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百三十四話 ウェントスリッターへの道 1 ハイラ一点買いとメラノスタクシー様


「あんた正気か!? 一千Gって……」



 イベント運営所で国公認でやっている賭けのチケットを買う。




 俺が買ったのはハイラの単勝一万倍を一千G、十万円分。当たれば一千万Gか、それはそれは大金だ。



「な、やめとけって。一千も出すんなら無難にメラノスに賭けておけって。な、兄ちゃんこのハイラインのチケットは今まで一枚も売れてないんだぞ?」



 まぁ前評判とハイラの操縦技術を見たらそう考えるだろうな。実に正しいと思う。


 だが今回は俺がハイラについている。あの直線加速を見て、俺はハイラに突き抜けた可能性を感じた。そしてその俺が見た可能性を、今回のレースで王都の人全員の目に焼き付けてやるのさ。



「ハイラに一千Gだ。チケットを出して欲しい」


「お、おう……俺は止めたからな、ったく」




 建物を出て、買ったチケットを太陽に照らす。


 見てろよ、王都民。



「あっはは~買ったね~それ当たったら私への借金なんて一瞬で支払えるね~あはは。どうするんだい、そんな大金入ってきたら~」



 お店入り口の壁に寄りかかっていたラビコが笑う。


「今は何も、これぐらい俺はハイラに可能性を感じているってことさ」


 皮算用はしなくていいだろ。

 





 さて、コースを俺の目で確認するか。



「ラビコ、レースコースを実際に飛んでみたいんだが」


「ほ~熱心だね~私が抱えて飛んでもいいけど~ここは私から社長にプレゼントを贈ろうじゃないか~」


 ラビコが上空に向かって叫ぶ。




「メラノ~ス、お願いがあるんだけど~」



 見ると、上空を何個かの車輪が飛んでいる。


 練習だろうか、その一つの車輪がラビコの声に反応し、降りてくる。




「お呼びでしょうかラビコ様! 光栄です、ラビコ様直々に私をご指名とは」



 車輪に乗った男が地面に着地し、ラビコにかしずく。

 

 げ……よりによってコイツかよ。


「メラノス~練習中悪いんだけど~私とこの男を乗せてコースを飛んでくれないかな~」


「ラ、ラビコ様を私の飛車輪に……!? こ、光栄です! このメラノス粉骨砕身の思いで飛ばせていただきます!」


 メラノスはびっくりした顔で敬礼をする。


 なんだろう、感覚的に自分の車に女性を乗せるような気分なんだろうか。


 しかもラビコはこの国で王と同じ権力の持ち主。そりゃーびっくりするか。おまけの俺のことは気にしないでくれよな。




「おほ~他人の力で空を飛ぶって快適だな~」


 メラノスの飛車輪に俺とラビコが乗り座る。


 狭いが、我慢……落ちそうですっげー怖いけど。



「ラビコ様、狭いのはご了承下さい。君は……聞いたよ、銀の妖狐を撃退したとか。見かけによらず実力者だったのか」


 少しメラノスの態度が変わった。


 まぁ、サーズ姫様が俺のこと褒めていたらしいしな。


 ふむ、感じ悪いのは感じ悪いが、ちゃんと実力を見て評価はしてくれるみたいだな。


 プライド高そうで面倒そうな性格だけど、ようするに自分より実力のないと思えるハイラが、憧れのブランネルジュ隊に入っているのが気に食わないと。




 ならハイラの実力ってやつをたっぷり、目の前で見せてやるよ。そうしたらハイラへの態度も変わるかもしれないしな。




 やってやろうじゃないか。なぁ、ハイラ。






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