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三十三話 るるるるるぶ漁船様


「高いなぁ……」



 旅行計画。


 宿の酒場兼食堂の一角でラビコに相談中。




 異世界だと、街の外はモンスターに襲われる被害が出てくる。


 色々自衛をしないといけないのだが、強い冒険者さんは雇うと高い。弱いと安いが不安。


 徒歩だと移動速度が遅いため狙われる確率が上がってしまうので、早く移動出来る馬車に乗ろうとすると、これまた高い。



「結局、世の中金かぁ……」


「ま~そういうこったね~。諦めてお金払うしかないね~」


 そりゃーそうなんだが、俺にはそんな金は無い。宿屋に泊まるお金を毎日捻出するので精一杯の俺に貯金なんてないし。



 とりあえず隣の港町に行ってみようと計画。徒歩でも一日あれば行ける距離。馬車なら日帰りも可能。


「馬車……お一人様、片道100Gって高くないか……」


「向こうも命かかっているし~妥当かもよぉ~」


 俺のぼやきにラビコが答える。片道一万円かぁ。



「船はどうなのかな、ラビコ、相場分かるか?」


「高いよ~片道200G以上が基本で~あとは移動距離でドンドン増えるね~」


 うっは二万円……たっけぇ……。

 


 ふと、以前港で無理矢理働かされた海賊のおっさんを思い出す。


「……漁船に乗っけてもらうってのは……どうかな」


「あ~……ついでに~だからお話つければ安く済むかもね~私知り合いいるから聞いてくるよ~」


 マジか、助かる。


 すぐにラビコが港に向かってくれた。





 あとはロゼリィか。宿屋の仕事休むことになるから、今オーナーに相談中だ。



「許可貰えましたー! 二、三日なら大丈夫ですー」



 ロゼリィが笑顔で走ってきて俺の横に座った。


「あぁ……楽しみです……あなたと二人旅……! 旅先で気が大きくなって……というお話をよく聞きますし、期待できそうです!」


「二人じゃないぞ。護衛でラビコも来る」


 今度一日ラビコの言いなりになるという契約を結ぶなら、お金はいいと言われた。


 金が無いし、もうそれに乗っかるしかない。


 後悔は後でするもんだ。今はいい。


「……!! そ、そんな……私の愛の思い出計画が……」


 しょんぼりするロゼリィ。そこにラビコが帰ってきた。



 話をつけてきた、とのこと。


 お金はいいが、仕事を手伝うという条件付き。まぁ、仕方ない。向こうの仕事中にお邪魔するわけだしな。


 出発は明日朝四時。大急ぎで各自準備開始。






 次の日、早朝。


 港で待っていたのは、例の海賊おっさん。


「よぉ! 兄ちゃん元気かぁ! 俺の船にどうしても乗りたいとか命知らずな男だよ! がはは!」


 なんか……話が……ラビコは俺と目を合わせようとしない。


 まぁ、とりあえず初めてこの街からの卒業だぜ。





 漁場に到着、地獄がスタート。



「せいっ、ほいっ、せいっほいっ、せいっほいっ、せいっほいっ、せいっ……!」


「おらぁ! 回せ回せ! 一匹でっけぇの入ってんぞー! 引きずりこまれたくなかったら踏ん張れぇ!!」


「せい……ほい、せい……ほほい……う、腕がぁあああああ!」


 二時間にも及ぶ労働に俺の腕が限界突破。


「重さを感じる前に引っ張れっつったろ兄ちゃん! おら、もう一息だ! 引っ張れぇ!!」


「せいっ……ほ……せ……」


 グッバイ異世界生活。俺は巨大魚のエサになります。





「新人が網に落ちたぞー!」


 うわぁい、ぬるっぬるだー……何匹かの魚が俺の尻を激しくアタックしてくる。


「おほーーっ!」




「あらら~……予想以上の地獄絵図になっちゃった~」


 ラビコが船の操縦席の屋根に座りカモメと戯れながら溜息をついている。



 ロゼリィは乗って五分で船酔いノックアウト。


 狭い船内の端っこのベッドに落ちないようにベスと共に縛り付けられている。


 俺は巨大魚がいる網へダイブ。お友達が増えました。



 お友達に尻を激しく突かれながら俺は思う、もう漁船は止めようと。










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