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百七十一話 さぁ、ケルシィへ! 4 アンリーナの驚愕様

「いやぁああああああああああ!」



 部屋に響く叫び声。




 な、なんだ!? 



 俺は慌ててベッドから起き上がろうとするが、アプティが俺に抱きついていて起き上がれない。ベスも聞き慣れない叫び声にびびって俺の布団に潜り込んでくる。


 俺のベッドにはアプティ、ベスがいて、俺に身を寄せている。



 ベスは今潜り込んできたから分かるが、アプティさん……。部屋の鍵はかけたぞ……宿の鍵はそんなに頑丈なものではないから、盗賊的な技術があれば開くのかなと思っていたが、この船の部屋の鍵はかなり頑丈でそうそう開けれるもんじゃないと思ったが甘かったか。


 でもいい香り。



「ああああああああ……いくら待っても来てくださらないので様子を見に来てみれば……し、師匠……もしかしてもしかして……その女ともう……もう……! うううう」


 俺の部屋の入り口で膝から落ち、泣き崩れるアンリーナ。


 うっすいひらひらの服で、下着が余裕で透けて見える……。


 アンリーナの手には大きなわっかにいっぱい鍵がついた物を持っている。あれ、マスターキーか。



 部屋内にある時計を確認、夜中三時……か。


「お、落ち着けアンリーナ。今から説明をする」


「な、なんですか今の悲鳴は! あれ、アンリーナさん……? あ、あー……」


 騒ぎで起きて来たロゼリィが俺のベッドにアプティがいるのと、泣いているアンリーナを見て状況を理解してくれたようだ。


 そういえば最初こそ同じ状況でロゼリィがよく激怒していたが、最近はもう理解して諦めたようで何も言って来なくなっていたが……やっぱ普通は驚くよな。


 はっきり言わせてもらうが、俺は一度たりともアプティに手を出したことはないからな。


 よく知らんが寝ているあいだにアプティが鍵のかかったドアをすり抜けて部屋に入ってきて、俺のベッドに潜り込んでくるんだ。俺は悪くない……はず。


 ロゼリィに助けてもらいながら、なんとか身の潔白を証明する。


 アプティは興味なさそうにあっちを向いている……原因あなたですよ……。




「そ、それでは師匠は男女のアレをしていたわけではないと。そして師匠はまだ女性は未経験ということですね?」


 ああ、そうだ理解してくれて何より……ん? 


 ロゼリィとアンリーナがじーっと俺の反応をうかがっている。


 おかしいぞ、アンリーナの誤解を解く話が俺の女性経験の有無の話になってるじゃねーか。


「…………」

「…………」


 二人がさらに見てくる。少し鬼のオーラが見え始めた。


 え、これ言わないとダメな雰囲気じゃない。


 おかしい、おかしいぞ。


「………………」


 鬼がゆっくりと立ち上がる……まずい、くそ……なんでこんなこと言わないとならないんだ……!



「お、俺は童貞……です……」


 それを聞いた二人が超笑顔でハイタッチ。


「ええ、私は信じていましたよ? ええ、だってあなたはうちの宿の若旦那なんですから! ふふ」


「あーよかった……それでこそ師匠です。童貞師匠です」



 待てよアンリーナ……童貞師匠って褒めてないだろ、それ。













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