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三十五話 るるるるるぶ灯台チョコフォンデュ様

 

 カフェで薄ジュースを吸いながら思う。



 何かがあるから来たわけではなく、旅行に行くんだという強い思いだけで来たので目的がない。


 このまま帰ったら、旅行の思い出は漁船での荒行のみになるぞ。



 まずは宿屋確保。荷物を置こう。


 安い宿屋をみつけ一部屋を借りた。すまんが男女別に出来るほど俺にはお金が無かった。


 一応女性陣に聞いたが了承してくれた。




「灯台広場でも行くかい~?」


 この街も港街なので灯台がある。


 俺達の街ソルートンにもあるのだが、崖の中腹にあり一般の人は近づけないようになっている。でもここは灯台が観光スポットとなっていて、灯台に登れたり、公園になっているらしい。


 ラビコは過去に世界を股にかけ冒険をしていたようなので、色々教えてくれて助かる。




「おお、結構賑わっているなあ。屋台とかもあるぞ……うわっ焼きそばがある!」


「社長~お腹空いた~……ご飯~」


 公園にはおいしそうなソースが焦げる香りが漂っている。これはたまらん。景色より、まずは食い気だな。


 ラビコ、ロゼリィには飲食用テーブルの空いているところを取っていてもらい、俺が買出しへ。


「いっぱいあるなぁ、目移りしそう。まずは基本からか、焼きそば一つ5Gを三個っと」


 たこ焼きにフライドポテトに……お、トマト売ってる。サラダ代わりにトマト三個、飲み物はお茶でいいか。


 お盆に食べ物山盛りにして二人が待つ席に戻る。





「社長~デザートも欲しいなぁ~ね~ロゼリィ~?」


「……あ、えーと……出来ましたら甘い物も欲しい、です……」


 おっと忘れてた。お金はあまり無いが、移動費ケチった分はご飯に回すか。


「わかった、先に食べていてくれ」


「さっすが社長~じゃあ頂いてま~す」

 




「どうだーうまいかー」


 デザートを買って席に戻る。もう焼きそばは完食済み。二人はトマトをカットして食べていた。


「待ってました~デザ~ット~社長早く~」


「慌てんな。すげーもん売ってたから買ってきたぜ」



 湯気の立つ黒いドロッとした液体が入った深皿をテーブルの真ん中に置く。


 二人が不思議な顔で見ている。落ち着け、これは合わせ技だ。


「そしてこれだ、パン」


 取り出したのは長い形状のパン。俺はフランスパンと言ってしまうが、ここでは長パンとかいうなんのひねりも無い名前だった。


「社長……? これは一体~?」


 二人共困惑した顔をしている、やはりこの世界にこの食べ物はないのか。今度、イケメンボイス兄さんに教えて俺達の宿屋でも出してもらおう。


「パンをちぎり、この液体につけて食べる。チョコレートフォンデュという食べ物だ」


「おおおおお~これホットチョコドリンクですか~」


 なんか飲み物としてチョコドリンクが売っていたので、深皿を貸してもらい、それに入れてもらった。別の店でパンを買い、完成。簡易チョコフォンデュ。


 とりあえず俺が食べ方を見せる。パンを小さめにちぎり、チョコドリンクに軽くつけてそのまま口の中へ。



「うん、うまい。もうちょいチョコの味が濃いほうがうまいが、簡易ならこんなもんだろ」


 俺の食べ方を見た二人が競うようにパンをちぎりチョコを付けて食べる。


「おいし~あったかいチョコとパンの組み合わせって初めてかも~」


「あ、あああああ……! 溶けるぅ……おいしいです! これうちでも出しましょう!」


 もちろん、そのつもり。イケボ兄さんにいいお土産が出来た。






 灯台展望台は有料だったのでスルー。その分はご飯に回すスタイル。



 宿の夕食をいただきつつ、今後の予定を決める。



「簡単に言うと~徒歩、です~」



 ラビコから帰り道の残酷な発表がされた。


「やっぱそうなるか……」


 漁船方式はもういやだ。しかし普通に客船に乗ると高い。じゃあ陸路になるが、もちろん馬車は高い。



「モ、モンスターとかは……」


 ロゼリィが震えながら手を上げる。


「いるよ~夜はオオカミ系がやっばいかな~」


 なれた冒険者なら丸一日で着くらしい。しかし体力の無い俺とロゼリィのペースでは一日半~二日は見たほうがいいとラビコ先生判断。


「どうしても山越えがあるからね~。夜に山は危険だから~昼間に山を越えるようにペース調整すると山の手前で一泊、がベターな選択かなぁ~」




 野宿かぁ……なんの用意もしていないがどうしたもんか。













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