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百四十八話 ウェントスリッターへの道 15 クマさんと鬼様


「おめでとうございます、ハイライン=ベクトール。ウェントスリッターの称号をあなたに贈ります。このことに満足せず、歴代のウェントスリッターに恥じない努力を続けて欲しいと願っています」



 国王の立場であるフォウティア様より、メダルと賞状がハイラに授与された。


 ハイラはガッチガチに緊張して目の焦点が合っていないけど。



「おめでとう!」

「儲けは出なかったが、いい物見させてもらったぜ!」


 観客から拍手が起きる。


 メダルを首にかけたハイラが皆にロボットのような動きで手を振る。





 夜にはレース優勝者を祝うパーティーがお城で開かれ、俺達もお呼ばれされ目一杯美味い物を食わせてもらった。


 相変わらずハイラは目が泳いでいて、ひたすら頭を下げ皆にお礼を言っていた。


 パーティーのあいだずっとハイラは俺の服を掴んでいたので、ご飯が食べにくかったが。




 サーズ姫様に呼ばれ、青い顔をしていたメラノス含む故意にレースの妨害行為をした数人は妨害した事実を認め、ハイラの希望もあり名前は公表されることなく数日の自宅謹慎処分になったそうだ。


 




 お城の借りている部屋に帰り、改めてハイラに祝福を贈る。



「全て先生のおかげです! ありがとうございます、ありがとうございますーうう」


 ハイラが涙顔で抱きついてくる。


「あはは~ハイラ~良くやった~褒めてやろう~」


 ラビコもハイラに抱きつく。


 そしてラビコがニヤニヤしながらロゼリィを見る。



「いいかいハイラ~私達と~向こうの二人はもう越えられない壁が出来たのさ~」


「越えられない……? どういうことでしょうラビコ様」 


 自分の唇を指し、ラビコは勝ち誇った顔で言う。


「なんと私達は経験済み~! しかし向こうは……経験無し~! あっはは~これは大きな差が出来たよね~これはもう逆転は不可能なのさ~」


「え、あ、ああ……そ、そうなんですか……? てっきりもうとっくに……と思っていたのですが。そ、それは申し訳ないことを……」



 ロゼリィがユラリと輪郭がぶれたように立ち上がる。や、やめんるんだ……それ以上は良くない。



「で、ですが私は引きません。先生は私の勇者様なのです! 私の気持ちは本物です、私は先生が大好きなのです!」

 

 ハイラが俺の腕を強く掴みながら宣言した。


 ああああ、これはまずい。鬼が目覚める……ぞ。



「ふふふふふふふ……ハイラさんはとても頑張ってレースに勝ったので、そういう事故は許してあげようかと思ったのですが……そうですか、宣言ですか。ふふふふふ」


 頼む……腕を解放してくれハイラ! これ逃げないとSSRからUR進化が始まってしまう……。





 その後、俺は部屋を飛び出しUR鬼から必死に逃げ回る。



 しかし薄暗く静まり返ったお城の通路の奥から突如現れた、ピンクのクマさんに取り押さえられ御用。



「なんだ、私の部屋を探していたのか? いいぞ、実は君のクマさんも用意してあるんだ。ははっ」



 俺はピンクの謎のクマさんに抱えられお城の奥に連行された。



 途中何か不思議な甘い香りを嗅がされたところで意識を失う。






 数時間後、ラビコによってピンクのクマさんは拘束され、水色のクマさんとなっていた俺は無事救出された。













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