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5 異世界転生したら花の国があったんだが

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二百四十三話 花の国と水着の国様


「兄さーん、ちょっとお聞きしたいことがあるんですが」


「やぁ、どうしたんだい? またなにか新メニューがひらめいたのかい?」



 お昼。厨房にいた神の料理人、イケメンボイス兄さんに相談してみた。新メニューはまた次回ってことで、紅茶の産地について相談。




「ふむ……」


 イケメンボイス兄さんから聞いたお勧めの産地と銘柄を紙にメモり、食堂の壁にかかっている地図とにらめっこ。


「ダメだ、全く見つからない。どこだよラベンダルって」


 デザイン重視の大雑把に書かれた世界地図なので、細かい地名は書いてない。アテもなく世界地図から一つの地名を探すのは時間のムダか。


「おや~どうしたんだい社長~またどこかに行こうってのかい~?」


 ラビコがドーナツをかじりながら歩いてきた。お、今日のデザートにはドーナツが付いているのか、後で食べよう。


「いや、兄さんに紅茶の産地を聞いたんだが、どこにあるのか全く見つからなくてさ」


「ふぅ~ん、どれどれ~」


 メモった紙を見せると、ラビコが俺の後ろから抱きつき紙を覗き込んでくる。うーん、ラビコの髪とドーナツからいい香りがする。あと、柔らかいものが……ね。


「ふむ、これほとんどフルフローラだね~。ペルセフォスの南にあるあっつい国さ~」


 フルフローラ。聞いたことがないな。南にある暑い国それはあれか、皆が薄着で露出多めなのか。


「花の国って言って~花の生産が盛んな国さ~。茶葉でも有名で~お茶がいっぱいあるのさ~。おいしいのはかなりの値段だけどね~」


 花の国、なんともメルヘンチックな感じがするな。花とお茶の産地か。花が多くあるならハチミツとかありそうだな。なにかいい食材も見つかるかもしれん。


「花の国か、いいなぁ。ペルセフォスのカフェで出す紅茶にバリエーションが欲しくてさ、茶葉の仕入れに行ってみようかな」


「おほ~いいね~最近寒い国行ってたから暑いとこは大賛成さ~あっはは~」


 そう言ってラビコが笑顔で喜ぶ。まぁ、普段着が水着だしな、ラビコは。そりゃー暑いところのほうがいいだろうな。


「なぁラビコ。その国は暑いんだよな。じゃあその国の人はどんな格好をしているのかな」


 いや、必要な情報だろう。これから行くかもしれない場所の情報は欲しいじゃないか。全員水着で暮らしているとか素晴らしい国かもしれないだろ。


「あっはは~社長~目がヤバイって~あっはは~。そりゃ~暑いところだから~薄着ではあるけど~」


「よし行こう。俺の魂がそこに行けと言っている。主に若い女性が集まるオシャレな場所に行って、カフェメニュー開発の参考にしよう」


 カフェのターゲットは若い層。当然女性が喜ぶメニューを増やしていく予定だし、ワールドワイドに考えて世界で通じるメニューを考えなければならないんだ。これは使命なんだ。決して水着天国のビジョンが浮かんでいるわけではない。



「あっはは~……だめだこりゃ~社長の頭が女の裸でいっぱいだ~。まぁ~まずはアンリーナに相談したほうがいいと思うよ~」


 ラビコが諦め顔で溜息をつく。やはりこういうことはアンリーナか。まだ彼女はペルセフォスの王都でカフェの建設の指揮をとっている。一段落したら戻ってくるだろうし、そこで相談してみよう。



「ふはは。待ってろよ、水着の国」


「だから花の国だって~。あんまり欲丸出しでいると鬼がくるよ~」


 おっと、そうだった。朝にロゼリィにたっぷり怒られたばかりだったな。だが俺は負けないぞせっかく異世界に来たんだ、ちょっとぐらい欲を出したっていいじゃないか。鬼なんて怖がっていたら何も出来ない──


「水着の国ってなんですか? ふふ、ふふふふ?」


 さて俺は後ろを振り返りたくないんだが、どうしたらいいだろうか。ラビコはささっと逃げていった。


 勇者とは勇気ある者だっけか。そうだな、俺は異世界に来た勇者なんだ……勇気の魂を心に灯して、いざ、振り返る──





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