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4 異世界転生したら魔法の国があったんだが

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二百三十四話 カフェ出店場所下見とペルセフォス国立図書館様

「この図書館の向かいが王族所有の土地となっている。今は公園となっているが、ここにカフェを作ってくれると私含む、お城勤務の騎士達、学校に通う学生達が喜ぶと思うぞ」



 美術館みたいな豪華な見た目で巨大な施設の図書館、その向かいにその土地はあった。


 お城の入り口の目の前という立地だけで、お城の人達という固定客がつかめる。そしてお城の敷地内にある学校に通う騎士を目指す学生達の流れも期待出来る。プラス図書館利用者、か。




「これはいけそうだぞ」


「ですわね。この好立地、サーズ様のご厚意がなければ不可能なものです。すでに勝利は確実かと」


 俺とアンリーナがグッと握手をする。




「こ、ここだと本来相当な借地料がかかりそうですね……」


 ロゼリィが場所の価値に気付いたらしく、軽く震えている。だろうな、俺は土地勘がないからどれぐらいの値段か分からないが相当なものだと思う。いいのだろうか、無料で借りてしまって。


「サーズ姫様、ここ相当な場所ですが、いいのでしょうか……」


 俺もさすがに不安になり、改めてサーズ姫様に聞いてみる。



「構わんよ。見ての通り持て余している土地だ。国民の笑顔のために利用してくれるなら、こちらから頭を下げたいほどだよ、はは」


 サーズ姫様が微笑む。うーん。ウエディングドレス姿で微笑まれると、違う気が起こりそうだ。

 目立つウエディングドレス姿、それがサーズ姫様だと気付いた通行人の視線がすごいな。


「うわわーここにロゼリィさんのお店が出来るんですかー、すっごい楽しみですー。先生が普段食べている物を味わえるということは、離れた場所にいる先生と繋がるということですよね。すなわち恋人です、やりました!」


 ハイラがニッコニコ笑いながら抱きついてくるが、俺には後半の意味が分からない。



「師匠、これは相当なことですわ。お城の付近は土地価格が安定して高く、しかもお城の入り口目の前。ここを正規に借りようとしましたら、それだけで毎年一軒家が数軒建てられる費用がかかると思われます」


 アンリーナが小声で俺に伝えてくる。毎年数軒の一軒家……それ相当だろ。


「その土地を無償で貸し出してくれる。サーズ様が師匠をそれだけ信頼している、ということですわ。短期間でここまで王族であるサーズ様の信頼を勝ち得ることが出来た師匠、本当にすごいと思いますわ」


 この辺はラビコに感謝だな。全く繋がりがなかったら、ここまでサーズ姫様とは親密にはなれなかっただろう。ラビコとサーズ姫様の仲がいいからこそ、俺が入ってこれた。そういうことだ。



「ありがとうございます、サーズ姫様。ご厚意に甘え、この場所を使わせてもらいます。カフェジゼリィ=アゼリィとアンリーナのローズ=ハイドランジェのお店をここにドカンと建てようと思います」


「ああ、すぐにでも取り掛かってくれ。早く美味しいものが食べたいからな、はは」


 サーズ姫様に頭を下げる。場所も決まった、あとはシュレドに頑張ってもらうしかない。



「それではここからは私にお任せを。サーズ様、細かい書類は後ほどよろしくお願いしますわ。業者もこちらで手配しても構わないのでしょうか」


 アンリーナが俺の前に立ち、商売人モードが発動。頼りになるぜ。


「了解した。業者もそちらの意向で選んでもらってかまわない。お城の前なので、派手であったり、景観を損ねるものは避けてもらいたいが、そこはアンリーナ=ハイドランジェ殿がすでにご存知だろう。まぁ、あまり卑猥な建物はよしてくれ、そういうことだ。はは」


 卑猥な建物ってどういうものなんだろうか。想像が追いつかない。まぁカフェなんで、奇抜な建物にはならないと思うが。出来たらソルートンのジゼリィ=アゼリィと似た外観がいいなぁ。来たときに安心出来ると思うんだ。


 アンリーナとサーズ姫様が細かい話をしているが、一応希望を言っておくか。


「なぁアンリーナ、出来たらソルートンのジゼリィ=アゼリィと似た外観がいいんだ。そのほうが俺が安心出来るというか……だめかな」


「なるほど、分かりましたわ。お店というものは、支店を出すときには同じ外観のほうがお客様が安心して入ってこれるというものです。それではこちらのお店もそちらの外観に合わせましょう。ペルセフォスにはすでにお店はありますし、今回はカフェジゼリィ=アゼリィ内にローズ=ハイドランジェがあるというコンセプトで行くことにしますわ」


 おお、通ったぞ。しかしアンリーナはすごいな、頭の回転が俺とは違いすぎる。


「そうですわね……もしかしたら別々に建てるより、ソルートンのようにジゼリィ=アゼリィ内にコーナーを作って頂いて、カフェの集客を利用したほうが売上が望めるかも……魔晶石ではなく化粧品やシャンプーなどの販売ですから、カフェを利用する若い方と客層は似ているはず……ふんふん」


 何やらガリガリとメモ帳に書き込みを始めるアンリーナ。あれ、お店は土地半分づつの併設じゃないのか。まぁ、このへんはアンリーナに任せて追々詰めていこう。




 立ち話もなんなので、向かいの図書館に来てみた。


 とても大きな施設、見た目も豪華で石造りの美術館といった雰囲気だろうか。中も日本の図書館ではなく、外国の図書館という感じ。学校の体育館よりも大きい吹き抜けの建物の壁際に巨大な本棚が作られ、大量の本が並べられている。


 なんというか圧倒される。中央にはオシャレな椅子とテーブルが大量に置かれ、各々好きな場所で本を楽しめるスタイル。基本飲み食いは禁止で皆静かに本を読んでいる。



 窓際の観葉植物が置かれたテラスのような場所に王族専用の場所が作られていたので、サーズ姫様の特権でそこを使わせてもらう。ありがたい。


 サーズ姫様とアンリーナはカフェ建設の話をしているので、俺はラビコを連れて歴史の本を選んでもらっている。


 ロゼリィは鼻息荒く、経営学みたいな本を借りて読んでいたが、すぐに青い顔になり本を返却していた。

 ベスはカゴに入れて待機してもらっている。アプティはぼーっと窓の景色を見ている。



「これなんかいいかな~でもこういうのって嘘も多いんだよね~書いた人や特定の人の権威を上げるために誇張して書かれていたりしてさ~数百年前のものとかは証拠もないからどうしようもないってね~あっはは~」


 ラビコが笑いながら何冊かの本を選んでくれた。まぁ、記録出来るものが本とか石碑ぐらいだからな。口伝なんて伝言ゲームがごとく正確には伝わらないし。


 本に書いてある事は額面通り受け取らず、そういう考えもあるのか、ぐらいの受け止め方で読むのが正解か。



「ハイラはこの世界の歴史とか詳しいのか?」


 左側に抱きついて離れないハイラに聞いてみた。学生時代は優秀な成績で才女だったみたいだが。


「歴史ですか? うう、私丸暗記タイプなので、流れとか苦手ですー」


 ハイラが苦い顔になる。俺もテスト前日一夜漬けタイプだからよく分かる。



 何冊かパラ見してみたが、確かに本によって書かれている内容が違う。同じ事件や出来事でも、書かれた場所や時代によって真逆のことが書かれているほど。


 これは参考にならんな。もはやフィクションとして、楽しんで読むしかないな。



 それでもどの歴史の本にも書かれているキーワードは魔法と魔晶石という物、だろうか。


 魔晶石の登場以降、この世界は大いに発展を遂げている。魔法も同時期に生まれたらしく、意外と歴史が浅いのか。古い国は数千年前からあるようだが、魔法と魔晶石は八百年前あたりから出てきたっぽい。


 この辺は以前アンリーナが言っていた、ローズ=ハイドランジェという会社の歴史にピッタリ当てはまる。


 長く続いていた蒸気モンスターの被害。これに対する有効な攻撃手段を持たず蹂躙されていた人間がついに反撃に出たキッカケが、この魔法と魔晶石の出現らしい。


 魔法の力によって、ついに人間は蒸気モンスターに対して勝利を収めるまでになったそうだ。とある人物が魔法を広め、魔晶石を開発した……と。何者なんだ、この人。






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