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8 異世界転生したら火の国があったんだが

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三百五十六話 火の国エキサイトツアー1 デゼルケーノ対策会議様


「火の国デゼルケーノ。そこは国土の八割が火山と砂漠で占められているっていう~それはそれは過酷な環境の国さ~」



 宿一階食堂のいつもの席で、紅茶とデザートを囲みながら旅行対策会議。


「もうあれだね~この世の景色とは思えない、絶対に生き物の繁栄を許さない荒廃とした世界さ~。あの国で生きようと思ったら相当の覚悟が必要だね~。亡くなる人の死因のほとんどが砂漠で干からびるか、火山で燃え死ぬか、だからね~あっはは~」


 かつてルナリアの勇者と共に世界を巡った冒険者、大魔法使いラビコ様のありがたい体験談である。


 砂漠で干からびるか火山で燃え死ぬかって……本当かよ、それ。とんでもない二択じゃねーか。



 テーブルを囲んだ旅行メンバーである俺とロゼリィが色々想像して、ゴクッと息を飲む。


「……マスター、五枚選びました」


 正面に座ったアプティは興味なし、俺の旅行パンツ選別結果を出してきた。


 お、おう。すまんなアプティ。でもそれはあとでこっそり報告してくれればいいから。足湯から出てきた愛犬ベスは、俺の足元でリンゴに夢中。


 いつも思うが大丈夫なんだろうか、このメンバー。



「火の国の北側には天にも届きそうな高さの山があって~千年以上燃え続けていると言われている火の海に囲まれているんだよ~。その山は本当に巨大で、火の国のどこからでも見えると言われていて~国のシンボル的な扱いを受けているね~」


 千年燃える火の海に囲まれた、天にも届く巨大な山。なんか地獄みたいな風景が頭に浮かぶんだが……本当に生きて帰ってこれるのか、その国。


「広大な果ての見えない砂漠は~日中は灼熱の太陽が照りつけ、夜には一気にマイナスの気温にまで落ちるという~それはそれは劣悪な環境なのさ~。慣れていない旅人なんて温度差についていけずに瞬コロだね~あっはは~」


 瞬コロって……。


 そういや宿の増築工事中に、火山だの砂漠だのがある内陸のお話し聞いたな。それが火の国デゼルケーノってわけか。



「前に内陸のお話しで聞いたやつか、その国。じゃあロゼリィが言っていた、永遠の美肌の湯とかもそこにあるのか?」


 ロゼリィが冒険者から聞いたという、温泉。


 女性にはたまらん響きの温泉だが、今までのラビコの言葉をまとめると、相当危険な場所にあるっぽい。


「そうさ~。砂漠を何個も越え、険しい火山の先にあるのがその秘湯だね~。そこにたどり着ければ一流の冒険者~とも言われているね~」


 うっへ、俺は一流の冒険者にはそれこそ永遠になれなそうだ。まぁ、俺の職業っつーか冒険者センターで区分けされたランクは街の人、だしな。


「しかも砂漠は巨大なモンスター達の住処でさ~飢えたその牙が冒険者を喰らうのさ~。歳の若い体が小さいのに当たればラッキー、運が悪ければ砂漠の主みたいな超巨大なモンスターとご対面~。逃げる間もなく喰われてお~しまい、あっはは~」


 永遠の美肌の湯、と聞いてロゼリィが身を乗り出し立ち上がったが、ラビコの砂漠の主の話を聞いて、青い顔でゆっくり椅子に座った。



「以前も言ったけど~わざわざ命を懸けて行くところじゃないと思うけど~? 永遠の美肌の湯なんて言われているけど~由来にはカラクリがあるし~それこそ成分なら火の国で湧いている温泉大体同じだし~」


 カラクリ? まぁ危険だっていうなら、わざわざ行く必要はないよな。ロゼリィにはちょっと我慢してもらおう。


「分かった、ラビコ。とりあえず火の国ってのは結構危険な国なんだな。気を引き締めて行かないとな」



 砂漠に火山か。さて、一体どういう装備で行けばいいのやら。


「うん、内陸はね~。まぁ多少ウソも交えて散々煽ったけど~ちゃんと国として成り立っている場所だから、あえて危険な場所に踏み込まなければ大丈夫さ~あっはは~。普通に街もあれば人も大勢住んでいるし~」


 ラビコが怖がる俺達を見てニヤニヤ。


 こいつ……楽しんでやがったな。


「あっはは~ごめんごめん。実際少し危険なのは本当さ~。でも基本街はそういう危険な場所は避けて作られているし、海側は普通に緑がちょっとはあるよ~」


 そらそーだわな。いくらなんでも街作るのに危険な場所は避けるよな。


「ま、行けば分かるよ~と。あといい情報としてはデゼルケーノは火山があるから、そこらじゅうに温泉が湧いているのさ~。毎日温泉三昧を嫌ってほど楽しめるよ~。ご飯はマッズイけどね」


 温泉三昧とな。


 素晴らしい……もう早くカメラ買って、お美しい皆様のご入浴というサービスシーンを連射で激写したい所存であります。



「温泉はいいとして、ご飯マズイのか……それはきついな……」


「それはしょうがないさ~。ここの美味しいご飯に慣れていたら、どこ行ってもマズイものしかないよ~。デゼルケーノはもう料理じゃなくて、食材そのまま食べたほうがマシなんじゃないかって感じかな~あっはは~」


 ラビコが爆笑しながら言うが、行く先の料理がマズイよって言われるほどテンション下がるものはないな。



 旅の楽しみである、現地の料理ってのは諦めるか……。






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