表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化&コミカライズ!】異世界転生したら愛犬ベスのほうが強かったんだが ~職業街の人でも出来る宿屋経営と街の守り方~【WEB版】  作者: 影木とふ「ベスつよ」②巻発売中!
5 異世界転生したら花の国があったんだが

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

271/697

二百七十話 紅茶巡り紀行 8 目的達成ラベンダルからビスブーケへ様


「うわわっ、すっげぇ! ホテルローズ=ハイドランジェのご招待券……! 今年もあの豪華ホテルに泊まれるのか!」


「いつもお世話になっています。こちらをお使いになって、お疲れになった身体に癒やしと英気を」



 紅茶選びも終わり、時刻は午後六時。


 空は茜色から暗闇へと変化していく。このあたりは広い農園が多くあって、街灯があまりないので夜は本当に真っ暗になりそうだなぁ。



 アンリーナが例のホテルチケットを、ガウゴーシュ農園のスタッフ分手渡している。すっげーな、あれ結構な額になるよなぁ。


 ササリアさんとガウゴーシュ夫妻が大喜び。


「すまんねぇ、アンリーナさん」

「でも、毎年スタッフ全員分貰えているけど、いいのかい?」


 ガウゴーシュ夫妻が結構な額の物だと分かっているようで、おどおどと聞いてきた。


「もちろんですわ。皆様からご提供いただいている紅茶の価値はそれ以上の物です。これからも末永くホテルローズ=ハイドランジェをよろしくお願いいたします」


 アンリーナが深々と頭を下げる。それを見たガウゴーシュ夫妻とササリアさんが慌てて頭を下げ返す。



 今気付いたが、アンリーナは毎年このルートを回っているのか。


 でもこれはホテルローズ=ハイドランジェの紅茶だけのお話。他にも食材や調度品……その他もろもろ、お世話になっているところがいっぱいあるんだよな。他にも化粧品の販売関係先、さらには魔晶石の販売関係先……こりゃあアンリーナが忙しいわけだ。


 アンリーナが世界の地理や事情に詳しいのはこういうことか。仕事の挨拶周りだけでも世界を巡らなければならないもんな。

 

 なんかすげぇな、アンリーナって。



「フォァ! し、師匠? ああ、なんと大きくて優しい手……」


 気付くと俺は普通にアンリーナの頭を撫でていた。アンリーナの商売関係のスキルの高さはとても尊敬に値する。


 ラビコの頭の回転の早さ、魔法の能力、人としての考え方。アンリーナの商売能力、手際の良さに素早い行動力。すごいなぁ……なんか尊敬できる人が側に普通にいるって、すっごい幸せなことだと思う。


 ロゼリィはその優しい心で俺を癒やしてくれるし……たまに鬼は怖いけど、それは俺が何かやらかした結果だしな。

 アプティは……俺を勝手に裸にむいたり、勝手にベッドに潜り込んできたり。えーと、なんだろう……いや、何度も命を助けてもらっているぞ。アプティがいなければ俺、何度も命を落としているだろうしな。


 本当に俺、異世界に来てよかった。俺の周りにいてくれる人を見るだけで、心からそう思う。

 誰が俺をここに呼んだか知らんが、感謝だ。





「ヌッフフフ……ヌフ……」


 ガウゴーシュ農園のみんなに見送られ、俺達は馬車でラベンダルへと戻ることに。もう暗くなってきたぞ。


「ヌフッフ、師匠の愛の撫で撫でが……」


 正面に座っているアンリーナが変な声をずっと漏らしているが、どうしたもんか。


 

 二十分後、ラベンダルに到着。

 時刻は午後六時二十分過ぎ、もう日も落ちて暗闇の世界だ。


 駅前はさすがに商店が多くあり、観光客もいるので明るく賑わっているが、ちょっと目を郊外へ向けるとそこは真っ暗な世界。

 街の周囲は花畑や紅茶畑になっているので街灯もなく、本当に暗い。あの辺、夜に歩くのは怖そうだなぁ。



「皆様お疲れ様です。これにて私の挨拶回りは終わりとなります。お付き合いいただきありがとうございました」


 ラベンダルの駅にてアンリーナが俺達に頭を下げる。


「や、やめてくれアンリーナ。お礼を言うのはこっちだ。ありがとうアンリーナ、おかげで美味しい紅茶がたくさん手に入ったよ」


 実際アンリーナがいなければ、花の国フルフローラをアテもなくうろうろ歩き回って途方に暮れていただろうし。人脈って大事だなぁ。


「いえいえ、師匠の為でしたらこのアンリーナ=ハイドランジェ、使えるものは全て使ってでもご期待に応える所存ですわ。それに王都のカフェ計画は我がローズ=ハイドランジェも一枚噛んでいますので、資金を投入するのは当然ですわ」


 ありがてぇ話だ。よし、俺ももっとがんばらないとな。

 そう言いながらアンリーナが列車の時刻を確認。さっと走ってチケットを買ってきてくれた。


「皆様、お疲れでしょうがもうひと踏ん張りです。すぐに列車でローズアリア経由でビスブーケへと戻ります。今からだと夜の七時半には到着出来ますわ」


 すぐに移動か。

 俺達は六時四十分発の列車に乗ることに。ここから三十分でローズアリア、さらにそこから二十分でビスブーケに着く行程。アンリーナがいるとのんびり見て回る感じではないが、さっさと迷わず移動出来ていいな。


 今回は旅行ではなく紅茶探しの旅だからな。のんびり見て回るのはまた次回にしよう。



 とりあえず紅茶探しの旅は目的達成。あとはソルートンへ向けて帰路につく。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ