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【書籍化&コミカライズ!】異世界転生したら愛犬ベスのほうが強かったんだが ~職業街の人でも出来る宿屋経営と街の守り方~【WEB版】  作者: 影木とふ「ベスつよ」②巻発売中!
7 異世界転生したら俺の家が出来たんだが

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三百二十五話 封印されし本と相乗効果様


「うーむ……」


 翌日、朝。いつものごとくアプティに起こされ、ベッドの上であぐらをかき、腕を組む。そこに愛犬ベスが乗っかってきて、顎をペロペロ舐めてくる。



 俺を起こしたアプティは部屋の窓を開けパタパタと動き回り、ホウキを使って部屋掃除を始めた。毎朝やさしく起こしてくれ、掃除に洗濯と家事をこなしてくれる蒸気モンスターアプティ。


 つーか、何で俺の側にいるんだ、アプティは。いや、家事してくれてありがたいし、何の文句も無いけど。美人でバニーだし。うむ、ぜひ側にいてくれ、アプティ。



 俺はベッドに二冊の本を並べ、唸る。


 一冊は魔法の国セレスティアの国宝、オウセントマリアリブラという大変価値のある本。そしてもう一冊はアプティが自ら稼いだお金で買い、俺にプレゼントしてくれたエロ本。


 二冊とも大変貴重な物だ。



 残念ながらエロ本はロゼリィによって厳重に紐が巻かれ、これを解いて中を見たらそれはそれは恐ろしい罰が下される。


「でも見れないエロ本って何の価値もないよな。エロ本は見るから価値があるのであって、本来の使い方をしたほうが、エロ本さんも喜んでくれると思うんだ」


 俺はブツブツと自己弁護の言葉を呟くが、エロ本に施された封印は俺には解除出来ない雰囲気の強固なプロテクトを誇っている。


 いや、この紐引っ張りゃ解けるんだがね。



「……やめとこう。鬼の封印は遊び半分で解いていい物ではない」


 熟考した結果、やっぱり紐を解くのは諦めた。鬼がこえーし。とりあえずベスが届かない棚の上に二冊の本を並べ、飾っておくことに。


「行ってきます」


 俺は二冊の本に手を合わせ頭を下げる。両方共、すごいパワーを秘めているらしく、遠くから眺めているだけで何かが伝わってくるものがある。主に股間に。


「表紙しか見れないのが悔やまれるぜ」



 なんとなくどこで手に入れたのかアプティに聞いてみたら、例のソルートン男児の聖地で買ったとか。マジかよ……俺、一度もあのお店に入ったことないのに……。まさかアプティに先越されるとは思ってもいなかった。




「お、社長~おっは~」


 宿二階の客室から一階の食堂に降りていくと、水着にロングコートを羽織った魔女が元気に手を振っているのが見える。

 

 時間を確認するが、午前八時前。いつもなら十時過ぎとかにやっと起きてくるのに、今日は早起きか。


「おう、ラビコ。早起きさんか」


 いつもの席で朝食メニューを食べていたラビコの横に座り、俺も同じ物を注文。


「いやいや~社長が昨日のエロ本をどうしたのか、も~気になって気になって~あっはは~」


 ススっと身を寄せてきたラビコが、楽しそうに俺の頬を右手人差し指でツンツン突いてくる。


「どうするも、ロゼリィに封印されて表紙しか見れないって」


 ロゼリィはキレたらマジこえーし、あの封印解いたら天変地異でも起きそうだしな。



「ふ~ん、なんだよ~社長の溢れ出るエロパワーはそんなものなのか~。ガッカリだな~社長ならきっとどんな不利な状況からでも~道を切り開くと思っていたのに~。ね~さっさと紐解いて面白い方向に進もうよ~」


 ラビコが不満気に頬を膨らませるが、悪いけど俺は勇者じゃないんでな。あえて苦難の道は歩まないよ。


「もう、どうしてもロゼリィの封印を解いてエロ本読まなきゃいけないぐらい欲が破裂寸前なら、それこそ決死の覚悟でお前等に手を出すっての」


 俺が溜め息混じりに言うと、ラビコがニヤニヤと嫌な笑顔で抱きついてくる。


「ん~? 本当かな~? それ、本当かな~? ね~どういうふうに手を出すか、試しにやってみてよ~あっはは~」


 ち、俺にそんなことは出来るはずないってか? バカにすんなよ。俺だって男なんだ、溜まるものは溜まるし、好みの女性はそりゃー抱いてみたいって。


 ロゼリィにラビコにアプティ。お前等マジで美人揃いだからな、そんな美人様に囲まれているおかげで、余計に若さがフルチャージでバーニングだっての。



「うわーここだよー。ホラお店の名前おんなじだしー」

「本当だー。こっちが本店なんだね。見て見てー! メニューが王都で見たことないのがたっくさんー!」



 朝から絡んでくるラビコを適当にあしらっていたら、お店に入ってきた女性グループの会話が聞こえてきた。


「……お? もしや王都のカフェジゼリィ=アゼリィのお客さんが、こっちにも来てくれたのか?」


 俺がボソっと呟くと、ラビコもその女性グループを見て小声で話す。


「みたいだね~。やったじゃん社長~王都からこのソルートンまで来てくれるとか~結構なことだよ~」


 女性五人で旅行中らしく、大変小奇麗な恰好をしているな。席に座り、テーブルに置いてあるメニューを見て楽しそうに朝食を選んでいる。



 ふむ、王都にカフェを作ったが、それが本店であるソルートンのジゼリィ=アゼリィにもいい影響が出ているみたいだな。

 今後も王都のカフェで知って、こっちに来てくれる旅行客が増えるかもしれん。


 これは本店の増築をしっかりやらないとな。来てくれたお客さんは逃さずつかんで、満足して帰ってもらえるようにサービス考えないと。






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