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百六十五話 船探しととても綺麗な土下座様


 ソルートン港。



 この街に列車は通っていないので、交通のメインは船。貨物やら観光やらで毎日大きな船がひっきりなしに出入りしている。漁業も盛んなので、漁船もかなりの数停泊している。



 以前、隣町に行くときにこの漁船に便乗させてもらったが……もう乗るまいと決意している。あのとき俺は魚の気持ちが分かった気がするんだ。


 あと漁船は船体が小さいからモロに波の影響をうけるので、余計に船酔いしやすいしな……ロゼリィには鬼門である。





「うわー結構な大きさの船が泊まっているなぁ」


 港を歩き、ケルシィへの連絡船がないか物色。


 連れて来たベスがカモメと戯れているが、食うなよ。



 ぼーっと船を見ていたら一際大きな船があることに気がついた。


 船体は綺麗に紅く塗装され、かなり豪華な造りの船。なにやらバラのマークがシンボル的に各所についている。


 すっげーな、これいわゆる高級フェリーかな……なんか世界一周とか出来そうな奴だ。


 さすがに異世界なのは、船のあちこちに武器が搭載されているところ。各方面に撃てるように大きな砲門、さらに正面に巨大な主砲。これハドーホーでも撃てるんか。ちょっと格好いいな。




「あれー師匠ーー!! ああ、嬉しいですお見送りに来てくれたのですか?」


 その赤い巨大な船の乗船口に、俺に向かって手を振る女の子がいる。


 アンリーナか。



「嬉しいですわ、わざわざ来ていただけるなんて……! 明日出航するのですが、これで少し寂しさが紛れました」


 アンリーナが走って船から降りてきた。


 ちょうどいい位置に来る頭を撫でながら、なんとなく聞いてみる。



「そういや国外に商談に行くんだったな、どこに向かうんだ?」


「はい、明日ケルシィに向けて出航いたします。あ、もしかして一緒に行って下さるのですか!?」


 アンリーナが笑顔で抱きついて来た。


 ほう、ケルシィとな……ほほう。どうやら俺には神がついているようだ。


 俺は地面に頭を擦りつけ、最近とても綺麗と評判の土下座を披露する。


「頼むアンリーナ、俺達も一緒に乗せてくれないか! お金なら払う!」


「え、え? し、師匠やめてくださいそんな格好……。でもとても綺麗な土下座……」



 よし、見ろよ世界的な企業の娘であるアンリーナに褒められたぜ。俺の自慢の土下座だ、たっぷり味わってくれ。


 プライド? そんなん振りかざすもんじゃないだろ、プライドってのは横に置いておくのがちょうどいいんだ。







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