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百九十二話 夜のランヤーデと俺と似ている子様


「帰りの航程は行きとほぼ同じ時間感覚か」



「はい、途中フラロランジュ島に寄りまして、そこからソルートンに向かいます。時間もほぼ同じぐらいですわね」




 夜十九時過ぎ、アンリーナの船グラナロトソナスⅡ号のレストランで夕食をいただく。


 出てきたのはシーフードピザ。


 ランヤーデで仕入れた海鮮をたっぷり使った豪華な物。うう、うまい……どうしてこの異世界は美味しいものが食べれる場所が少ないのか。


 やっぱネットが無く情報の伝達が人から人か書物のみ、しかも移動もモンスター襲撃などの危険があるため、気軽には行けないってのが大きいのかなぁ。



「うっめぇ! すげぇぞこれ! これどうやって作ってんだ!」


 シュレドがピザ食って大騒ぎ。シェフに詰め寄ってレシピを聞いていた。


「ふふ、シュレドさんって、あんまりお顔はボーニングさんには似ていないのですね」


 ロゼリィが微笑みながら言う。


 うん、シュレドがイケメンすぎかな。いや、イケメンボイス兄さんの深みがあって味のある顔も俺は好きだぞ。


「マスター……我慢の甲斐があって紅茶が美味しいです……」


 ポットを抱え、アプティが満足気に紅茶をすする。


 ランヤーデで飲んだ紅茶が美味しくなくて、飲んだ途端無表情で震えだしたのは面白かったぞ。




 ランヤーデでの魔王の話はシュレドにも、アンリーナにも話してはいない。


 なんかアイツ明らかに規格外の強さだったし、世界の始まりから終わりまで見るとか何か神様みたいなこと言っていたし、変に混乱させないようにと二人には言っていない。


 ラビコも魔王のことは言わないほうがいいと言っていた。


 絵本であったように魔王は勇者によって倒されたとこの世界では認識されているから、実はいたとなると混乱が起きるとのこと。


 当時の勇者パーティーや魔王戦に参加した騎士達は事実を知ってはいるが、世間には魔王は倒されたとされている。


 まぁ俺もそのほうがいいと思う。魔王エリィも世界のバランスを守るような存在らしいし、そうそうは襲ってこないだろう。……と思いたい。





「明日朝四時出航、翌日の朝九時にフラロランジュ島に到着予定となります。補給で数時間停泊いたしまして、あさって夜の十七時過ぎにソルートンに到着予定となっております。気付けばもう帰り道となります、皆様のよき思い出となれば幸いでございます」


 食後、紅茶をいただきながらアンリーナから海図を交え航路の説明を聞く。まぁ、行きと一緒なんだが大事なことらしい。シュレドには初めての説明だしな。


「しっかし二日で着くとかすげーな。普通四日かかるだろソルートン行きって。高速魔晶船か、なんか旦那の知り合いってすごい人多くねーか」


「ああ、俺の周りの人はすごいんだって自慢出来るぐらいだな。そしてシュレドもいずれ俺が自慢する一人になる。あの有名な料理人の知り合いなんだってな」


 どうだこの発言、決まったろう。


 しかしロゼリィが苦笑い、アプティは無表情で紅茶を飲み、アンリーナが不安な顔になり、ラビコが大爆笑。あれ、おかしいな。


「お、おおお! 旦那かっけぇ! 俺がんばるぜ! 王都で有名になって旦那に自慢させてやるぜ!」


 おお、さすがシュレド、ノリがいい。男二人が見つめあいガッチリ握手を交わし、友情を確かめる。そしてベスが俺の足を噛んでくる。なんで?





 その後、船の各個室に入り各々時間を過ごす。



 二十三時過ぎ、寝る前にランヤーデの夜の雰囲気をデッキからみようとベスを部屋に置き、階段を降りる。


「あれ~社長~私達って同じ考えな時が多いよね~これは相思相愛かな~あっはは~」


 デッキには先客がいて、ラビコがお酒片手に夜のランヤーデを眺めていた。


「ラビコか。ああ、なんとなく夜の街が見たくてな」


 俺もラビコの横に並び街を見る。


 街灯が灯り、あちこちから笑い声が聞こえる。皆お酒を飲み、夜を楽しんでいるようだ。




「……ねぇ社長」


 ラビコが俺に寄り添い顔を俺に向けてきた。うっへ、夜のこの雰囲気だとたまらんな……すっげー美人。


「なんとなくさ~社長ってあの子と雰囲気似ているんだよね~」


 あの子? なんの話だ。


「ほら以前言った回復魔法を使う子~。同じパーティーでずっと一緒だったんだけどさ~たま~に変なこと言うんだよね~社長もたまに変な言葉使うじゃない、なんか似ている気がしてさ~……ネット、テレビ、ニホン」



 え……ちょ……それって……。







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