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百四十五話 ウェントスリッターへの道 12 王都を駆ける流れ星様

 

ハイラが周りの妨害に心折れることなく見事に壁を蹴り、迷路に放たれたボールのようにバウンドしカーブを抜けていく。



「よし! 行けぇハイラ! お前の才能はこんなもんじゃない、全てを加速に振るんだ!」



 ハイラはイオーツ達を抜き去り、トップのメラノスの背後につける。




「あはは、これはすごいな……こんな飛びかた見たことが無い。こんな発想思いつきもしない。曲がるために減速など一切せず、最高速度を保ったまま直線で飛び建物の壁を蹴って曲がるなど。飛ぶではなく跳ぶ、か……はは、参ったな。見ろ、シューティングスターが喜んでいる。自分の力を最大限に発揮してくれる乗り手に出会った輝きを放っているぞ」


 サーズ姫様が驚きの声を漏らす。


 飛車輪が喜ぶ、そういうことがあるのか。物にも魂は宿ると聞くし、今まさに乗り手と共に宿った心が覚醒した状態なのだろう。






「これが私の飛車輪……これが私の想い! 光を放てシューティングスター! 大丈夫、私はもう恐れない……しっかり前を見て飛ぶから……真っ直ぐ飛びなさい! あとは私が曲がってみせる。行くよ、バウンディングダンス!」



 トップを飛ぶメラノスが華麗に直角カーブを左に曲がっていくが、ハイラは左には曲がらず右側にある建物に向かい加速をする。



「バ、バカか……!? 壁に……」

 

 カーブを先に抜けたのはメラノス。


 ハイラが建物に飛車輪を打ちつけ、今までで一番の輝きを放つ。


 

 ここを抜ければあとは直線のみ。ハイラの目はしっかりとゴールを見ている。




「……ゼロ! 行こう……シューティングスター!」


 壁を蹴り、光を纏ったハイラが建物の間から飛び出しメラノスに迫る。




「な、なんだよお前! 嘘だ、お前にこんな力はなかったはずだ! こんな……こんな! 俺がお前に、お前なんかに……負ける……」



 ハイラはついにメラノスを抜き去る。



 光を纏いペルセフォス王都を飛ぶその姿は、まるで夜空を駆ける流れ星。





「綺麗だ……」


 俺は思わず声を漏らす。



 トップを走るハイラの顔は子供のように、とても楽しそうな笑顔をしていた。













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