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百四十三話 ウェントスリッターへの道 10 私の勇者様


「おっと、ぶつかってしまった。はは!」



 大きな商業施設の看板を左に曲がると繁華街に近づく為、背の高い建物が増えてくる。


 建物の間に紐が張られ、空中に国の国旗がずらりと並んでいるポイント。


 そこでメラノスが鋭利な物を一瞬出し、何本もの紐を切断した。



「うわっ!」

「紐が……!」



 張られていた紐が切られ、弾みで不規則に空中を跳ね回り後続の飛車輪に絡みつく。


 紐が外れずに数人がそこで足止めを食らう。



「くそっ……!」

「わざとかよ、卑怯な……」


「知らんな、後ろをとろとろ飛んでいるのが悪いんだろ! 事故だよ事故!」





 少し遅れて到着したハイラは巻き込まれること無く通過。


「事故……? いや、多分……」


 ハイラは胸に手を当て作戦を思い出す。




「――いいかハイラ、レースってのは事故が付き物だ。それは偶然だったりわざとだったり。俺が参加者で悪いことを考えるなら、事故を起こしてしまいそうな候補が何箇所かある。紐が張られた所なんか絶好の場所だな。紐を切って後続を混乱させるんだ、そして最後の直角カーブ二連続。狭い上、スタート地点から見ている国王には見えないし、下に観客もいない。俺ならここで――」



 先生の作戦はとにかく直線で速度を出し、カーブでの出遅れを挽回しつつ、死に物狂いで集団に食いついていく。最後の難関ポイントに近づくまでは二番手集団の後ろを維持。


 そこで事故を装ったアクシデントを回避しつつ、最後の連続カーブで勝負を賭ける。




「ここまで先生の予想がほとんど当たっている。メラノスさん、普通に飛べば勝てる技術を持っているのに、なんでこんな卑怯なことを……!」


 私の心に珍しく怒りがこみ上げてくる。


 レースに勝てる力があるのに、わざわざ周りを蹴落とすような行動。


 自信があるのなら、力があるのなら、周りを驚かせるぐらい正々堂々圧倒的に勝てばいい。そして周りにその勇気を示し、内なる輝きを磨けばいい。



「勇者とは輝きを放ち周りを導く者、ペルセフォスの騎士とは持てる力を使い皆を守り、勇気を見せる者……メラノスさん、あなたはこのどちらでもない……あなたにはウェントスリッターを授かる資格が無い。私の先生は……私の勇者様はその両方を持つとっっっても格好良い人です! その輝きをあなたの曇った目に焼き付けてやります!」



 残るはこのレース最大の難所、狭い通路の直角カーブ二連続。


 その場所こそ先生が、私の勇者様が授けてくれた勝利のポイント。




「私やります……! 勇者の輝きとはどういうものか、受け継いだ勇気とは……今私に宿るこの心の想いなのです!」






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