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8 異世界転生したら火の国があったんだが

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三百九十四話 ペルセフォス王国聖なる祭典深夜の部と俺のカメラ様 ──八章 完──


「あ~疲れた~。でも社長のおかげでだいぶ快適だったかな~」



 ペルセフォス王国聖なる祭典。


 国王であられるフォウティア様主催のお食事会になぜか俺達がお呼ばれされ、いまさっき終わったとこ。


 基本俺はご飯食ってただけ。


 味はまぁ、かなりシュレドの味に近い物だった。さすがにお城の料理長クラス、何度もカフェジゼリィ=アゼリィに通ったらしく、再現能力が高かった。



 ラビコはこのペルセフォス王国と契約していて、国王同等の地位や結構なお金を貰える代わりに国の行事には必ず出ることになっている。


 ……のだが、ラビコはほとんどすっぽかしている。いや、ほぼ全部か。


 よく知らんが、契約違反にペナルティーはないのかね。


 なんとなく、ペルセフォスの本音としては世界屈指の大魔法使いであるラビコという戦力を他国には渡したくない、というのが見え隠れするし、国に所属していてくれればいいぐらいの契約なんだろうか。


 

「全く……二言目にはうちの息子と結婚をだの、私とお付き合いをだの……あ~うっざかった~」


 お城の二階にあるいつも利用させてもらっている来客用のお部屋に入った途端、ラビコが天蓋付き豪華ベッドに大の字でダイブ。


 ああ、ラビコはいつもの水着ではなく、国に特注で作ってもらった絶対桁違いにお金のかかったドレス。スカート部分なんて刺繍入りのヒラヒラふわっふわだ。


 俺は瞬時に偶然靴紐がほどけた人の動きでしゃがみ、ベッドダイブの際にふんわりとめくれ上がったラビコのスカートの中を直視。


 ──紫か。


 ドレスが紫なら下着も紫なのか。こういうのはコーディネートっていうんだっけ? おしゃれだな、ラビコ。 


「お、見えたかキング。紫だったな、ラビ姉の下着。ニャッハハ」


 不自然にしゃがんだ俺にヤンキー座りで肩を組んできたのは、魔法の国のお姫様クロ。お、女性なのにこういうのいける口ですかクロさん。これは心強い。


 俺は自分もドレス姿なのを忘れているクロのヤンキー座りで丸見えのおパンツ様を凝視。



「あ、あの丸見えです……」


 すぐさま気がついた宿の娘ロゼリィがクロに指摘するが、もう遅い。俺の脳裏にバッチリ焼き付けたさ。


「そういやまだヒラッヒラのやつだったぜ。これスースーして尻が冷えんのな、ニャッハハ!」


 ──紺か。



「あ~そういやエロに関しては一番やっかいなのがいたっけ。でもさっきまでの露骨に体を舐めるような視線を向けてきた資産家の息子やら~土地成金の男よりはマシかな~。あいつら~この左手薬指の指輪が見えないのか~っての」


 ……俺もかなりその視線であなた方を見ているときもたまーにありますが、ここは黙っておこう。


 お食事会での俺はどこの誰とも知れない少年なのでひたすらご飯を食っていたが、その間、ラビコはまぁ色目使った男に言い寄られていたな。


 ラビコは滅多にこういう場には出ないみたいだし、余計に少ないチャンスを逃すまいとハイクラスの男達が頑張っていた。


 ラビコの持つ地位に名声、実力、お金、美貌が欲しい感じが露骨だったな、あいつら。


 ロゼリィやアプティ、クロにすらエロい顔で話しかけてきたので我慢が限界突破。俺がパンツ一丁で怒りの裸踊りを元気にしたら逃げていったけど。



 途端会場の警備をしている騎士ハイラがダッシュで寄ってきたので、さすがに怒られるかと思ったら、しゃがんで俺の下半身を鼻息荒く凝視された。


 あいつ、会場の何を守るために警備していたんだろうか。



 その後はサーズ姫様とフォウティア様が気付き側にいてくれ、おかげでそういう男は近寄らなくなったが。いや、突然裸踊りをした俺を監視するためにお二人が近くに来た可能性もあるか。すみませんでした。



「いや~でも私達が男に絡まれている時の社長が格好良かったな~。颯爽とそういう輩を追い払ってくれたし~ラビコさん感動したよ~。その方法が裸踊りなのは驚いたけど~あっはは~」


 ベッドから起き上がりラビコが笑うが、誰も傷つけず追い払うにはそれしか思いつかなかったんだから仕方ないだろ。


「……マスター、裸踊り、素敵でした」


 後ろにいたアプティが無表情にパチパチと手をたたく。


 あのアプティさん、それだとエロい男共を追い払ったことじゃなくて、俺の裸踊りが見世物として見応えがあり素敵でしたと聞こえるのだが。


 ちなみに裸踊りのヒントはリーガルだ。


 あいつのカフェでの半裸踊りは好評だったからな。真似してみたぞ。



「ふふ、そうですね……とても素敵でした。なんというか、ああ、私達はどんなときもあなたに守られているのだな、と安心することが出来ました」


 ロゼリィも微笑み俺を褒めてくるが、なんだ、やっぱり裸踊りは好評なのか。


 これは今度師匠であるリーガル様に裸踊りの極意を聞いておこう。エロ本屋に入るときの隠密の極意も聞きたいし、アイツには世話になりっぱなしだなぁ。



 とまぁ冗談さておき、俺のパーティーメンバーをエロい目で見られるのは許せん。


 俺だって苦労してこっそり見ているってのに、ぽっと出の奴に楽しまれてたまるかっての。女性陣のお美しい姿を見たければ、まずは俺の裸踊りと言う名の壁を越えていけ。いや、越させないけど。


「そうだね~私達ってすっごい社長に守られているもんな~。デゼルケーノでの社長はすごかったな~。動けない私を抱えて必死に千年幻の攻撃避けて動いてさ~あれは惚れるね~。もう心にキューンってきちゃってさ~あっはは~」


 あの時はラビコ守ろうと必死だったからな。どうして避けれたかさっぱり分からねーけど。なんか見えたんだよな、少し先が。


 ラビコが少し赤い顔で右腕に絡んでくるが、今のラビコは着飾って美しさが掛け算になっているから、あまり刺激されると耐性のないエロ少年は正気ではいられなくなるんですが。


「あ、わ、私も……! それにあれは幻の私を助けようと必死に動いてくれたと聞きました! よ、ようするに私はあなたの幻に最初に思い浮かぶほどの仲なのです! いえ、それ以上の……!」


 ロゼリィが慌てて左腕に抱きついてくる。


「……マスターは私のことが好きと言いました……」


 そこにアプティまでもが尻をつかんで来るが、お前らいい加減にしろ。俺を誰だと思っているんだ。こういう時どうしていいか分からない経験値不足少年なんだぞ。


「おおすげぇすげぇ! やっぱキングはこうでないとな。じゃあアタシも行くかー! それっと。ニャッハハ、男の背中って感じだぜ」


 背中にクロまでもが張り付いてくる。


 うう、みんなお願いだから俺の下半身は見ないでね。



「先生ー! 終わりました、お仕事終わったので熱い抱擁を……」


 豪快に部屋のドアが開きハイラが元気に入ってくる。俺がラビコ達に抱きつかれているのを見て動きが止まるが、ダッシュで俺の前に駆け寄りしゃがみ込む。


「ゴクリ……いつもながらすごいですぅ……」


 あ、そこ俺のビッグマグナムさんの目の前じゃ。



「さぁ待たせたな、ペルセフォス王国聖なる祭典の深夜の部が……おや、何かすでにすごいことになっているが……」


 そこにサーズ姫様までもが登場。


「ほぅ、これは……。いや、実は出遅れたせいで君の裸踊りを間近で見れなくてな、ぜひとも見たいのだが……これか、これを下ろせばいいのかな? はは、これはチャンスだぞハイライン。下着ごとせーので行くぞ、せーの……あれ下がらんな」


 サーズ姫様がハイラの横に座り込み、容赦なく俺のズボンに手をかけてくる。


 ちょっ……! なんで部屋入ってきてすぐ、何の躊躇もなく俺のズボン下ろそうとしてくるんだ、このお姫様は!


 さっきはパンツ一丁の踊りだったからまだ芸として通用すると思うが、それ下ろしたら裸踊りの枠超えるだろ!


 しかしこういうこともあろうかと、ズボンの紐はしっかり結んであるんだ。うへへ。



 俺が必死に抵抗していると、アプティが背後から俺のジャージのズボンの紐を一瞬で解き、全てを開放。


「……マスターのモノはとてもいいモノです。もっと有効利用されてもいいかと。特に女性相手には無双ウエポンかと……」


 あああああ! アプティさん……何をいとも簡単に俺の最後の砦を開放しているんだよ!


 無双ウエポンとか、アプティ絶対何かファンタジー小説読んだろ。え、何こっちの世界にもそういうジャンルあんの? それ俺が読みてぇんだけど。


 つか俺のモノを有効利用って、こうやって羽交い締めにされて面白半分にマグナム(さっきビッグとか見え張った)をご開帳されてオモチャ扱い受けることなのかよ! 


 異世界名物ドエロい展開どこいった!


 俺が喜ぶエロい展開が来ているんじゃなくて、俺が涙目になってエロい目に合わされているんですが。



 くそっ、こうなったら俺の本物の無双ウエポン愛犬ベス、カモン!


「ベッス……ペスン」


 俺が期待の目で我が愛犬を見るが、ベスがチラとこっちを見て不機嫌そうに丸くなった。


 ああ……もしかしていまだに温泉にちょっとしか入れなかったこと怒ってんのかよ。あかん、これあかん。



「おおアプティ殿、すまないな。どれ、ドキドキするがここは一気に……!」


「はいっ! 一気に……!」


 サーズ姫様がちょっと高揚した顔でハイラに目配せし、俺のズボンが一気にパンツごと高度ゼロ地点へ。


「うっは~! すっご~」

「これは……すごいです」

「……これぞマスターです」

「ニッハハ、うっわこりゃすげぇなキング」


「おお……なかなかに可愛いではないか」

「やりましたぁ! これが先生の……」



 女性陣の視線が一気に風通りのよくなった俺の下半身へ。


「あ~そういえば社長ご自慢のカメラあったね~」


 おい、やめろラビコ。


 それは……思いつくな。




「……では……いきますよ」


「悪いね~アプティ~もうささっとカメラ購入記念に撮っておこ~あっはは~」


 アプティが、私はいつも見ていますので……と、謎の理論でカメラを持ちシャッターに指をかける。



「ちょ、マジかよ! 俺が何のために高い金払ってカメラ買ったと思ってんだ! お前らのエッロい写真ばんばん撮るために買ったんだぞ! なんで俺の……」


 俺が必死に抵抗しつつも吼えるが、女性陣の腕力は強く、伝わって来るのは柔らかい感触のみ。いや実は今、もうお釣り来るぐらい皆さんのお胸様を味わっているんですがね。


 クロのお胸様は初なので新鮮。


「う~わ、本音言っちゃったよ~。そいうのは後で聞くからね~社長~。は~いみんな笑って~あっはは~」


 笑えるか! 俺下半身モロ出し君なんだぞ!



「……マスター、格好いいです」


 うそつけアプティ! こんな状態で格好いいとか褒めるヤツいるかよ! ああ、やっぱりアプティは人の心が分からない蒸気モンスターなんだ!

 


 今のアプティの謎の言葉と共にシャッターが──押される。



 俺が命懸けでデゼルケーノに行き、千年幻ヴェルファントムとかいうおっそろしい蒸気モンスターを倒し、高額で買ったカメラについに念願のエロい写真、こと俺の丸出しに笑顔の女性陣とかいう写真が収められましたとさ。


 誰が喜ぶんだよ、この写真。




 ────回収だ。

 



 お、もうこんな時間か。


 俺、なんだか涙が溢れて止まらないからさ、もう寝るけど、心の友である紳士のみんなにはどうしても伝えておきたい異世界の心得があるんだ。


 蒸気モンスターとかはなんとかなる、お金でラビコクラスの傭兵雇えばいいだけ。ちょっと高額だけどな。頑張って稼ごう。


 ご飯はソルートンのジゼリィ=アゼリィに来てくれ、安くて美味いもん食わしてやっから。


 ああ、仲間は慎重に選んでくれよ。


 宿屋の娘さんは鬼覚醒以外は最高に癒やしの存在だが、水着を着た魔女だけはやめておけ。とんでもないことになる。


 無表情なバニー娘もオススメは出来るが、男が夜に一人で行うという感謝祭を全て見られるというリスクがある。


 他にも商人に騎士、お姫様とか選び放題だが、ただ一つ、これだけは覚えておいて欲しい。



 ──ベルト付きのズボンを買っておけ。



 これがこれから来るであろう紳士のみんなへの、俺からの実体験アドバイスだ。








── 異世界転生したら犬のほうが強かったんだが 八章 異世界転生したら火の国があったんだが   完  ──












+++++++++++++++++++++++++++


これにて八章、異世界転生したら火の国があったんだが が終りとなります。

最後までお読み頂き感謝!


結構長いお話になりましたが、八章でやりたかったことは全部ぶっこめたような気がします。


長いこと謎だった、オウセントマリアリブラという本やその持ち主が出て来るお話。新たな国、火の国での上位蒸気モンスターとの戦いなど、なんとか書ききれて自己満足しております。


まだあの話どうなったのよ、とか回収出来ていないものがありますが、それは今後お話が進んで物語のピースが集まったときとなりそうです。


八章後半で八十万文字越えていたり、随分と長い物語となりましたが、ここまで読んでくれている読者様には本当に感謝しております。


九章はどんなお話にしようかな……まだ全く未定ですが、ちょっとお休みをいただいてから物語を構築していこうと思います。


再開の際には、またお付き合いいただけると幸いでごさいます。


ご感想などあるととても嬉しいです。



2018/1/23 23:30 影木とふ

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