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5 異世界転生したら花の国があったんだが

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二百五十一話 花の国フルフローラへ 2 グラナロトソナスⅡ号とヌフフアンリーナ様


「ようこそグラナロトソナスⅡ号へ!」



 船に乗り込むとアンリーナの合図で船のクルー達が楽器を使って歓迎の音楽を鳴らしてくれた。ああ、以前ケルシィに行くときに乗せてもらったときに見たクルーと同じ人達だ。なんか安心。



 演奏が終わると相変わらずラビコが人気で、クルー全員がラビコと握手をしようと列を成した。以前もそうだったが、さすが世界的に有名な魔法使いのラビコは知名度と人気がすごいんだなぁ。

 ラビコと握手をしたクルー達がすっごい嬉しそうな笑顔をしている。



「毎回申し訳ありませんラビコ様。その……クルー達がお写真も欲しいと言っていまして……」


 アンリーナがラビコに頭を下げ、言いにくそうにカメラを取り出した。


「いいのいいの~タダで乗せてもらっているんだし~。写真かい? いいよ~全員で撮ろうか~あっはは~」


 よく分からないが俺達と、グラナロトソナスⅡ号クルー全員と写真を撮ることに。まぁいい記念になるか。ベスをカゴから出し、しっかりリードを握って座らせる。




 朝六時。記念写真も撮り終わり、豪華高速魔晶船グラナロトソナスⅡ号がソルートン港を出発。


 天気快晴、風も微風。今でも少し暑いが、南に向かうので気温もドンドン高くなる。なんか暑いところってテンション上がるんだよなぁ。


「では前回と同じ部屋割りとなっていますので、ご自宅のように御くつろぎ下さい」


 アンリーナに船内を案内してもらう。まぁ、ケルシィに行く時に乗ったから覚えているけど。前回と同じ、五階にある客室に到着。

 真ん中がロビーのようになっていて、ソファーが並べられている。ちょっとしたカフェスペースも完備してあって、至れり尽くせり。さすがアンリーナの船だ。


「師匠……いいですか、この先に私の……」


 アンリーナがコソっと近づいてきて鍵を手渡してくる。ああ、前回と同じパターンだ。


「この通路の先がアンリーナの部屋なんだっけか。そういや見たことないな、やっぱ豪華な内装なのか?」


「ヌフフ……さすが師匠……いえいえ、いたって普通の内装ですわ。実は今回の新婚旅行に合わせまして、部屋のベッドを質の良いダブルベッドに交換しています。これでどんな激しい動きも……」


 今、ヌフフとか言ったか。そしていつの間にか婚前旅行から新婚旅行にステップアップしてるじゃねーか。


 アンリーナが熱く新しいベッドのことを語るが、軽く聞き流し荷物を割り当てられた個室へ置く。

 前回と同じ、綺麗な内装の部屋。八畳はあるだろうか、備え付けのソファー、クッションのいいベッド、さすがにアンリーナの船は置いてある一個一個の物の質が高い。




 各自荷物を部屋に置き、ロビーに集合。アンリーナから今後の航程の説明を受ける。


「さきほど朝六時出港となりました。お昼を過ぎまして十四時にペルセフォス王国の大人気リゾート地、ティービーチに到着いたします」


 早いんだな。って、この船普通より半分の航程で着くんだっけか。普通の船ならティービーチに着くのは二十二時ってわけか。

 これは大きな差だなぁ、特に乗り物酔いし易いロゼリィにはありがたいだろう。


「ペルセフォス王都からティービーチには魔晶列車が通じていますが、今回はソルートンから行くことになりますので、船のほうが近い旅程になりますわ」


 なるほど、ソルートンは魔晶列車が通っていないからな。地上ルートだとソルートンから馬車でフォレステイ、そこから魔晶列車に乗って王都へ。そこで乗り換えで南に向かう魔晶列車に乗ることになるそうだ。


 アンリーナが地図を交え、分かりやすく説明をしてくれる。まぁ、船のほうが早いわな。ましてやアンリーナご自慢のこのグラナロトソナスⅡ号は、普通の船の二倍の速度が出るからな。


「船は直接ティービーチの側にあるカエルラスター島に入港いたします。大きな島に観光用の街が出来上がっていて、大変美しい砂浜と海が広がっている世界有数のリゾート地ですわ。そこに我が社の経営するホテル『ローズ=ハイドランジェ』がありますので、そこで今夜は一泊となります」


 おお、世界有数のリゾート地かぁ。それは期待が高まるなぁ……って俺達の目的はそこじゃなくて、そのさらに南にある花の国フルフローラだった。



 まてよ……ってことはあれか。カエルラスター島で水着美女を眺め、花の国フルフローラでも薄着美女を眺める……と。素晴らしい……これほど奇跡の旅行はあるだろうか。しかも船代はタダ。


 いやアンリーナにお金は払うと言ったんだが、チケットには移動のお金も含まれているの一点張りで支払いを拒否された。


 花の国に行くのにも船を出してくれるそうで、ついでに仕事を済ませるとか。花の国フルフローラには、今から行くホテルで出している紅茶の仕入れ先があるので、挨拶回りに行くんだと。

 カエルラスター島まではチケット、そこから先は仕事で行くのに俺達が付き合う、という形だからお金はいいんだとさ。男前過ぎ、アンリーナ。

 


「くれぐれもカエルラスター島での主役は私と師匠になりますので、脇役の方々は邪魔をしないようお願いします」


 アンリーナがキッと鋭い視線をアプティに送る。


 そういやアンリーナってアプティが苦手なんだっけ。いや、苦手って言うか寝ている俺にちょっかい出そうとして、アプティに全て防がれたんだったか。

 普段は寝ている間に勝手に全裸に剥かれて服を洗濯されて困っているが、こういうときは頼りになるぜ、アプティ。



 今俺が一番恐れているのは、アプティとアンリーナが利害一致で手を結ぶことか。


「……マスター?」


 俺の不安な視線に気付いたアプティが、アンリーナの鋭い視線を無視して俺の方を向いた。



 ……大丈夫……だよな?




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