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4 異世界転生したら魔法の国があったんだが

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二百三十一話 帰還ペルセフォスとラビコの温泉様

「皆、今回はすまなかったな。だがおかげでこちらの用事はスムーズに進んだよ、ありがとう」



 全員借りていた部屋の片付けも終わり廊下に集合すると、サーズ姫様が俺達に向かい頭を下げてくれた。


「うわわっ! す、すいません元はと言えば私がゴネたから……ご、ごめんなさい!」


 サーズ姫様が頭を下げたのを見たハイラが慌てて一緒に頭を下げる。


「あ、頭を上げて下さい二人共、そんな身分じゃないですよ俺達。タダでセレスティアに来れてラッキーぐらいしか思っていないですから」


 俺は慌ててサーズ姫様に頭を上げるようにお願いする。確かに突然ではあったけど、マリアテアトロという素晴らしいものが見れただけでも来たかいあったしな。


「そう言ってもらえると助かるよ。では戻ろうか、我々のペルセフォスへ」




 十六時発ペルセフォス行き特急列車。


 しっかり防寒着を着て駅へ。サンディールン様が馬車を手配してくれ、見送りをしてくれることに。

 


「サッちんーまた来て欲しいな、もっとこうプライベートなことをしたかったのー。ほら、王族ならではの愚痴とかーそういうガールズなトークをー」


 サンディールン様がサーズ姫様にべったりくっついて甘えている。この二人本当に仲がいいんだなぁ。王族の愚痴はガールズなトークなんだろうか。


「はは、また来るさ。恋の話もしてみたいしな」


「あらー? サッちん、ついに白馬の王子様が現れたのかしらー。そのお話聞きたいなー」


 なんか白馬の王子っていうと、リーガルを思い出す。最初あいつ見たとき、どこのゲームから飛び出してきたんだよ、と思ったからなぁ。



「お姉様、お兄様、お元気で。私はこれからもラビコお姉様の一番弟子として精進していきます! またの再会を!」


 一緒に見送りに来てくれていたノギギが杖に刺さったカボチャを天にかざす。するとラビコもキャベツを刺した杖をかざし、クロスさせる。


「あっはは! 共に魔法の真髄へ向かおうではないか。また来ることをこのキャベツに誓おう!」


「はい、お姉様!」


 キャベツとカボチャがごっつんこ。傍から見たら野菜好きの会だな。





 見送りの人達に頭を下げて列車に乗り込む。



「なんだかんだ楽しかったなぁ。初めて魔法の国にも来れたし」


 最後尾のロイヤルな部屋に荷物を置き、ベッドに腰掛ける。ベッドは七個、特注で追加してくれたようだ。


「暖かい時期に来るのもお勧めだぞ。とても綺麗な花が咲く木がイベントをやった川沿いに植えられていてな。全ての木の花が咲き、舞い散る様は圧巻だぞ」


 サーズ姫様が少しうっとりしながら教えてくれた、ほう、ようするに花見だろうか。いいな、花を見ながら焼肉とかやってみてぇ。

 



 特急魔晶列車は順調に進み、翌日の夕方にペルセフォスへと到着した。一日で着くので、それほど身体の負担はないのがありがたい。



「帰ってきたな、皆ご苦労だった。お城の客室でその疲れを癒やしていってほしい、カフェの場所については明日案内しよう」


 駅にはお迎えの白を基調とした鎧を着た騎士達がズラリと並び、サーズ姫様に敬礼をする。


 出迎えの騎士達に手を振り答えつつ、サーズ姫様が馬車へと俺達を案内してくれた。



 ペルセフォスの街並みを眺めながらお城へ。



「これにて任務完了だ。すまなかったな、君達の貴重な時間を使ってしまった。その分見返りはきちんと用意しよう。約束だからな、はは」


 案内され、いつものお城の二階にある客室へ。サーズ姫様は俺と握手をし、お城の奥へと歩いていった。



「終わった~。あ~疲れたな~ねね、大浴場に行こうよ~」


 ラビコがニッコニコで俺の右腕に絡み、どこぞへと行こうとする。


「元気だな、ラビコ。俺疲れてるからとりあえず寝たいんだが……でも大浴場か、それは疲れた身体には効きそうだ。よし、行くか」


「はい、やはりお風呂は大きい方が好きです」


 俺の声にロゼリィが左腕に絡んでくる。この客室にも一人用の小さなお風呂はあるんだが、やはり狭いからな。足をぐっと伸ばせるお風呂に行きたいのは分かる。


「わ、私も行きます! 明日はお休みいただいていますから、今日は先生をたっぷりと癒やしのマッサージをします!」


 ハイラも握りこぶしを作りついてくる。


「大浴場は男女別なのですか?」


 アンリーナが当たり前のようなことを聞いてくる。そりゃそうだろ。ましてやお城の大浴場なんだろ? 一緒なわけがない。


「そりゃあそうだろ。な、ラビコ」



「あっはは~これだから庶民は困るな~」


 ラビコに当たり前のように聞いてみるが、なぜか高笑い。


 え、違うのか……? まさかペルセフォスの騎士になったら男女混浴の特典付いてんの? だったら俺、ペルセフォスの騎士になるぞ。お風呂の平和はこの湯気なんて物ともしない、俺のチートな目で守ってみせる。女体を主に、な。


「私がこのペルセフォスでどういう扱いか忘れたのかな~。なんと専用の研究所を持っているんだよ~」


 ああ、そういやセレスティアに行く前に行ったな。なーんにもない広い空間の建物。それがどうしたんだ。


「そういえば大部屋の向こうに結構な規模の温泉を作ってもらっているんだ~滅多に行かないから忘れてたし、準備は必要かもだけど~」


「ほう、あの建物に温泉があったのか。じゃあ皆で準備してひとっ風呂入るか」


 建物はかなり掃除が行き届いていたし、設備の管理もしっかりやっていてくれたようだからな。お風呂も少しの掃除とかで入れるかもしれん。



「あ、大丈夫ですよ。天然温泉を引き込んでありますから、お湯はいつでも満たされています。ちょっとタオルとかシャンプーとか持ち込めば入れますよ。私も掃除したことありますから! えへん」


 ハイラがさぁ褒めろオーラを放つ。これは撫でておくか。


「おお、えらいぞハイラ。よーしよし」


「えへへー、なにせ混浴ですからね」



 ハイラの最後の発言に女性陣がざわめき立つ。


「ラビコ、そこは混浴……なのか?」


「え~? 混浴とかじゃなくて~私専用の温泉だから~正確には女湯のみ、だね~でも社長は私が許可するよ~さぁ行こうか~」


 なるほど、ラビィコール研究所、だもんな。そこにある温泉施設もラビコ専用なわけだ。当然女湯になる。


 さ、さすがにそこには入れんぞ。



「……マスター、諦めてご覚悟を」


 アプティが俺の尻を下からすくうようにガツンとつかむ。うっ……ベスと二人で男湯でのんびりするつもりだったのだが。


「くっ……おいしいイベントですが、この面子ではむしろ逆効果……みなさん発育が良すぎですわ!」


 アンリーナが自分の胸を抑え唸る。


「あっはは~このメンバーだと有利なのはロゼリィ、アプティ、私、ハイラにアンリーナの順番になっちゃうかな~あっはは~」


 自分の大きな胸を水着の上からアピールしてくるラビコ。そこだけ比べたら……そうなるのか。ロゼリィの胸をチラと見て俺は喉を鳴らす。


「あー師匠! なんですかそのいやらしい目は! 私にはそういう視線を送ってくれたことはないのに! ううう! ずるいです!」


 俺の視線に目ざとく気付いたアンリーナが暴れるが、アプティがすっと近づいていき、一言。



「……テクニック……来るのを待つのではなく、こちらから攻める……。マスターは押しに弱いと思われます……」


 あ、こらアプティ。何勝手に俺を分析してんだよ……あってるけど。



「ふぅん、あなた結構話せる人だったのですね。いいですわ、ここは一時休戦としましょう。師匠を物に出来るのなら天敵であるあなたとも手を組みましょう」


「……」


 アンリーナとアプティが力強く手を握り合う。平和な握手ではない。握り合っている、と表現するのが正しい雰囲気。


 これはやっかいなコンビが手を組んだぞ。





 両側をロゼリィとラビコにしっかり抱きつかれ、お尻をアプティにつかまれ為す術無くお城の入り口横のラビコの研究所へ。


 研究所への道を歩くが、外はもう暗い。お城のロビーの時計は十七時だったか。


 さて、ここでなんとか俺は逃げなければ。この面子から逃げ切れる自信なんて無いがな。



「やっぱ俺は部屋の風呂でいいや! ここはベスを使ってでも逃げ切る――」


 ベスを抱え、全力で逃げようとしたら目の前に槍が突き刺さった。おおおお……こええって。



「なんだ私だけ除け者とかおかしいだろ? 逃げても無駄だぞ、はは。私は逃げるものを追い詰めるのは得意でな。なぁ、ハイライン」


 上空には飛車輪に乗ったサーズ姫様が。さっき公務に戻ったんじゃなかったのかよ。


 思い出されるセレスティアでの追撃戦。さすがにサーズ姫様は慣れている動きと攻撃の仕掛け方だった。



 さぁ、どうする俺。






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