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四十三話 帰還我が街でパーティ人気ランキングが決定様


「……………………」



 俺はその異世界から来た。


 他にももしかしたら、俺のようにこの世界に来ている人がいるかもしれない。俺達にしか分からない言葉を言っている人がいないか、今後は周囲の会話を注意して聞いてみよう。





「あと、ラビコ」


「なんだ、アーレッドならちゃんと消滅させてきたぞ。このラビコ様を舐めるなよ」


 いつものホヤ~っとした雰囲気のラビコとは違うハードモードのラビコ。キャベツを杖に刺しているときにしかお目にかかれないレアキャラなので、会えている今、言っておく。



「こっちのキリッとしたラビコもいいな。そのギャップに萌えるというか、俺はどっちのラビコも好きだぞ」


「……き、きき……貴様ー!! そういうことはあっさり言うな! もっといい場所といい雰囲気作りをして超高級紫魔晶石リングを左手の薬指にはめながら言うんなら考えるぞ!! 私は高い女なんだ! か、金を積めよぉ!」


 ラビコが顔を真っ赤にして早口で捲し立ててきた。その超高級なんたらリングってのはいくらするのか知らんが、大丈夫、俺には絶対用意出来ない代物だと思うぞ。

 


「ず……ずるいです! 私だってそういうこと言われたいのに! ラビコだけとか不公平です! さぁ、私にも甘い言葉を下さい! さぁ、さぁ!」


 廊下から慌てて入って来たロゼリィが、ぬるま湯の入ったコップを俺の頬に押し付けながら迫ってくる。


 ベスがコップからこぼれたぬるま湯をペロペロ飲んでいる。何だこの絵は。



 この日はここの宿屋に宿泊。


 負傷者は特例、ということでタダで泊まれた。ありがてぇ。





 次の日、ラビコが馬車を自費で用意してくれた。さすがにここに長居も出来ないし、負傷中の俺に気を使ってくれたようだ。



「全て自分で支払おうとしていた~社長の面目を潰してしまうかもしれませんが~非常時ですので~乗りやがれでございます~」



 五頭立ての豪華な彫刻なんかが飾りとしてついている黒塗りの馬車。内装もお尻が痛くなる木の椅子ではなく、フッカフカのソファー。この馬車いくらするんだよ。



「い、い……以前国の偉い人が来ているの見かけたことがありますが、こんな感じでした……!」


 ロゼリィが場違いなんじゃ、と終始身震いしていた。五頭立ては山道もスイスイ~こりゃー楽だわ。







 夕方、見慣れた我が街に到着。帰ってきた~。


「やぁおかえり。とりあえず全員いるね、良かった」


 イケメンボイス兄さんがわざわざ出迎えてくれた。俺が怪我をしているのを見つけ、夕食は栄養たっぷりのスペシャルメニューを奢ってくれるとのこと。すっっげー楽しみだぞ、それ。



 兄さんが笑顔で用意してくれたのは、きのこたっぷりホワイトシチュー。


 小麦粉多めのとろみが強めでこれがうめぇ。いくらでもパン食えんぞ、これ。


 ああ、そうだ。パンと言えば旅先の灯台広場で披露したチョコフォンデュを兄さんに教えておこう。


「おお、ロゼリィちゃーん。いなくて寂しかったぜー!?」

「やっぱロゼリィがいないとここの酒飲めねーよ、なぁみんな!」

「ラビコさーん! み・ず・ぎ! み・ず・ぎ! 水着頼むよー!」

「きゃーベスちゃんかわいいー!」



 帰ってきた俺達を酒場の常連さんなりに無事を喜んでくれたようだ。


 つかロゼリィとラビコだけかい……俺は……。



 そしてベス、お前は今日から敵な。






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