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百五十五話 そうだ、王都を見よう! 7 記念写真とさらば王都! 豆のスープっておいしいね様


「リーガル~ほい、これ頼むよ~記念記念~」




 ラビコが何かをリーガルに放り投げた。



「はっ! ではタイマーをセットいたします」


 リーガルが渡されたカメラを手馴れた手つきでセットする。


 ああ、そういや高価ではあるがカメラはあるんだっけ。


 国王フォウティア様、サーズお姫様、次期国王リュウル様、飛車輪部隊トップのブランネルジュ隊全員、リーガル、ハイラか……これかなり貴重な写真になるんじゃないか。



「君らを真ん中に撮るぞ、ほらもっと近づけ」


 サーズお姫様が場所を指示、俺達が真ん中で、それを囲むようにみんなが集まる。


 俺の右腕にはラビコ、左腕にはロゼリィ、足元にはベス、今回は健全に両肩を掴むアプティ。


 ハイラが俺の右足に掴まって来て、それを見たお姫様しゃがみ、左足に掴まってきた。


「ここしかあいてないか……まぁよし。では頼むぞアーリーガル」


 お姫様がラビコとロゼリィをチラリと見て、しぶしぶリーガルに指示を出した。


「セットしました、五秒です、四……」



 リーガルが走って並び、カメラが光る。


 俺にとってこの写真が一番のお土産だな。







 翌朝五時。



 曇り空の中、俺達はお城の部屋に別れを告げる。


「なんか色々あったなぁ。楽しかったし、また来たいな」


 荷物を背負い、門からお城を出る。


 さすがに早朝なので、見回りの騎士が各所にいるぐらいで、賑やかな日中とは違い静かな雰囲気。



「そういやラビコの研究所とか行かなかったな。ペルセフォスの動物部隊ってのにも興味はあったし」


「私の研究所~? 別に何もないよ~キャベツを育てていたぐらいさ~。それより社長は王都図書館のほうが行くべきだったかな~」


 キャベツを育てている専用の部屋……そこは温室か何かなのか。


「そうか、歴史やら何やら知るには図書館がよさそうだな。よし、また王都に来る目的が出来たぞ」


 女性三人が指輪と新たに増えたネックレスをアピールしてくる。


 装備の増えた三銃士も着いて来る気満々か。まぁ、一人で来るよりみんなで来たほうが楽しいしな。




「図書館か、いいぞ。次はそちらを私が案内しよう」

 


 真上から声が聞こえ、見ると上空に飛車輪に乗ったサーズお姫様とハイラがいた。


「さっそく早朝訓練をしている。ハイラインの女子力をメキメキ育ててみせるぞ」


 俺達の目の前に着地する二人。


 だがハイラが肩で息をしていて疲労困憊といった状況。


「ううう……きついですーでも頑張らないと先生の告白を受けられません……頑張ります! 先生、会えなくなるのは寂しいですが、昨日の写真をいつも持ち歩くようにしています!」


 ハイラが昨日の集合写真を大事そうに持ち、俺に見せてきた。


 うん、ハイラがしっかり前を見ている。最初は下ばかり見ておどおどしていたのが嘘のようだ。目的をしっかり見据え行動する姿は眩しいな。



 お姫様、ハイラとまた会おうと握手をし、二人と別れる。







「ふふ、楽しい旅でした。まさか王都に来れるなんて思いもしなかったので、あなたには感謝です。国王様やサーズお姫様ともお知り合いになれるとか、庶民の域を超えた経験でした」


 ロゼリィがいい笑顔を俺に向けてきた。


 来るときに飛龍に襲われたりと、結構危険なこともあったが、来てよかった。本当にそう思う。


「早く帰りましょうマスター……おいしい紅茶を飲みたいです……」


 アプティがぐいぐい俺の腕を引っ張り、駅に早く行こうとする。うん、ご飯は……ソルートンのほうがいいな。珍しい食材や種類は多いが、とにかく値段が高いのがな。あ、お金ならあるがね。


「あっはは~早く帰って宿のベッドで寝たいね~お風呂にも入りたいな~風呂上りにおいしいご飯を肴にお酒をぐいっといきたいな~」


 ラビコが想像でヨダレを垂らし口をぬぐう。そうだな早くイケメンボイス兄さんの料理が食いたいぜ。



「よしみんな、これよりソルートンに帰還する! 二日間、豆の浮いた薄味スープで乗り切る覚悟はあるよな!」


 俺が元気よく宣言するが、皆のノリが悪い。


「しゃ、社長~せめて保存食を王都で買っていこうよ~それのほうがまだマシ……」


「贅沢言うな。現地で現地の物を食うのが旅だろ。持ち込みとか許さんからな」



 げんなりするラビコ、ロゼリィ、無表情のアプティを引っ張り俺は駅へ向かう。


「さぁ、健康にいいかもしれない、としか褒めるところが無い豆スープが俺達を待っている!」



 俺は勇者のごとく格好良く駅を指し、魔晶列車に乗り込んだ。





 女性陣はこっそりお菓子やら、保存のきく食べ物を買っていたらしく。車内でおいしそうに食べていた。


 俺は楽しそうな女性陣の姿を豆のスープを無表情ですすり、眺める。


 ベスも向こうにつき、何かを分けてもらっていた。


「……次からは保存食を持ち込む」




 俺はうっすい味の豆を味わいながら強く心に誓った。









──異世界転生したら犬のほうが強かったんだが 第二章「異世界転生したら周りがすごい人なんだが」 完 ──

















お読みいただき感謝!


これにて第二章は終わりとなります。次話より第三章となります、お付き合いいただけると嬉しいです。

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