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四百六十四話 アンリーナのソロ公演とバニー耳集音男様

「綺麗だったなぁ、ロゼオフルールガーデン。また来てもいいな」


 午前十時発の魔晶列車に乗り、俺達は花の国フルフローラを後にした。


 いつものごとく、列車最後尾のロイヤル部屋を確保。この部屋タイプのスペースに乗り慣れると、いくら高額だろうがここを確保してしまう。ああ、すまんが金ならあるんだ。



「綺麗は綺麗でした……しかし本来の目的だった、ムーディーな雰囲気に背中を押してもらい、師匠と若さゆえに欲のままに抱き合うことが出来ず残念な結果となりました……」


 大きなキャスケット帽をかぶった商売人アンリーナが肩を落とし、大げさに溜息をつく。


 どんな目標掲げていたんだアンリーナは。


「……とまぁそれは冗談としまして、ロゼオフルールガーデンの光る桜を現在進行中のアイランド計画に導入出来ないかと見に行ったのですが、やはり無理そうでした……」


 アイランド計画? そういやそんなことずっと言っているな。ローズ=ハイドランジェが世界で初めての事業に乗り出したとかなんとかだっけ。


「事前に調べてもいたのですが、一応現地でローベルト様にお聞きいたしました。あの光る桜を数本譲っていただけないか、と。それ自体は了承してくださったのですが、あの桜はロゼオフルールガーデン以外の場所で光ることはないそうです。昔、友好の印として他国に贈ったことがあるそうですが、その桜は光ること無く、すぐに枯れてしまったそうです」


 ……まぁ今朝ローベルト様から聞いた話を当てはめると、あの桜はあの場所でしか光ることはないだろうな。人の想いが宿るとか、そういう計ることの出来ない不思議な現象だろうし。


「愛し合う二人が手を握り、永遠の愛を誓う豪華なステージ……その脇を彩る桜計画は先延ばしですわね……」


「……よく分かんねーが、桜自体が光らなくても、普通にライトアップすればいいんじゃねぇの。ランプに色とかつけて派手にしたり」


 何をしようとしているかは知らんが、イルミネーションとまではいかないけど、色つけた魔晶石ランプとかで照らして簡易版、って感じのやつなら出来るんじゃ。


「魔晶石ランプに色をつける……! なるほど、なるほどですわ! 覆うガラスに色をつければ……それいいですわね! さすが師匠です、発想が柔軟ですわ」


 アンリーナがメモ帳にガリガリと書き込む。


「ところでこの後どこに行くんだ? 水の国……だっけ。俺、全然知らないんだけど」


 早朝ローベルト様と墓地で会話をした後、お城に借りている部屋に戻るとアンリーナがパンフレット片手に熱弁を始めたんだよな。


 フルフローラでの目的だった光る桜も見れたし、カフェの話もアンリーナ側が話を進めると決まった。これにて気分転換観光は終了でソルートンに帰ろうかと思ったのだが、アンリーナがここまで来たのですから西にある水の国に行きましょうと言い出した。


「はい師匠、せっかく花の国フルフローラまで来たのです。ならばすぐ隣にある水の国に行くべきなのですわ! 我がアイランド計画でぜひ参考にし導入したいと思っている、刺激的でダイナミックなあのイベントがもうすぐ開かれるのです!」


 刺激的でダイナミックですか。てっきりアンリーナのことだから、ムーディーがどうたらかと思ったが、今回は派手系なのか。それはちょっと楽しみだぞ。


「溜められたものが一気に噴き上がり、天空で花開くあの勇壮で豪快な感じ。そのワイルドな風景は、思わず愛する二人が欲のまま野性的に体を求めてしまうような大変刺激的……」

 

 熱く語るアンリーナを無視して手に持っているパンフレットをちら見するが、どうにも湖で開かれるイベントっぽいな。


 そしてどこからでも愛する二人が抱き合う系の話に持っていけるアンリーナさんって、私欲プレゼン能力半端ねぇ。



「ラビコ、水の国ってどういうところなんだ?」


 アンリーナが一人二役で若い男女がエロティックな仕草で抱き合う熱演を始めてしまったので、俺はこのR-15公演を見限り次の情報源を当たることにした。


「あっはは~見て見て社長~、アンリーナが面白いことになっているよ~って水の国~? え~とそうだな~国土のほとんどが池と沼と湖で~人口も少なく発展のしようも無い寂れた国だったんだけど~それが幸いしたのか蒸気モンスターに攻め入られることもほとんどなく~立地上、生活の為に船が必要だったから細々と船を作っていたら造船業が大成功して~今ではセレスティア、ペルセフォスに並ぶ大国にまでのし上がった国かな~、ってあっはは~すっご、すっご~あれ絶対舌入ってるって~」


 ラビコがアンリーナの一人ラブロマンス劇場を見てゲラゲラ笑いながら答えてくれたが、国土のほとんどが湖とかの国か。造船業、それって相当の技術大国ってことなんじゃ。


 ってちょっと待て、舌が入っている……だと? どんな一人演技したらそんな表現出来んだよ。これはエロチャンス! 水の国の話なんてあとあと、じっくり眺めて今宵の一人ハッスル演舞の肴にさせてもらおう。


「……と、そこに師匠がこうして腰に手を回し、逃げられない状態で首を……」


「あ……はぁっ……ア、アンリーナさんやめ……ああっ」


 俺が残像が見える速度で振り返るも、アンリーナの舌が入っているという一人寸劇は終わっていて、ロゼリィ捕まえてアンリーナが男役でねっとり視線でロゼリィの首筋を舐めるというドエロコントが展開されていた。


 す、素晴らしい! これぞ俺が見たかった世界! 


 アンリーナがベッドに立ち膝をし高さを出し男役、ロゼリィが落とされる寸前の女性役ってところだろうか。


 す、すごい……すごいぞこれ! ナイスだアンリーナ! ロゼリィの悶える声なんて滅多に聞けるもんじゃないぞ! ええいカメラ……ってこっちの世界のカメラには動画撮影機能すらねぇのかよ……使えねぇ!


 くそっ……一言たりとも聞き逃しちゃイカン。ロゼリィのエロい声は全て俺脳内アーカイブに永久保存しプロテクト。いつどこでも脳内再生出来るように設定だ。


「にゃっはは! おもしれぇ、いいぞアンリーナ! キングもヨダレたらして見入るぐらいだぜ!」


 あーくそ、クロがテーブルばんばん叩くもんだからロゼリィの声が聞き取りにくい……ちぃ……そうだ、そういやアプティから譲り受けたバニー耳があった。あれを装備すればプライドと引き換えに集音能力が一時的に爆発上昇するって俺の脳内ヘルプに書いてある……いざっ! (錯乱)


「……あ……マスター……素敵です……やっぱり結婚なんですね……耳をつけてくれたということは、私とマスターは結婚なんです……」


 バニー耳つけて真剣にロゼリィの声を聞き取ろうとしていたら、今は耳無しバニー娘アプティが無表情ながらもトロンとした顔ですり寄ってきた。


 は? 耳をつけたから結婚? 何言ってんだこのバニー娘は。俺はロゼリィの貴重なエロボイスを永久アーカイブ化してぇだけだっての。


「あっはは! すっごすっご~こっちもおっもしろいことになってる~! 何社長バニー耳つけてんのさ~頭イカレたの~? あっはは~!」


 ラビコがバニー耳集音状態の俺に体をすり寄せてくるアプティを見て爆笑。



 ああ……聞こえねぇ……聞こえねぇよロゼリィのハニーボイスが……バニー耳つけたら余計な雑音が聞こえるようになっただけじゃねぇか。



 ──いつか来るであろう紳士達への異世界教訓──


 ・バニー耳に集音能力は、無い。








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バニー耳に集音機能!? ドンキーいかなきゃ!
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