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二百六十五話 紅茶巡り紀行 3 紅茶畑とエレファント様


「では馬車で農園のほうへ向かいましょう。ここから三十分ほどの高原になりますわ」



 駅のすぐ側にある馬車乗り場。そこの待合室にあった地図を指し、アンリーナが説明をしてくれる。


 王都のカフェで出す美味しい紅茶を探しに俺達は花の国フルフローラに来た。


 アンリーナのホテルで契約している紅茶の農園が、ここから馬車で三十分のところにあるそう。高原か、いい景色に美味しい空気と紅茶が楽しめそうだぞ。


 俺達はアンリーナがお世話になっている紅茶の農園に挨拶回りへ行くのに付いていく、という形になっている。いきなり見ず知らずの俺達が行っても相手にされないだろうし、アンリーナのつてで紹介してもらい仕入れが出来ないか相談してみる予定。


 なんか何から何までアンリーナに頼ってしまっているなぁ。今度きちんと感謝を形にしよう。


 目的地を告げお金を支払い馬車に乗り込む。


 

「うわぁー綺麗です。本当に絵葉書とか絵本の世界に来たみたいです」


 馬車がローズアリアの街を出ると、すぐにバラが育てられている畑があった。広大な面積に多くの種類のバラが植えられ、その美しい風景にロゼリィが大喜び。

 馬車の中に花のいい香りが充満していく。


「うわーすごいな。空気が花の香りで満ちているぞ」


「あっはは~ここは古くからバラが育てられていて、そのバラの香りで街中が満たされているからローズアリアって名前がついたんだとさ~」


 ラビコが笑顔で教えてくれたが……へぇ、そういう街の名前の由来があるのか。俺達の街は塩が多く取れるからソルートンだっけ? なにか格好良さにもの凄い差を感じるぞ。



 街の名前の由来になった花畑を抜け、馬車は山側へ進んでいく。あちこちに花畑がひろがっていて、とても美しい風景。

 木があまり生えていないのが不思議になってラビコに聞いてみると、元は木がまばらに生えた荒れた土地だったのを、長い時と手間を掛け整地し畑を作ったそうだ。すごいなぁ。


 なんとなく北海道の富良野とか十勝の風景みたい。



 山側の高原の方へ向かっていくと、花畑から緑のモサモサしたものが一列に植えられた風景に変わってきた。


「……マスター。あれ……あれです」


 何かに気づいたアプティが狭い馬車内で立ち上がり、俺の膝の上に子供のように座って窓の外を興奮気味に指している。

 なんだ、あの植物がどうしたんだ?


「あれが紅茶の畑です。ホテルローズ=ハイドランジェと契約をしていただいているグリン農園になります……チッ」


 アンリーナが俺の膝に甘えたように座るアプティを鋭い視線で睨みアンド舌打ちをしながら教えてくれた。

 俺はこれはチャンスと、表情には出さないようにアプティのお尻が柔らかいことを膝で堪能していたら、ロゼリィもムスっと俺を見てきた。どうやら膝をちょっとだけ、ほんの少しアプティのお尻をまさぐるように動かしていたのがバレたようだ。


 俺には密かに紳士的にエロを堪能する時間もないらしい。



「へぇ、紅茶ってああなっているのか。初めて見たよ」


「そうだね~普通は加工された茶葉でしか見たことがないもんだよ~。あの木になった緑の葉っぱを発酵させて出来上がったものが普段見る茶色の茶葉ってことさ~」


 ほぅ、そういうことなのか。ラビコは本当になんでも知っているなぁ。俺ももっと色んな知識を身に付けないとな。


「もうすぐグリン農園さんに到着となりますが、師匠、そろそろ交代のお時間ですわ」


 そう言ってアンリーナがアプティを押しのけ、俺の膝に座ってきた。うむ、アンリーナはやっぱり軽いな。


「ヌッフォ……! これは想像以上に素敵な体勢ですわ……やはり新婚旅行というものはこうでないといけません!」


 ああ、その設定ってまだ続いていたんかい。



 ロゼリィが今までの様子をじーっと見てタイミングを伺っているが、さすがにロゼリィを膝に乗せたら俺のエレファントマグナムシャトルが火を吹くぜ。


 ラビコがニヤニヤしながら俺の股間あたりを見ている。ああすまない、すでにちょっとエレファントだわ。






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