表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

173/696

百七十二話 さぁ、ケルシィへ! 5 水着美女の聖地へ様


「…………」


「綺麗ですね」


「ああ……」



 水平線から昇る太陽を見ながら俺は無表情でロゼリィに答えた。


 結局あれから寝付けず、ぼーっと船のデッキに出て昇る朝日を眺めているが、特に感動はない。


 童貞宣言をした傷心の俺に誰か優しい言葉をかけてくれ。




「悪いなロゼリィ、アプティ。付き合わせてしまって……」


「いえ、私も目が覚めてしまいましたし。船の上であなたと見る朝日は一生の思い出になりそうです。ふふ」


 そうか、それはよかった。


 俺には童貞の夜明けが待ち遠しいよ。


「……マスター……紅茶が飲みたいです……」


 了解、そろそろ戻るか。





 

 部屋の前にある共用ロビーのフカフカのソファーでうとうとしていたら、アンリーナが元気にこちらにやってきた。


「皆様おはようございます! 船は今朝四時にソルートンを出港いたしまして現在午前七時、天候にも風にも恵まれとても順調な航海となっています!」


 アンリーナが海図で説明をしてくれる。


 行き先はソルートンより遥か東の国ケルシィ。


 普通の船なら四日、高速船だと二日の距離にある。早いわりにこの船、揺れはあまり感じない。その証拠に乗り物酔いしやすいロゼリィがピンピンしているぐらいだ。



「明日の午前九時ごろにケルシィ領のフラロランジュ島に寄港しまして、補給で数時間停泊いたします。補給が済み次第再びケルシィ最大の港町ランヤーデに向かいます。二日間の船旅となりますが、皆様の良き思い出作りにご助力出来ればこのアンリーナ幸せでございます」


 アンリーナが深々とお辞儀をする。ニコニコしていてやたらに機嫌が良さそうだぞ。


 途中に補給で寄る島はもうケルシィなのか。


 フラロランジュ島、緯度的にソルートンより赤道に近いみたいだから、暑いところなんだろうか。


 ラビコの部屋がガチャと開き、のそーっとラビコが眠そうに出て来た。昨日はさぞ一人酒を堪能したっぽいな。


「ラビコー、途中で寄るフラロランジュ島ってどういうところなんだ?」


「え~フラ……? あ~世界でも人気の観光地だよ~年中真夏の気温であっついところさ~白い砂浜に~青い海、そして世界中から集まる水着美女~童貞社長には刺激が強すぎるかもね~あっはは」


 ……もしかして昨日の騒動聞いてたのか。くそぅ……。


 しかし聞くとよさそうなところだな。


 ハワイ的なところだろうか、ちょっと楽しみになってきたぞ……水着美女。



「ペルセフォスで人気ナンバーワンリゾート地の~カエルラスター島と同じぐらい大人気の場所だよ~」


 カエルラスター島……そういえばだいぶ前にその名前聞いたな。海に行こうとしたときにラビコが言っていたか。リゾート地、それは今度ぜひ行ってみたいな。

 


 まずはケルシィ領の水着美女の聖地とやらへ向かい、俺の傷ついた心を癒そうじゃないか。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ