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百七話 そうだ、王都へ行こう! 2 魔女VS宿屋連合様


「それでいくら欲しいんだい~?」


「相場は知らんから、ベスと二人で行って帰って来れる金額かな」




 犬ってどういう扱いになるのかな、それが分かんないんだよな。



「社長~? 冗談だよね~?」

「え、あの、待ってください!」

「マスター……」



 女性三人に同時に腕と肩と首を掴まれた。


 あの、みんな握力強くない? 異世界の人ってみんな握力自慢ばっかりかよ。


「うぐぐ……ラビコ……首はやめ……」



 ラビコが俺の首から手を離し、顔を近づけて来る。


「それは一人で行くってことかい~? 地理も分からない、乗り物の知識もない、王都の知識もない、貧弱君が一人で~? そういうのは無謀って言うんだよ~あっはは」


「一般の人や商人だって一人で行くとか聞いたが……」


 確かに地理は全く分からないが、地図見ればいけんだろ。


「それは慣れているか、護衛を雇って行くからさ~。隣街の帰り道のことを忘れたのかい~?」


 以前、観光で隣街に行った帰り道は歩き。山越えがあるので、手前の宿場で一泊したら、そこでモンスターに襲われた。ラビコが助けてくれなければ俺はどうなっていたか。



「ほらほら~王都に行くのにうってつけの護衛がいると思うんだけどな~? あ、それに~ちょうど来週開かれるイベントに来い、来なかったら研究所潰すとかいう脅迫文も来ていたし~ね~社長~私と夜の二人旅といこうよ~」


 護衛は確かに欲しい。しかし俺が行きたいだけだし、周りを巻き込むのも……と思ったが、ラビコも用事があんのか。


 お金貸してもらうスポンサー様だし、断る要素はないか。


 夜の二人旅の意味は分からないが。



「あ、あの……私も行きます! その……そ、そう! ホテルとか王都の施設を見学して宿の発展のための勉強を……! 宿の娘として行く必要があると思います! そしてあなたが変な行動を取らないように監視もしないといけませんし!」


 ロゼリィがズバッと右手をあげる。


 俺の監視ってなんだよ。どんだけ信用が……いや、俺に信用なんて言葉はないな。しかしロゼリィは宿の仕事が……。



「行って来な。我が娘ながら気弱で内にこもる性格に将来を心配していたんだけど、いいパートナーが出来そうじゃないか。がんばんな、負けんじゃないよ! 男ってのは力とパワーで奪うもんさ!」


「お、お母さん……は、はい! 私絶対負けません! お父さん、お母さん、そしてこの宿屋の未来の為に私は必ずものにしてみせます!」


 ち、力とパワー? ジゼリィさんがロゼリィのお尻を叩くと、宿屋従業員連合から拍手と声援が起こる。


 何、これ。



「あっはは~ジゼリィ~? 私の敵に回るつもりかい~? 後悔するよ~?」


「いくらラビコでもこれは譲れないね。勝負といこうじゃないか」


 宿屋連合とラビコが激しい睨みあいの火花を散らす。


 だから何なの、この構図。



 俺の旅が変な権力闘争に巻き込まれたんだが。




「マスター……洗濯、掃除はどうされるのですか……着替えも一人で出来ないマスターには私がご一緒しないと……」


 着替えは一人で出来る。


 頼むから寝てる間に勝手に服脱がして洗濯するのはやめてくれ。あ、いや、洗濯はいつもありがとうで嬉しいけども。


 アプティの帰る場所が近いかもしれないし、連れていってもいいのかなぁ。




「ううーん、じゃあ俺、ラビコ、ロゼリィ、アプティ、ベスの旅行費用を借りたい。結構な額になるが、いつか返す」


 ラビコとロゼリィが驚いて俺を見る。


「ん~? 私の費用?」


「あ、いえ、自分の分はちゃんとお支払いします」


 俺の旅行に付き合ってもらうんだ、俺が払うさ。


「だめだ、俺が払う。嫌なら俺一人で行く」



「あっはは~相変わらず格好いいね~お金は無いのに~。まぁいいさ~いまさら借金増えたって誤差だしね~とりあえず私が立て替えておくよ~」


 ラビコと契約成立の握手をする。



「ありがとう、ラビコ。いつか出世した俺の姿を見せてやる」


「期待してるよ~? ダメだったら体で払ってもらうからね~エロいやつ、期待しているよ~」



 ……もしかして俺はとんでもない契約をしてしまったのだろうか。







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