に絡みながら笑う。ナイアシュート? それがアンリーナがしきりに言っている、刺激的でダイナミックなイベントってやつなのか?



「うわ……なんだここ……大都会じゃねぇか!」


 ラビコとアンリーナに先導されオーズレイク駅を出ると、そこには巨大な建物が立ち並び、どこを見ても人人人……。ペルセフォス王都もこんな感じだったが、午前中までいた花の国フルフローラの王都と比較してしまって、あまりの違いに声が出てしまった。


「あっはは~だろだろ~? 花の国の王都は田舎王都って言われるのが分かるだろ~?」


 くっ……すいませんローベルト様、ラビコの言葉に何も言い返せない弱い自分がいます……。


 駅前に大型商業施設が数個並び、夜十八時ということで魔晶石ランプの街灯が点いているのだが、その明るさが今まで見た中で一番鮮明で明るい。

 

 道路も広く、デコボコが一切ない平坦な石が敷き詰められている。


「ふぁ……」


 ロゼリィも王都オーズレイクの施設の充実度に驚き、口を開けて言葉を失っている。


「……マスター、ここは紅茶の香りがしません……騒がしいし、私は花の国のほうが好きです……」


 今は耳無しバニー娘アプティが無表情ながらつまらなそうに言う。そ、そうだよな! フルフローラは紅茶が最高だったよな! 初めて行ったのに故郷って感じでのんびりしていたし、ローベルト様の人柄が俺は大好きだし! 


 うーん、ここと比べられるフルフローラはちょっと酷って話だぜ……。オーズレイクの比較対象は、同格クラスのペルセフォスだな……。


「にゃっはは、さすがオーズレイクだぜ。魔法の国セレスティアも大国とは言われるがよぉ、設備はオーズレイクのほうが絶対いいな。な、キング」


 猫耳フードを深くかぶったクロが自国であるセレスティアを引き合いに出すが、セレスティアは規模大きいし人口は多かったけど、確かに建物とか施設の充実度はペルセフォスとオーズレイクのほうが上かな。


 セレスティアは古い大きな建物が多かったイメージ。


「セレスティアが大国って言われるのは住みやすさとか設備の話じゃなくて~歴史の古さと、蒸気モンスターに対して絶対的な力となる魔法能力の高さ、だからね~」


 クロの話にラビコが注釈をつける。ほう、セレスティアは結構古い国なのか。



「さぁさぁ皆さん、お話しは後にして、まずは泊まる場所ですわよ。せっかく水の国オーズレイクに来たのです、ここなんてどうでしょう」


 地図とにらめっこしていた商売人アンリーナが、駅でもらってきたっぽいパンフレットを見せてくる。


「ホテルガーベルメッサ。いわゆる高級ホテルなのですが、ここのレイクビューは最高なのです。今回は私のお仕事の一環で来ていますので、お代は我がローズ=ハイドランジェにお任せ下さい」


 高級ホテル。チラとアンリーナの持っているパンフを見ると、そのレイクビューが楽しめる部屋が載っていて、お一人三百G……日本感覚三万円……た、たけぇ! 


「い、いいのかアンリーナ……お高いとこなんじゃ……」


「はい、構いませんわ。皆様には私のわがままで来る予定の無かったオーズレイクにまで来ていただいております。それにイベントを見終わったあと、興奮した師匠と繰り広げられる愛の劇場にふさわしい場所は確保しておかねばなりません。火照りが収まらない師匠が我慢出来ずに野外で……もワイルドでいいのですが、出来ましたら良き思い出になるよう素晴らしいステージを……」


 アンリーナの声ってさ、すげぇよく通る声なんだよね。駅前で大混雑の状況でそういう内容のセリフはやめてくれないかな……近くの人がすげぇ俺を見てくるんだ……。



 話長そうだし、ラビコに湖の話を聞いてみるか。


「その、事前に聞いていた話だったり、今もホテルのレイクビューが楽しめる部屋とか書いてあるけど、その肝心の湖ってどこにあるんだ?」


 聞いた話では、湖に浮かぶような都市とか聞いていたんだが、着いてみたら普通の陸地にある大都会なんだが。


「あ~ここは対岸王都だからね~。社長が言っているのは島王都かな~」


 ラビコがホテルのほうに歩き出しながら言う。対岸? 島? どういうこった。


「アンリーナが言うホテルに近付いたら分かるさ~。お腹空いたし、ホテル取って夕飯にしようよ社長~」


「あ、わ、私もお腹空きました……あとお風呂に……」


 ラビコとそのあとのロゼリィに言われて思い出したが、夕飯食ってねぇな。お風呂にも入りたい。ホテルなら両方あるかな? それともせっかく水の国オーズレイクに来たんだ、外に繰り出して現地で人気のお店に行くか。さてどうしよう。


「アタシも腹減ったぁ……キング、飯ぃ。さすがにここは花びら飯はねぇよな?」


 猫耳フードを深くかぶったクロがヨロヨロと体を寄せてきたが、フルフローラの花びらスープがよっぽど合わなかったみたいだな、クロ。


 いや、誤解の無いように言うが、俺もそんなに好きな食い物じゃなかったぞ。なぜか六人分食ったけど。


「確かにお腹が空きましたわね……分かりました! ではまずホテルを確保しまして、水の国オーズレイクで人気の夜のお店に繰り出すとしましょう!」


 あれ、アンリーナがいつの間にか正気に戻っていた。


 そしてまたよく通る声で「夜のお店」に繰り出すとか、誤解を与えかねん言葉を選ばないでくれ……。






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