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【書籍化&コミカライズ!】異世界転生したら愛犬ベスのほうが強かったんだが ~職業街の人でも出来る宿屋経営と街の守り方~【WEB版】  作者: 影木とふ「ベスつよ」②巻発売中!
1 異世界転生したら犬のほうが強かったんだが

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三十七話 るるるるるぶ愛はお金様


「虫除けの煙、薪、マッチ、網、食器、食材、寝袋、テント……ああああ、お金足りねぇ……」




 俺は雑貨屋で今夜の命を懸けたキャンプに必要そうな物の見積もりをメモる。


 しかしケチって命落とすよりマシか……この旅行で俺の全財産が無くなるぜ。はー清々しい。




「え~っと~必要なのは食材と簡易食器ぐらいかね~。あ、虫除けはこっちのカラフルなのにしようよ~」


 ラビコが俺がメモった紙を取り上げ、必要な物が書かれたメモを俺に渡してきた。


 虫除けのやつって緑以外にあんの!? さすが異世界……。



「煙の色も効果も全部同じなんだけど~見た目がかわいいほうがいいし~」


 なんだ、五色の煙で戦隊ヒーローごっこ出来るわけじゃねーのか。



「あれ、寝袋にテントが無いとキャンプにならないんじゃ……?」


 もしかして焚き火の周りに雑魚寝スタイル? ワイルド過ぎじゃね?


「あはは~大丈夫大丈夫~現地調達するから~」


 げ、現地調達……だ……と? 


 もしや木を切り倒しーの、骨組み作りーの、葉っぱで屋根作りーの、木の皮剥いて貼り付けーのとかすんのか!? ……こりゃー大変なことになりそうだぞ……。


 男の見せどころか……よ、よし、ネットで斜め読みした知識でがんばるぞ……。





「いいかーみんなー家に着くまでが旅行だからなー。いざ、我が街ソルートンへ」


 予想より軽い荷物を持って宿を出る。


「はい!」

「おーいぇ~」

「ベスッ」


 よし、みんないい顔だ。


 しかし……ほとんど食材しかないが、いいんかね……。






 街を出て街道を歩く。


 天気も良く、景色がいいなぁ。道はかなり広いぞ、さすがに馬車も多く通る道なだけはある。


 持っているのは虫除けの煙が出るやつ色違い、ピンク、黄色、水色。


 たまねぎ、ニンジン、ジャガイモ、カレー粉っぽいやつ、お米。鍋に簡易食器のみ。ようするに今晩は肉無しカレーだ。水は各自水筒に入っている分だけ。


 ラビコ先生が現地調達で大丈夫と言ったが……。


 水は川や湧き水ポイントがあればなんとかなるが、テントとかがキツイなぁ。


 本当に不安なキャンプになりそうだ。


 何かあったらラビコは自力でなんとかなりそうだが、ロゼリィだけは俺が守らないと。


「ふんふん~」


 そのロゼリィは楽しそうにしている。不安なのって俺だけなのか……。





 出発から三時間。


 お昼だが、今晩のカレー分しか食材はない。我慢我慢。


 しかし人通りが多いな。俺達と同じようなペースで歩いている人が何人もいるし、反対に向こう側から歩いてくる人もたくさんすれ違う。



「は~い皆の衆~、休憩所が見えてきたよ~お昼だ~」


「やりましたー! ご飯ー!」


 ラビコの指す方向に大きな建物が見える。


 多くの人がそこに集まり、各々休む。お店が普通にあり、ご飯、買い物などをしている。


 え、何これ。



「あれ社長~どうしたんですか~変な顔して~」


「あ……いや、休憩所……あるんだ、ね」


 山の麓のキャンプ予定地まで無言で歩くものかと……。


「あるよ~。ここって主要街道だよ~? 多くの人が常時行きかうから各所に施設がちゃんとあるのさ~あっはは~」


 あ、そう……。






 お昼ご飯。


 小綺麗な食堂でべっちゃりした天丼。微妙。



 食後、一休みしてから出発。リンゴで水分補給しながら歩く。



「……なんか進めば進むほど栄えてきたんだが」


 何もない一本道をひたすら進むのかと思っていたが、山に近づけば近づくほど施設も人も増えてきた。なんだこりゃ。


「だいたいの人が山の麓で一泊するからね~商売人はこの場所に目を付けるわけさ~」


 商売として成り立つほどなのか。






 数時間後、日も落ちてきて空が綺麗なオレンジに。


 オレンジ……俺は夕日に不思議な親近感を覚えた。



「はい、到着~今夜の宿泊地さ~」



 さすがにみんな元気が無くなっていたが、目的地が見え疲れきった顔に笑顔が戻る。



「ってなんだこりゃ! ちょっとした街じゃねーか!!」


 道の両脇に建ち並ぶ宿屋宿屋宿屋……観光地かと思うような人の多さ。溢れる活気。



「あっはは~活気がすごいよね~。で、我々はお金が無いので宿屋ではなく、こちらで~す」


 建ち並ぶ宿屋を抜け、大きな広場へ。


 広場にはずらーっとテントテントテント……。


「社長~受付でお金払って~。一組100Gだよ~」



 唖然としながらも受付でお金を払い割り当てられた数字の場所へ。






「鯉の8番、鯉の8番……ここか」


 そこには結構な造りのテントがあった。かなり頑丈そう。寝袋も人数分受付で受け取った。


 管理人もいて、警護の役の人も何人も控えている結構な場所。



「……なぁラビコ……ロゼリィ……知ってた、のか?」


「わ、わわわ私も朝ラビコに聞いたのですが、あなたを驚かせようという案に……の、乗りましたー!」


 ロゼリィが全力で頭を下げてくる。ラビコはニヤッニヤと人を平気で食うようなタイプの魔女の笑いをしている。


「あっはは~社長すっごい怯えてたからさ~脅してビックリさせてやろうと思ってさ~むはは……うまく行き過ぎて怖いぐらいだったよ~あっはは~」



「お、お、お前等ーー!」


「ええ~じゃあ~宿屋に泊めてよ~。こんなかわいい女性二人を狭いテントって~社長は私達に対して愛が足りないと思います~。なのでこれぐらいのイタズラは許されると思います~」


「…………! ……は、はい……す、すいませんです……ぐぐぅ」


 あああああ! 愛=お金かよ! 




 異世界でもこの計算式成り立つの……ね。











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