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二百八十一話 正社員五人娘とアプティの謎行動様


 夕方、ジゼリィ=アゼリィの食堂に五人娘が集まる。



「──ということで、今後の宿、食堂増築に伴い戦力補強をしたい。君等ははっきり言って超優秀だ、ぜひとも社員として雇用したい。この書類に詳しい説明とかが書いてあるのでよく考えて……」



「やります!」

「やったのです、これでもっと隊長のお側にいれるのです」

「いいのか兄貴! お給料増えるんだろ!? くぅーっ最高だぜ!」

「ふふふ……王都の知り合いより……高給取りになれる……ふふ」

「半額ご飯目的で始めたバイトが定職に。定食が定職、ビジネスランチ」



 俺の説明に食い気味にバイト五人娘がズバッと手を挙げる。


 よかった、みんなやってくれるようだぞ。これでいつでも増築出来るぜ。



 バイト五人娘に書類を書いてもらっている間、ちょっと雑談。ここのお給料は相場よりかなりお高いお値段だそうだ。


 待遇もかなり良く、王都で働くよりジゼリィ=アゼリィがいいと判断してくれる人も多いとか。


 まぁ、かなり儲かっているそうだし、ローエンさんが従業員のみんなをとても大切にしているからな。



「あーなんか夢のようです、ここのアルバイトに応募してよかった。ご飯美味しいし、仕事楽しいし、お風呂入り放題だし……あと隊長がいるし」


 セレサが書類を書き終え、笑顔で俺を見てくる。


「私、王都に出ようか地元のソルートンに残るか悩んでいたんですけど、ふと噂に聞いたこのお店になんとなく食べに来て衝撃を受けたんです。こんな美味しいお店が地元にあったんだって。タイミング良くアルバイトさんを募集していたので、もうすぐに応募しました」


 ほう、セレサはお客さんで来てくれていたのか。お風呂施設が出来る直前のあたりかね。


「実は隊長のことはお店に来る前から知っていました。その……浮気男とかなんとか……結構街で噂になっていましたよ。ま、まぁここに来てからも色んな噂が一人歩きしていましたが、実際会ってみて全然印象が違ってビックリしました。あはは」


 うーん、俺は結構悪い噂が出回っているからなぁ。もはや諦めているが。


「すっごい優しくて、他人想いで、笑うと心を持っていかれるぐらい可愛い笑顔で……」


 セレサが赤い顔で俺を見てくる。


「あ、ず、ずるいのです! わ、私も隊長の笑顔が好きなのです!」


 書類を書き終えた、ロゼリィに匹敵するボディをお持ちのオリーブが慌てて立ち上がった。



「はいは~い、そこまでさ~。社長~お昼のことでまたその悪い噂が広まっているみたいだから~これ以上誤解されるような行動はやめたほうがいいよ~。いや、ラビコさん的には面白い方向に進むのは大歓迎なんだけど~あっはは~」


 ラビコがドッカと俺の右側に座り、悪い顔でニヤニヤ。まさに魔女、だぞ。その顔。


「ほら~お昼にセレサにお前が欲しい、的な宣言したじゃない~? そこで私も愛人なら数人は大丈夫~とか言ったあれさ~はたから見たら結構な状況なんだよね~あっはは~。案の定、社長は三人の女囲って、さらに愛人五人の一人にマジ告白してドロドロの状況に~みたいに噂なってるよ~」



 セレサにお前が欲しいなんて言ってないって。俺の側にいろ、とは言ったけど。いや、ジゼリィ=アゼリィ本店の主戦力としてここにいて欲しいって意味な。それがなんで悪い噂になってんだよ。


 バイト五人娘がそれを聞いて苦笑い。


「あっはは~私は自分の夫がモテるのは嬉しいし~もっと面白い方向にアレンジ加えた噂を広めちゃおうっかな~」


 やめるんだラビコ。いや、やめて下さいラビコ様。自然に広まった噂と違って、ラビコアレンジが加わった噂はどうステップアップするか分かったもんじゃねぇ。

 あと俺はお前の夫じゃないっての。




 とりあえずなんとなくローエンさんに宿増築の話はしたけど、こういうことは一度アンリーナにも聞いたほうが良いアイデア出そうか。今度会ったら相談してみよう。


 今回のお金は全額俺が出すし、いい物が出来るなら王都のレースで貰ったお金のソルートン側にある分全部使ってもいいぐらいだぞ。ああ、金ならあるんだ。


 一応、俺はこのジゼリィ=アゼリィに雇われていて、毎月お給料は貰えているから使い切っても問題はない。ああ、王都の銀行にまだだいぶあるし。



「そうだ、アプティにお小遣い渡さないと」


 毎月アプティには少額ではあるがお金を渡している。どうもお金を一銭も持っていないみたいだったし、毎月少額と、欲しい物があったら買ってあげている。


 あまりアプティは物は欲しがらないな。アプティの正体は蒸気モンスターだし、人間の物にはあまり興味が無いのかね。


 ああ、紅茶とアップルパイはアホみたいに飲み食いしている。



「はい、アプティお小遣いだ。大事に使うんだぞ」


「……ありがとうございます、マスター。嬉しいです」


 お金を渡すとアプティが無表情ながらも、その場でぴょんぴょん跳ね喜びを表現している。ちょっとかわいい。


 貰ったお金で、すぐにアプティがカウンターで紅茶とアップルパイを注文している。行動がはええ。


「……あと、いつものを……」


 カウンターで販売しているローズ=ハイドランジェのシャンプーとボディソープをついでに買っているな。まぁアプティも女の子だし、気に入ったんだろう。


 アプティもジゼリィ=アゼリィの従業員割引をローエンさんに認められていて、他のお店より安く買えるからな。



「あ~いいな~いいな~私もお小遣い欲しいなぁ~あっはは~」


 その様子を見ていたラビコがなぜか俺に両手を差し出してきた。アホか、お前とんでもないお金持っているんだろ。ああ、あと傭兵代、一日一万Gとかいうぼったくり金額は払う気ないからな。



 アルバイト五人娘の書類記入も終わり、皆持ち場に戻る。アプティがカウンターで受け取った紅茶ポットとアップルパイ三枚をうきうきで持ってきて、俺の正面の席に座った。


 もうすぐ夕食なのに三枚も食うんかい。



 アップルパイ三枚を瞬時に食い終えたアプティが立ち上がり、脇に置いていたローズ=ハイドランジェのシャンプーとボディソープを抱えて外に出ていった。時刻は十八時過ぎで外は完全に夜。



「……もうすぐ夕食なのにどこに行くんだろ。秘密の場所にでも隠しているのか?」


「ああ、アプティは定期的にここでシャンプーとボディソープを買って、すぐにどこかに持っていっていますよ」


 ロゼリィが仕事の休憩時間で俺の左側に座ってきた。


 俺の計画とは違う計画の話をロゼリィがローエンさんに熱弁したおかげで、結構大変な目にあったが……まぁいいか。


「どこか? 知り合いでも出来たのかね」


「あ~ラビコさん分かっちゃったよ~! あれだよ、男。きっと男が出来たんだよ~あっはは~」


 ラビコが喜々として叫ぶ。


 アプティに男? 蒸気モンスターだぞ、アプティは。いや、見た目はかなりの美人だしな、ありえるか……。


「あれあれ社長~追わなくていいのかい~? あまり世間を知らないアプティが騙されているかもしれないんだよ~? しかもこんな夜に……何かされちゃったり~?」


 む、たしかにアプティは蒸気モンスターということで、ちょっとズレているところがあるけど……。少し心配になってきたぞ。



「全員起立! これよりアプティの後ろをこっそりさりげなくごく自然に歩く。ロゼリィ、ラビコ、ちょっと俺と軽く夕食前デートしよう。たまたまアプティと同じ方向に、だ!」


「あっはは~楽しそうだぞ~行こう行こう~」

「で、デートですか!? あ、少し待って下さい着替えて……」



 多分、何も心配はいらないだろうが、ちょっと蒸気モンスターであるアプティの行動を観察してみよう。







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