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二百一話 キャベツの秘密とアプティの化粧品様


「美味しいからエネルギーになるんだよ~」



 ラビコの過去の話は孤児のことが出てくるだろうから、今は聞かないでおこう。話題を戻してキャベツの理由を聞く。


「美味しい……そこがわからんって」


「ん~魔法って体内の魔力を使うんだけど~美味しい物を食べると体が喜ぶじゃない? そうすると体が活性化されて体内の魔力が多くなるんだよ~。だからキャベツなの~」


 ……えーと……ようするにラビコはキャベツが好物ってことか? だからその好物であるキャベツを杖にぶっ刺すことで、体がぐんぐん活性化されて魔力が安定するってこと? 相当無理矢理な感じがするが。


「子供の頃なんてお金なかったからさ~魔晶石なんて高価な物買えないし、私はたまたま好物だったキャベツがその代用品になったんだよね~。その頃の慣れで今でもキャベツが使いやすいんだ~。たまには魔晶石も使うけどね~」


 ほー、そりゃあ魔晶石は高価な物だしな。子供のお小遣いで買える物じゃないか。

 キャベツなら子供の持っているお金で買えるし、そればっかり使ってたら体がそっちに慣れてしまったってわけか。


「あの……性格が思いっきり変わるのはどうしてなのかな」


「それは~乙女の秘密っていうか~普段大人しくて人見知りでモジモジちゃんだった私が変身して活躍するっていう設定なの~。キャベツを使って魔法を使うことでストレス発散が出来てちょうど良かったのさ~あっはは~」


 え? なんだって? 大人しくて人見知りでモジモジちゃん? 今と丸っきり正反対じゃねーか。

 あと変身? ……うん、それは少し分かるわ。確かに変身したぐらい話し方も性格も変わるしな、キャベツ状態は。


「こんな話、社長にしか言わないんだからね~そして乙女の秘密を知ったんだから責任取ってもらうんだから~」


 モーニングセットのサラダを勢い良く食いながら言われてもなぁ。




「とりあえず今度王都行ったら案内してくれよ研究所」


 キャベツがどうのより、魔法使いの研究所ってのに俺の心がうずいてしょうがない。あと図書館な、この世界の歴史やらを学びたいし。ベスの白銀犬士の情報は……もういらないよな。こないだ魔王エリィのとこで見たし。


「いいよ~な~んにもない広い空間なだけだけど、見たいってんなら案内するさ~あっはは~」


 ……マジで何にもなさそうだな。王都に行ったときも、一度も寄っていないみたいだし。

 ラビコは基本軽装で、宿の部屋にも小さなカバンに杖のみというシンプルさ。それを考えると、王都の研究所もソファーにテーブルしか無いような広い空間が想像出来てしまうな……。数秒で全員無言になりそうだ。




 朝食も食べ終え、ベスを連れて外に出る。ソルートンは基本暖かく、過ごしやすい場所。ラビコがいつも水着でいれるぐらいの気温と考えてくれ。長袖ジャージは腕まくりしないと暑いな。


「ベスッ」


 ベスがリードをぐいぐい引っ張って、いつもの散歩コースに行こうとする。相変わらずうちの愛犬は元気でかわいい。ベスはやっぱり美味しいご飯が食べられるソルートンにいると機嫌がいいのが分かる。

 俺も同じだけど。




 ベスと適当に歩いていると、商店街の混雑する道にロゼリィとアプティを発見した。二人で買い物に来ていたのか。なんとも珍しい組み合わせ。


「よぅお二人さん。開店と同時にお店入るとか、気合入ってるなぁ」


 時刻は十時。

 早いお店は九時とかから開いているが、全部のお店が開くのはこの十時となる。二人は十時開店のお店の前で待っていて、開いた瞬間入店していった。


 ここは化粧品とか女性用小物のお店か。ロゼリィがよく来るお店だな。


「はい! ローズ=ハイドランジェの新作化粧水を買いに来ました!」


「……マスター申し訳ありません。どうしても一緒に来いと言うので、一時マスターから離れてしまいました……」


 ロゼリィの気合いが漏れている。アプティを無理矢理引き連れて来たのか。


「だめですよアプティ。いくら若いからってお肌のお手入れは毎日しないといけないんです。聞いたらアプティ、なんの化粧品も持っていないんですよ!? ありえないです。今はいいですけど、数年後には……」


 なんだかロゼリィがご立腹だ。そういやアプティが化粧している姿を見たことないな。つーかアプティって蒸気モンスターだから、人間の常識が当てはまらないんじゃ。ロゼリィに正体は教えていないけど。


「アプティ、俺が払うからロゼリィに化粧品選んでもらえ」


「……分かりました。マスターがそう言うのなら従います……」


 あまり乗り気じゃないなアプティ。まぁ、何個かは持っていてもいいだろ。蒸気モンスターとはいえ女の子なんだし。




 一時間後、ベスと暇を持て余していたら、やっと二人がお店から出てきた。手には大きめの紙袋を持ち、ロゼリィがご機嫌だ。アプティは興味なしの無表情。


「ふふ、待ったかいがありました。ローズ=ハイドランジェの新作化粧水を以前予約しておいたので、バッチリ買えました」


 ロゼリィが袋から綺麗な包みの商品を見せてくる。見慣れたバラのマークに紅い入れ物。アンリーナのお店のやつだな。


「アンリーナに頼めば色々融通利かしてくれるんじゃないのかな。お店でコラボしたり一緒に旅に行ったりして、知らない仲じゃないんだし」


「ダメです、こういうのは苦労して買うからこそ商品に愛着が出るんです」


 まぁ、そうだな。その考え方はよく分かる。


 アプティはトライアルキットみたいな化粧品セットを不思議そうに眺めていた。蒸気モンスターって年齢とかどうなっているんだろうか。やっぱ人間とは全然違うのかな、数百年生きますとか。アプティに年齢とか聞いてみたいが、なぜかロゼリィに怒られそうだからやめておこう。



 そういえば銀の妖狐は自分たちは異世界から来た、と言っていたな。なんか他にも異世界から来た存在が普通にいそうで面白そうだぞ。







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