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転生斡旋所へようこそ  作者: 凪狐うどん
19/21

女神のお仕事 その1

新編ですがこのエピソードは短めです

 転生斡旋所天使社の女神(社長)でも、時には詩達同様前線に立って働く事がある。これはその活動を纏めたものである。





 ☆☆☆





 女神リリシィの朝は詩達天使(社員)と比べて一時間程遅い。その最大の理由は家がすぐ近くに建っているからである。

 なので三十分程長く寝れるし三十分程ゆっくりと支度したくする事も出来る。


 今日ものんびりと支度したリリシィは溢れんばかりの胸を押さえつつ、スーツをビシッと着こなして出社した。

 その時に社員達に笑顔で挨拶をするのは欠かさない。おそらくこれを怠ったら離れるだろうと思っているからだ。


 朝礼を済まして社長室に向かう。そこでは既にガブリエルが来ており仕事はもう終わった後だった。


「おはよう。ねぇ、ガブリエル」


「おはようございます社長。どうかなさいましたか?」


 リリシィは例にも漏れずガブリエルに朝の挨拶をする。ほぼノータイムでガブリエルは振り替えるとリリシィに挨拶を返した。

 そこまではいつも通りだった。いつも通りだったのだが。


「もしかしてまた今日も()()仕事、終わらせちゃった?」


「はい。その方がボクとしては気が楽なので」


 何を言うかこの天才天使は。言うに事欠いて自分で仕事を終わらせた方が気が楽だと? なら私が仕事を出来るところを見せなければ。


「私、ちょっくら仕事してくる」


「かしこまりま……えっ、社長!?」


 ガブリエルが丁寧にお辞儀してからその事に気づくまで、およそ二秒程の時間を要した。そしてリリシィはその二秒程度の時間で社長室から踵を返す。

 詩達の居る、天使科を目指して。





 ☆☆☆





 今日の天使科。斡旋所は大忙しであった。全く嬉しくない悲鳴しかあがっておらず、場は大混乱と言う有り様。


「お待たせ、みんな! 私が来たからには百人力よ!」


 リリシィがどや顔で天使科に入るものの、誰一人としてそれに気づかない。


「山岡さん、ぶっ通しで魂の選別出来ますか?」


『ええ、大丈夫ですよ』


 ラストピアで最近普及しつつある空中投影ディスプレイ。又の名をホログラフィーで部屋と部屋とを結び意志疎通を図る。魔法と科学の融合によってなせる技術の一つであり、少し前に詩が資料を見るのに使っていたのもこれである。


 リリシィは無視された事に膨れっ面になるものの、この現状を見て仕方ないかと諦める。


「部屋は空いてる?」


「女神様!? どうしてここに! ……いや、部屋ですね。ちょうど今一部屋だけ空いてます」


 近くで作業をしている社員に声をかけると、驚いた声をあげながらもリリシィが欲しい情報を伝える。


 よし、と一呼吸。リリシィは空き部屋となった所に入る。


 久しぶりの斡旋所の最前線の職場。

 リリシィは言い様の無い高揚に包まれていた。





 閑話休題





 手元の資料を見ながら最初に対応したのは、天使社の名が泣いてるで最も多い人型の魂だった。

 魂は女神であるリリシィの能力の一つ、昇華によって一際輝きを放ち、中学生ぐらいの少年となる。


「えっと、ここは……?」


 少年は未だに状況が理解出来ていなようだ。それもそうだろう。

 死に様は分からないが、ここにくる魂は転生するために自殺する魂は来ないようになっている。なので仮に漫画等で転生と言う概念を知っていたとしても、真っ白な部屋で目が覚めて転生部屋なんてすぐに分かりっこない。


「ようこそ、転生斡旋所へ」


 だからこそ、このセリフを口にする。


「あっ、あの、その……」


 少年は声の主を見て思わず顔を赤らめる。多感なお年頃の少年だ。性格がアレなリリシィでもスーツで押さえても押さえきれない巨乳と、タイトスカートから覗く足を見て少年は声を詰まらせる。


「紹介が遅れました。私は女神リリシィと申します」


 普段のリリシィとは思えない程の艶やかさでお辞儀をする。少年はただただ前屈みで戸惑うしかない。リリシィの色気は少年の精神にオーバーキルだった。


「どうなさいましたか? そんなツラそうな格好をして」


「いや、その、大丈夫です」


 ビクンと体を震わせてしどろもどろになりながらリリシィに返す少年を見て、リリシィは内心愉快でしかない。腹黒女神だ。

 その後もあくまで敬語を貫き仕事をする。


「では早速転生作業に移りますね」


 リリシィは少年弄りをやめて作業の方に取りかかる。


「まず、次に生きたい世界はどんな世界ですか?」


 詩ではないが手始めとしてマニュアルに沿って進めていく。

 それが決まらないと何も始まらないのだ。


 少年はうーんと考える。考えるがどういう世界で生きたいのか。明確なイメージがなくて数分程度の時間が空いた。

 待ちかねたリリシィはようやく口を開く。


「もし決まらないようでしたら、どんなものがある世界がいいかを言ってもらえればこちらで対応しますよ」


「えっと……それじゃあ、魔法がある世界で」


 少年が言ったのは人気ナンバーワンと言っても差し支えない程の定番である、ファンタジーの世界だった。

 リリシィはホログラフィーで魔法の使えるファンタジーで受け入れしている異世界の検索をかけると、およそ数百年万と言った数の世界が結果として表示される。


「ではここから絞り混みますね。どんな種族になりたいですか?」


「えっ、種族ですか?」


「はい、たとえば今まで通り普通の人だったりドワーフやエルフ等の亜人や獣と混ざりあった獣人。それから吸血鬼等の魔人と言った人外系。果てには植物や動物となることも出来ます。ついでに言えば性転換することも出来ますから好きなのをお選びください」


 思春期の少年に性転換の話題は、砂漠のオアシスのようなものだ。


「じゃあ吸血鬼の……女の、子で……」


 今にも消えそうな声でモジモジしながらも、しっかりと性別まで決める少年。リリシィは笑いを堪えるのに必死になりながら絞り混む。


 その後も少年をからかいつつも、スキルやステータスを決めていき無事に少年の魂を見送っていた。


「さて、女神な私の斡旋無双、始めよっか」


 リリシィは口の形を弧にしてそう呟いた。





 余談ではありますがこの小説をモーニングスター大賞の方に応募します


 第2回お仕事小説コンも考えてたのですが、十万字推奨となってますので3分の1はさすがになぁって思い、最終的にモーニングスター大賞の方に応募しました

もしよろしければ応援よろしくお願いします


 ……目に見える形でもいいんですよ?←

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