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四百四十三話 エデンからの脱出 3 昔とは違う銀の妖狐と肉体美様

「ふふ……くくく……」


 銀の妖狐が嫌な笑い方をし始め、肩を震わせだす。



 アインエッセリオさんの言うことが正しいのであれば、銀の妖狐は俺を騙して世界を壊すとかいう行為をさせようとしていたことになる。


 くそっ……ちょっとだけこいつのことは信じていたのに……! 俺は愛犬ベスの頭を撫で戦闘の構えをさせる。



「くく……あはは! 相変わらず引きこもりの火の種族は情報が古いなぁ。いつの話だい、それ。僕はもうとっくにそんなつまらないグループは抜けたよ。今は彼のいるこの世界が面白くて面白くて仕方がないぐらいなんだ。彼と共にこの世界を見たい、その邪魔をする者は僕が全力で排除する。今の僕はそう考えるようになったんだ」


 銀の妖狐が腹を抱えて笑いだし、俺の左腕にすっと顔を擦り付けてくる。やめて、そういうの。


「……情報が古い? グループを抜けた? この世界が面白い……?」


 俺の腕に寄りすがり笑い転げる銀の妖狐を怪訝な顔で見るアインエッセリオさん。


「ああ……ごめんね、大事な君を不安な気持ちにさせてしまった。大丈夫だよ、僕のこの目を見てくれ。とても澄んだ綺麗な瞳だろう? 君と出会う以前の僕の目はこの世界に絶望し、とても淀んでいた。でも今の僕は希望に溢れたこの世界を君と歩めるというドキドキで光り輝いた目をしていると思うんだ」


 銀の妖狐が楽しいことを目の前にした子供のような、とてもキラキラした目を俺に向けてくる。ちょっと上目遣いで。


 あと銀の妖狐が俺に触るたびに、ラビコが不機嫌そうに舌打ちをするんだが。


「彼女、火の種族の者達は基本デゼルケーノにある火の山アオレオグランツから出てこない。忌まわしい白い炎が山を取り囲んでいるからね。それに加えて僕等はほとんど他の種族と交流を持たないんだ」


 デゼルケーノの火の山か。そういやあの国は白炎とかいう魔法の炎があちこちから吹き出していたな。


「そうだなぁ、君達で言う国が違うって感覚が近いかな? お互いによほどの利益でもない限り接触はしないんだ。しかも派手に動くとこわーいこの世界の創造主に粛清されちゃうからね、あはは。僕は以前所属していたグループの情報収集役なんてやっていたから、あっちこちに顔だして動きまくっていたけど。あとはどこまでやると創造主が動くのか、のラインを計ったりとか、ふふ」


 銀の妖狐が嫌な笑いをするが、今の話、蒸気モンスターの結構な情報を得られたんじゃ。


「……そんな目的があったのか」


 ラビコが反応し、銀の妖狐を睨みつける。


「ふふ、君等ルナリアの勇者達はやり過ぎないラインを計るには最高の遊び相手だったなぁ」


「……! 貴様……遊びで……!」


 ラビコが激昂し杖を構え体から紫の光を放ちだすが、俺は慌ててラビコの頭を撫で抑える。当事者として辛いだろうが、今は……抑えてくれ。


「すまないね、煽るつもりはなかったんだ。僕等も生き残ることに必死だった。でももうしないよ。彼にこれからの新しい生き方を学び、そう誓ったんだ」


「……!?」


 銀の妖狐がすまない、と言ったことにラビコが目を見開き驚いている。



「……そういえば島の雰囲気が随分と違うのぅ。それとあの残忍冷酷キツネがまるで発情でもしたかのような王への懐き具合い。確かにわらわの知っている昔のキツネとは随分と違うか……一体何があったのかのぅ」


 アインエッセリオさんが島を見渡し、俺に妙に懐く銀の妖狐を見て首をかしげながら言う。まるで発情でもしたかのような……か、うん、それやべぇやつじゃん。俺の身が。


 昔の残忍冷酷については知らないが。


「何があったも何も、彼と戦い、僕が顔を殴られ負けた。自分より強い者に付き従うのはおかしなことではないんじゃないかな。そして人間を襲わずともこの世界で生きていける方法を示してくれた。ほら、とっても強くて格好良くてこれから歩む新たな未来も優しく示してくれたんだよ? もう忠誠を誓うしかないじゃないか、ふふ」


 いや、銀の妖狐さん……殴ったのは事実だけど、それ以降の生き方を示したとかはあんたがアプティを通して得た情報で勝手にやっていただけじゃないの。


「……! キツネに殴り勝った……と? デゼルケーノで示した力がすごいとは思っていたが、まさかそれほどとは……いや、さすがはわらわの王かのぅ」


 いや、アインエッセリオさん……殴り勝ったとかの表現はちょっと……俺どんだけマッチョなんだよ。見てくれよこのひょろい体を。ありえないだろ。まぐれパンチが運良く一発当たっただけだっての。


「今の話を聞いて、余計そなたが欲しくなった。わらわ達は小さなグループではあるが、そなたを王として迎えたい。わらわ達は王に忠誠を尽くし、王が求めるものには全てを懸けて応えることを約束し、王が望むのならこの身すら喜んで差し出そう。わらわにこの世界の人間と共に歩む未来を示してほしい」


 望むのならこの身すら……ゴクリ……。俺はアインエッセリオさんの引き締まった体を舐め回すように見て喉を鳴らす。


「だからその分かりやすくエロガキっぽいとこ直せっての。ほんと変わらないなぁ。ったく、そういう欲は私達に向けろっての」


 いってぇ! 呆れ顔のラビコに杖で頭を殴られたぞ。


 おかしい、こういう痛い目に会いそうなときの為にアプティさんがいてくれるんじゃないの? そのアプティもエロい目でアインエッセリオさんを見ていた俺を非難の目で見ているんだが。



「ふふ、体には僕も自信があるんだ。温泉では僕の全てを見せたけど、改めて見るかい? 君のために鍛え上げたこの肉体美を」


 アプティの隣の銀の妖狐が急に上着をはだけ、細身ながらも鍛え上げられた筋肉を俺に見せてくるが、お前は黙ってろ。







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