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百六十二話 料理人探し様


「料理人か……こういう専門職の人選ってむずかしいよなぁ」




 俺は夕ご飯のパンプキンスープを宿の食堂でいただきながら、ジゼリィ=アゼリィ王都進出計画のアイデアを紙に書いていく。



 フロアスタッフは現地募集でなんとかなる。


 問題は料理人だ……はたしてイケメンボイス兄さんクラスの神がこの世にいるのだろうか。



「あ、王都のカフェ計画ですか? すいません……あれ単なる私の思いつきなのに……」


 申し訳無さそうな顔でロゼリィが紅茶をポットで持って来てくれた。カップは二個、ああ自分用か。


「いや、結構いけると思うぞ。実際王都に行って困ったのは、やっぱりご飯だったしな。この宿屋クラスの質を安めに提供できれば、お客さんは来ると思う」


 ロゼリィが俺の左に座り、紅茶をとぽとぽとカップに入れ俺に出してくれた。


 今食べているパンプキンスープ、これを王都で食べようと思ったらスープ単品で二十Gから三十Gは覚悟しないといけない。


 ちなみにジゼリィ=アゼリィではディナーセットでパンにワンドリンク、サラダがついて十Gなり。




「はい、おまたせロゼリィ。熱いから気をつけてね」


「ありがとうございます、ボーニングさん。ふふ」


 イケメンボイス兄さんがわざわざロゼリィにディナーセットを持って来てくれた。イケボ兄さんがウインクをしながらスプーンを取り出し、渡す。


「頑張ってくれよ、ロゼリィ。この宿の未来がかかっているんだからね。みんな君の味方だよ」

 

 ロゼリィがスプーンを受け取り、力強く頷く。


 なんの話をしているんだ。そしてイケメンボイス兄さんの名前を初めて聞いたような。


「大丈夫です、男の方は胃袋を掴めば勝てると本に書いてありました。うちの料理は条件を満たしています!」


 ……聞こえているぞ。そしてそれ、少し間違ってねーか。


 宿の料理で男の胃袋を掴むんじゃなく、この場合ロゼリィの料理が俺を掴まないとならいんじゃ。まぁ……似たようなもんか。俺、ジゼリィ=アゼリィのご飯じゃないと最近満足出来ないしな。


 そうだ、神の料理人のツテを聞いてみようか。同じ料理人仲間でいい人いないすかね。



 簡単にイケメンボイス兄さんに王都のカフェ計画を話してみる。





「うーん、王都にカフェかぁ。僕はここのジゼリィ=アゼリィが好きだから行けないけど、そうか向こうにも料理人が必要だもんなぁ……うーん」


 イケボ兄さんが顎に手を当て唸る。


 そして何か思いついたが、ちょっと言いにくい感じで切り出す。


「えーと……僕の一族ってほぼ全員料理人なんだ。そして僕の弟ももれなく料理人なんだけど……彼はどうかな、多分すごい食いついてくると思うよ。彼は王都で料理人になるのが夢だったんだ」


 え、イケボ兄さんに弟がいたんすか!? そして一族料理人ってすごいな。


「腕は確かだよ、僕最初は弟に習っていたしね、あはは」



 ほう、神であられるイケボ兄さんが認めるんなら大丈夫なんじゃ。







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