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6 異世界転生したらカフェを作ることになったんだが

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二百九十七話 ジゼリィ=アゼリィ王都進出計画 13 有休ハイラと王道リーガル様


「あ、旦那。昨日はお楽しみ……」


「何もしていない。俺は誇り高き現在進行系童貞だ」


「そ、そうっすか……」



 女性陣が起きてきたら面倒なことになりそうだったので、俺はすぐに部屋を出て本来割り当てられていた男部屋へ戻る。


 部屋に入った瞬間ベスが心配そうに足元に絡み、ノート片手の料理人シュレドが何やら誤解を生む発言をしかけたので慌てて手をかざし否定。


 なんで真顔で童貞宣言してんだ、俺。



「せんせーい! やりました! 有休たっぷり取ってきました!」


 シュレドのレシピノート見ながら王都で出すメニューを相談していたら、ドアが勢い良く開き私服姿のハイラが飛び込んでくる。


「あれからみんなにお願いして、お休みをいただいてきました! これで先生が王都にいるあいだはずっと一緒です」


 超笑顔のハイラが俺の左腕に抱きついてきたが……そういやお城に着いてからハイラを見かけなかったな。お休みを取るため、夜遅くなのにあちこち奔走していたのか。


「あれ、ハイラ雰囲気違うと思ったら髪下ろして化粧してるのか。かわいいなぁ、いつもの制服姿のキリっとしたのもいいが、柔らかな雰囲気の私服に甘い感じの化粧は俺好みだ」


 いつもハイラはポニーテールなのだが、今日は綺麗に下ろして、ロングの髪の先っぽを軽く結んでいる。キャミソールっぽいヒラヒラがいっぱいついた柔らかな素材の服にミニスカート。可愛らしいネックレスに飾り腕輪を付け、なんというか甘い雰囲気のフェイスメイクをバッチリ施している。


 すっげぇ気合入っているのが伝わってくるぞ。


 ハイラは元々かわいい子だし、化粧するとさらによくなるなぁ。


「か、かわっ……! 先生好みの……! やりましたっ、この日の為に大型商業施設で可愛い服買って、化粧も頑張って覚えたんです!」


 こ、こらハイラ。シュレドがいるんだからあまり抱きつくな。


「うっはーさすが旦那っす。そうやって自然に褒めるといいのか。なるほど、俺も勉強しないと」


 シュレドが違うノートを出し、何やら書き込み始めた。


 レシピをメモるのは分かるが、童貞の俺から恋愛の何を学ぼうってんだよ、シュレド。そういうのはイケメン騎士、リーガルなんか得意そうだぞ。あいつ絶対モテるに決まっている。最初見た時、どこぞの王子様かと思ったし。



「そういえばサーズ様が朝から国王の立場であり、お姉様であられるフォウティア様に呼び出されていたらしいですけど、何かあったんですかね。あと、温泉施設の横のトレーニングルームで、大汗かきながら朝の鍛錬でお腹を鍛えているリーガルさんを見かけました。あの人が人前で必死に鍛えている姿を初めて見ました」


 ……さぁ、どうしたのかね。俺は昨日の夜の記憶が無くてな。


 何か騒ぎはあったらしいが、部外者の俺が王都の王族であられるサーズ姫様のプライベートなことに首を突っ込める立場でもないしな。


 リーガルも、あまりにイケメン過ぎると変にこじらせて筋トレに走るのかね。


 俺が見た夢の話だと、ピンクのクマさんにボコられたみたいだから、打倒クマさん……なんだろうか。知らんけど。



 アンリーナによると、一時間後の午前九時にカフェで雇ったスタッフさんが集まるとのこと。


 じゃあ、シュレドと調理スタッフさんに料理を作ってもらい、全員でお昼ご飯を食べるプレオープン的なことをやってみようか。


「分かりましたわ。もう各契約農家さん達から食材は入って来ていますので、まずはスタッフ全員にお店の味を覚えてもらいましょう」


 さすがアンリーナだ。もう今すぐにでもオープン出来るぐらい準備が完了しているとはな。


 こっちに来たら、人材確保と食材確保に奔走するところから始まると思っていたんだけど。まさか建物完成どころか内装、設備、人員・食材確保に接客指導まで終わっているとは思わなかった。



 ロゼリィ、ラビコ、アプティと合流し、昨日の夜行ったけど、色々問題が起きてまともに見れなかったカフェ ジゼリィ=アゼリィに改めて向かうことに。




「やぁ、おはよう。無事だったようだね」


 お城を出ようとしたら、お風呂上がりと思われるイケメン騎士リーガルが近寄ってきた。無事? なんのことか。


「あっはは~大変だったね~リーガルも。あのド変態姫の世話は心病むだろ~」


「おはようございます、ラビコ様。やはりラビコ様は王都がお似合いです。いえ、昨日のことで自分の未熟さを痛感出来ました。サーズ様はどんな時も慢心せず、例え特殊な状況下だろうが己を見失うことなく行動せよ、と体を張って教ようとしてくれていたのだと思います」


 ニヤニヤ話しかけてきたラビコにリーガルがザッと敬礼し、真面目な顔で語る。ほんと、外見は王子様みたいな男だな。


「すまない、僕にもっと力があれば君を守れたのに。でも見ていてくれ、僕はもっと鍛錬をし、サーズ様やラビコ様、銀の妖狐を撃退した英雄である君には及ばないが、せめて自分の手が届く距離の人を守れる力を手に入れてみせるよ」


 王子が決意した顔で俺を見てきた。

 

 なんだよ、この格好いいセリフは。


 見た目は王子、心は勇者。多分、リーガルが主役の物語は安心して読める王道ストーリーなんだろうなぁ。俺とは真逆っぽい。



 ラビコに聞くと、彼の本名はアーリーガル=パフォーマというらしい。王道好きの紳士諸君がいたら、ぜひ彼の名を覚えてあげて欲しい。






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