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【書籍化&コミカライズ!】異世界転生したら愛犬ベスのほうが強かったんだが ~職業街の人でも出来る宿屋経営と街の守り方~【WEB版】  作者: 影木とふ「ベスつよ」②巻発売中!
10 異世界転生したら島で暮らすことになったんだが

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四百四十八話 エデンからの脱出 8 この島こそ俺が求めるエデンだった件様

「ふふ、やっぱり帰っちゃうのか、残念。もうちょっとだったんだけどな」


 大人しくしていた銀の妖狐が俺とラビコの話が終わったと判断したようで、とても残念そうに言う。もうちょっとってなんだよ。



 気が付いたら来ていた銀の妖狐の島。


 朝目覚めたら普通にアプティがいて愛犬ベスがいて、部屋もソルートンの俺の部屋と同じだったから最初は疑問に思わなかったが、部屋を出たらそこは全く知らない建物。


 まさか銀の妖狐が俺に気に入ってもらおうと、宿ジゼリィ=アゼリィそっくりな建物を自分の島に作っていたとは驚いた。まだ途中だったらしく、二階の俺の部屋はほぼ完璧、しかし廊下、階段、一階の食堂は未完成だった。


 だがその食堂で出てきた料理は完璧で、ジゼリィ=アゼリィの神の料理人、イケボ兄さんの作る料理そのまんまだった。


 料理人はランディーネさんといい、頻繁にソルートンのジゼリィ=アゼリィに通ってイケボ兄さんの料理を覚えたそうだ。


 ……この人、じゃなくて蒸気モンスターの女性をマジで宿で雇いたい。まぁ無理だろうけど。


 島では果樹園や畑にお土産工場があり、商品としてそれらを売って人間のお金を得ているとか。そしてそのお金でアンリーナのお店等で命を繋ぐ魔晶石を買うというサイクルが出来上がっていた。


 今までは人間を襲い奪っていたことを考えればとても素晴らしい方針転換なのだが、銀の妖狐は俺に嫌われないためにやっているだけで、人間と仲良くする気はどうにも無さそう。



「え、ご主人様帰っちゃうんですか!? 私、初めて人間を好きになったのにぃ」


 短い浴衣みたいな服を着たメイド二十人衆の一人、短め目の髪の元気っ子ドロシーが目を白黒させて驚き、俺の側まで来てジャージの裾をつかんでくる。


「あ……帰られてしまうのですね……残念です。ご主人様からはもっと人間の文化を学びたかったです。明日からは……寂しくなってしまいますね……」


 メイド二十人衆のリーダー的な女性、アーデルニさんが悲しそうな目で近付いてくる。その二人の行動を見た他の十八人も駆け寄ってきて、俺の腕やら背中やらをツンツン突いてくる。く、くすぐったい。


「また……来て下さいますか……? お部屋の管理は私達がしっかりいたします。ですが、主人のいない部屋をいつまでも守るのは心が持ちそうにありません……」


 ちょ、アーデルニさんが上目遣いで涙目なんですけど……ざ、罪悪感……。い、いや、俺はソルートンに帰る。みんなが待ってくれているソルートンに帰るんだ。


「ごめんな……部屋の管理を頼むよ。いつになるかは分からないけど、また来る……かもしれないし。ごめんな、みんな」


 俺は周りを囲んで悲しそうな目をしているメイド二十人衆全員の頭を優しく撫でる。


 その異様な光景を見たラビコが、「始まったよ……どうやったらこんな短期間でここまで女を侍らせられるんだか」と大げさに溜息。



「そう、そうだよね。君は優しいから、またきっとこの島に来てくれるよね? これだけの女性を悲しませることは君には出来ない、よね?」


 ちょっとした青春映画のエンディングシーンみたいな感動の空間に、銀の妖狐がキモい動きで割り入ってきて俺の手をつかんでくる。握手はいいけど、擦るように触るのはやめて。


「見ての通り、君を迎え入れる施設はまだ未完成でね。本来は全てを完璧に揃えてから、満を持して君を迎え入れる予定だったんだけど、火の種族が動いたんで今回はイレギュラーだったんだ。大丈夫、次までにはもっと工事を進めておくからね。君が住む建物、遊具施設、公園、あと君が大好きな女性の裸の本がいっぱい売っているお店を作って、そこに君というピースが入ってこの島は完成となるんだ」


 確かに部屋は出来ていたが、他の施設はまだ未完成だったな。


 つかメイドのみんなには悪いが、あんまり来たくないんだけど……ってちょっと待って。俺が大好きな女性の裸の本がいっぱい売っているお店……だ……と? 


「ふふ、楽しみだなぁ。今回は先行お披露目で、次こそは君が最大の満足を得られる島にしておくよ。大丈夫、ここは君の新たな故郷。いつでもこの島に帰っておいで。僕はずっと待っているよ。そう、君の帰ってくる場所はこの僕が守るんだ」


 すげぇいいこと言っている風だけど、男のお前に一番言われたくないセリフなんだけど。


 ──出来たらこの島にはあまり来たくはない。しかし俺にはどうしても確認しなければならない事案が出来た。それによってはこの島に再度、自ら足を運ぶかもしれない。


「……その、本のお店なんだけどさ……どういうラインナップなんだろうか。未成年でも入れる感じ? 店番の人は男性? 出来たら無人販売とかだと買いやすいんだけど……」


 俺は我慢出来ずに銀の妖狐に小声で耳打ち。絶対来るってわけじゃないぞ。情報、まずは事前に情報は欲しいじゃないか。例えば、参考に、後学の為に判断材料としてってやつだ。


「ふふ、もちろん君好みの物を世界各地から仕入れてこようじゃないか。ああ、ついでに僕の魅力が詰まった全てが惜しみなく見える本も出版……」


「さて、帰るわ。とりあえずお世話になった分のお金はこんなんでいいかな」


 俺はさっと頭を切り替え、ポケットから宿代、ご飯代、温泉代の大雑把な金額を払う。


「ちょ、も、もちろん冗談だよ。あと、君からお金は受け取れないし、君は何か大きな勘違いをしていると思うんだ」


 帰ろうとした俺を銀の妖狐が慌てて止めてくる。なんだよ、お前の裸満載の本なんていらねぇっての。アプティとかメイド二十人衆全員の、だったら震えるぐらい欲しいけど。


 勘違い? 一体なんの話だ。


「いいかい、ここは僕の島なんだよ。この島では人間が決めたルールなんて適用されない。ここは力こそ正義で成り立っているんだ。今までは僕がトップだったんだけど、君がこの島に来れば君がナンバーワン。つまり、君が決めたルールに皆が従う」


 ……この島では人間が決めたルールは適用されない。俺が決めたルールに皆が従う……だ、と? つ、つまりどういうことだってばよ。


「もう気が付いているよね。そう、ここには未成年なんて人間が決めたルールはないんだ。この島でなら、君は何の規則に縛られること無く、本能の赴くままに本を買える。そう、この島では君は囚われのカゴから出て、大空に解き放たれた鳥のように自由に飛び回ることが出来るんだ」


「──!!!!」


 未成年。そう、それは異世界だろうが俺の心を理不尽に縛り上げる言葉。


 だがここは銀の妖狐の、蒸気モンスターの島。人間の決めたルールなんてありはしない。そうか、この島こそ俺が全てのしがらみから解き放たれ、欲のままに自由に本来の俺を取り戻せるエデン……! 俺が求める異世界がここに……!


「制服物、南国で撮影しましたシリーズなんかがいいかな。お金ならあるから、結構種類揃えてくれるとありがたいな。あ、あとは、む、無修正の……いってぇぇえ!!」


「いい加減にしろ万年童貞! 本じゃなくて周りの女に目を向けろっての!」


 俺が銀の妖狐の男の心意気に感謝し、一筋の美しい涙を流し饒舌に好みのジャンルを伝えていたら、背後からソルートンの鬼と見紛う怒りのオーラを纏った水着魔女に杖で殴られた。



 万年童貞とか酷い言われようだが、制服とか水着の写真集って意味で言ったんだぞ俺は。無修正は画像加工ソフトを一切使っていない天然のって意味で、エロい意味ではないっての。


 この異世界に画像加工ソフトなんてないだろうけど。


 ん? ってことはこの異世界で売っているエロ本は全て見えている可能性が急浮上。


 ──やはり俺は近日中にこの島へ自らの足で訪れなければならないのかもしれない。







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