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二百十二話 再び王都へ 8 寝床確保とペルセフォス組様


「そこまでだ、ハイライン=ベクトール。夜の王都でその飛び方はだめだと言ったはずだがな」




 ハイラに抱かれ夜の王都の上空で動けずにいたところ、もう一つ空飛ぶ車輪がゆっくり近づいてきた。


「ひっ……! せ、先生に最速で抱きつくにはこれしかないと思いまして……」


 もう一つの飛車輪に乗っていたのは、以前お世話になったこの国のお姫様であるサーズ=ペルセフォス様。溜め息混じりでハイラをたしなめ、俺に優しい笑顔を向けてくる。



「やぁ久しぶりだ。駅の警備員が慌ててお城まで走ってきてな、紫の魔女が来たと。となると君も来ているのだろうと、うちのハイラインが暴走してしまった」


「申し訳ありませんサーズ姫様。夜に騒ぎを起こしてしまいました」


 こんな時間にペルセフォスのお姫様まで動かしてしまい、俺はまずいことをしたと頭を下げる。


「ぷっ……あはは、なんだそのかしこまった言い方は。ちょっと会わない間に大人の階段でも登ったのか?」


 いや、身分の差を考えた俺なりの謝罪の言葉だったんですが。うーん、サーズ姫様は恐ろしく美人だから夜の月に照らされ微笑むと心が持って行かれてしまいそうだ。


「え……え……! そんな……下の誰かとされたんですか!? ダメですダメです! じゃあ私とも!」


 ハイラが何を勘違いしたのか激しく俺の体を前後に振る。




「こら~! いい加減にしろ~ペルセフォス組~! うちの社長を返せ変態性癖女~!」


 下でラビコが激怒し始めた。手にはキャベツを持っている……ってこんなとこでキャベツバーストはよせよ。



 サーズ姫様がハイラに指示し、地上に降下。慣れていないとふわふわ空に浮いてるのは怖いな、やっぱ。


「ペルセフォス組とか新しい総称で呼ばないようにな、紫の魔女ラビィコール」


「ふん、呼んでもいないのに来るなよ。私の男は返してもらう」


 ラビコがサーズ姫様を睨み、俺の腕を引っ張る。が、ハイラががっつり俺に抱きついているので上手く引っ張れなかった。代わりに俺の自慢のジャージがニョーンと伸びる。ヤメロ、これ一着しかないんだぞ。

 いや、今度ジャージっぽいのオーダーで作ってもらうか。


「ハイラ~? 離してくれないかな~」


「いやです」


 おお、ハイラがラビコの言うことを聞かないぞ……。ラビコの怒りゲージがモリモリ増加中。




「それで、彼は誰かとしたのか? 詳しく聞きたい」


 ぶっ。サーズ姫様……さらにそのネタ引っ張るんですかい。これ以上は火傷じゃ済まないですよ、俺が。


「はぁ~? いきなり何を聞いてくるかと思えば頭飛んでるのか、この変態は~。なんにせよ答える義務はないね~社長とどうなろうが関係ないだろ~」


 二人がバチバチと睨み合う。こんな状況だが、この二人本当に仲が良いんだよな。サーズ姫様はラビコとこんなに対等に話せる貴重な人。まぁロゼリィも対等の関係っぽいけど。


 つーか時間がどんどん深夜になっていくのと、周りの状況を考えてほしい。この国のお姫様と、国王同等の権力を持つラビコが道の往来で男がどうのと揉めているんだ。いい噂にはならんぞ。早く泊まる場所……。



「あ、サーズ姫様……申し訳ないんですが、前回泊めさせてもらったお城のお部屋……空いていないですかね。今日泊まるところなくて困っているんです」


 俺がそう言うとサーズ姫様がクルリとこちらを向き、にっこり笑って手を握ってきた。


「ほう、それはいい。君が側で寝てくれるとは心が熱くなるな。構わんよ、客人用の部屋は空いている。好きに使うがいい」


「ありがとうございます、助かります」


 前半部分は当然スルーした。もう時間も遅いし、ここでコネを使わずいつ使うのか。



「はぅ、はぅ……はぅ……し、し師匠……」


 何かさっきからアンリーナが両手をダラリと下げ、はぅはぅ言っている。どうしたんだ、眠さが限界にきたのだろうか。


「ししし師匠! この御方はサーズ=ペルセフォス様、本物……ですわよね……ど、どうしてこんなに仲よさげに……」


 あれ、以前王都でレースの話しなかったっけ。ああ、レースで儲けた話を簡単に話したぐらいで、サーズ姫様のこととか言ってないかもしれん。



「ん? こちらの彼女は初めて見る……いや、知っているな。君はハイドランジェ家の方だろうか。確かアンリーナ=ハイドランジェ、だったかな」


「は、はい! アンリーナです! 何度かお城のお食事会などですれ違ったことがあります! いつも魔晶石のご購入ありがとうございます!」


 アンリーナがビシっと姿勢を整え、実に正しい王族へのリアクションをする。さすがのアンリーナも、サーズ姫様の前では緊張するみたいだな。



「はは、さすがだな。君は本当に不思議な男だ。まさかハイドランジェ家の者と繋がりをもっているとはな」




 詳しい話は明日するとして簡単に再会の挨拶をし、お城へ向かうことに。



「うっはは~こりゃ~楽だ~あっはは」

「こらラビィコールあんまり揺らすな」


 なんと二人の飛車輪に乗ってお城まで飛んでもらえることに。全くこの飛車輪ってのは便利な空飛ぶ道具だよな。これ普通に欲しい。


 サーズ姫様の方にはラビコ、アンリーナ、ロゼリィが乗り、ハイラのほうには俺とベスとアプティが乗った。さすがにハイラの飛び方は直線以外は危なっかしいからな、乗り物酔いしやすいロゼリィは乗せられん。



「むむむ、相変わらずこの人は胸が大きい……というか露出が多すぎでは」


 ハイラが俺の腕に抱きつきながら、同乗のアプティをチラチラ見ている。うーん、ハイラは残念ながら鎧を着ているので感触が楽しめない。


 夜の王都を上から眺めながらゆっくり飛びペルセフォスのお城に到着。夜とは言えさすがに王都のお城、警備の騎士が溢れんばかりあちこちに配備され、周囲に目を光らせている。



「客人用の部屋は他にもあるので、何ヶ月だろうとここに滞在してもらっても構わないぞ。むしろ君がいてくれたほうがハイラも言うことを聞くし、私も夜が楽しみになるのでずっといてもらいたいぐらいだ、はは」


 お城の本来は訪れた貴族や他国の王族向けに開放するお部屋に案内してもらった。なんとなく興奮したピンクのクマさんが脳にフラッシュバックするが、このイメージ映像はなんだろう。



 とりあえずお礼を言い寝る準備をしていたら、ハイラが普通にここで寝ようとしたところをサーズ姫様に首根っこをつかまれ、引きづられていった。


「すごいなハイラ……サーズ姫様に普通に抵抗するようになったのか。あんなに気弱だったのになぁ」


 俺が驚いているとラビコがニヤニヤしながら言う。


「誰かさんのせいさ~もはや刷り込み現象だね~。どうやって責任取るのかな~あはっは~」



 せ、責任って……俺なんか悪いことでもしたのか。






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