回復魔法
数回の依頼を経て僕はジョンの姉さんの見方は間違ってると思えてきた。ジョンはリーダーに向いてると思う。ただ彼の天職は遊撃だと思う。一人で自由にやらせたほうが良い。今まで彼が機能しなかったのは僕が居なかったからだと本当に思う。リーダーとして機能してると思ったのは、彼は指示すると言うより全体の調整と言う動きが上手い。ラッシュ、姉さんの動きに合わせて自分の役割をその都度変えていく。少人数のパーティーでその動きがリーダーがやる役割に近くなってる。でもこれは独立した動きでかく乱する遊撃だと思う。彼がリーダーをやってるのは結果論だけど、僕さえ加われば彼の役割は彼しか出来ないぐらい重要なものになってる。
彼の存在によって魔物の動きに制約が掛かるので一撃必殺の僕の魔法がヒットしやすくなる。僕の魔法の場合強大なので余波で相手のダメージになってしまうほどだけど。逆に味方に対する注意が要るほど強力。ただ前衛のラッシュには対魔法シルードの様な支援魔法を僕がかけている。本来これが姉さんの役割だったはずなのでかなり負担が減るようになってる。
「リック酷いよ。僕が燃えてしまうよ」
ラッシュは年下の僕にも実力を認めて見下したような言い方にならないように回りのメンバーの様に話してくれれた。でも内容は非難が少し入ってた。
「ごめん、どうしても戦闘速く終らせたくて」
ラッシュを燃やしてしまうほど強大火力のファイヤー系の魔法をガンガン使っていた。僕自身ラッシュにかけてある支援で十分なのは分かっていた。ただ多少は熱くて痛い…。言葉にはしなかったけど、今までと較べたら良いでしょーって実は思ってた。彼ら3人の戦闘は見た事が無い。でも容易に想像がついてしまう。本当に良くこれでパーティーとして成立していたと思い。逆に姉さんこんな無茶なことして僕育ててくれたのかと感謝するほどだった。
ジョンが一人に拘る理由も分からないでもなかった。一人でこなせる規模の依頼で安く済ませるほうが効率が良いのじゃないか?と思えるほどだった。ただジョンはそれだと同タイプのソロ冒険者に較べて足りない部分が多かった。僕が言うと説得力が無いけどこのパーティー若くて未熟に尽きる。ジョンが一人でってのはタイプに過ぎなくて、実際依頼をこなすには足りない。魔法使いが今まで居なかったのは、若くて未熟だけど初心者とは呼べない微妙なパーティーだから面倒で参加してくれなかったから。それだけ僕と言う存在がイレギュラーだった。僕の実力があれば本来ならこんなレベルのパーティーに入らない。だからって僕の様な子供を良く分からないのに天才の一言で使う気になるか?と言うと無理だろう。確かに僕は桁違いの子供だとギルドでは認められていた。しかしそれは子供としてで、パーティーのメンバーとしてみてくれなかった。
他にも驚くべき事があった新しくリストに使いされた魔法で回復魔法があった。根本的に回復系と系統が違う。だから姉さんの使ってるものとは全く違った。ただ姉さんの初期段階の回復より数段上のクラスだった。
そもそも姉さんが神官の道に進みたかったのは、この世界における宗教的な契約により回復魔法は効果を発揮するのであって、根本的に魔法とは違う系統のものだった。僕は神への信仰を必要としなかった。最初の頃なんの魔法か分からなかった。効果も小さかったし、どうやらこれが回復系だと分かって打ち明けた時、
「そんな馬鹿な事あるわけないよ」
うん、この世界の常識ではそうだと思う。ただ僕は状態把握って個々のステータスをウインドウで見る事が出来る。体力など回復してるのが小さいながらも分かる。必ずしも正確に数値化されてるわけじゃない。ただ目安にはなる。姉さんはどうも頭が固い…。多分この世界で一番信頼してなんでも話してる姉さんに僕がたった一つ全く話さないのが僕が日本人だった話になる。何度も話したけど姉さんは理解できなかった。だからもう言うのをやめてしまった。姉さんにとってそれは御伽話しみたいなものでしかないようだ。そのおかげでいつもそれを元にした僕の能力の高さへの姉さんの疑問の解消への嘘の言い訳には苦労をしている…。この発言がまさに僕がそうせざる得ない大きな理由だった。
魔法使いが回復できないわけじゃない。でもそれは神への信仰を同時にしてる場合だけ。その場合も低位のものだけで、姉さんぐらいのクラスだと間違いなく宗教施設この場合教会での洗礼の様な信徒としての明確な儀式を行わないと無理だった。僕は子供だったからより、僕自身が全く興味を示さなかったのがある。それと言うのも魔法使いはそういった信者と180度違う性質を持つほうが望ましいからだ。無邪気で自由奔放な精神。これこそが魔法使いの理想の境地で、宗教的タブーなんてまっぴらごめんだった。僕は別に悪辣な性格をしていたわけじゃないが、姉さんから説明を受けて真っ先に僕は信徒にならないと決めたほど。僕が大好きな姉さんと合わない部分はこの一点だけというほど。
合わないって言葉とは違うんだと思う。だって僕が姉さんを好ましいと思う部分で全部好きぐらい好きだったけど、特に客観的に見た部分では、宗教的な部分が大きかった。変なものだ。僕自身はまっぴらごめんだと思うが、信者である姉さんにはその部分が特に好ましいと思ってるんだから。ただ姉さんも元々はきちんと魔法を学んだものなので魔法使いがなんたるか?を良く分かってて、僕を無理に誘ったりは一切しなかった。それでも僕から回復魔法出来るかも?といわれたのショックだったのだろう。姉さんの返答は冷たかった。
数回かけて目に見て分かる変化を僕はこっそり確認したことがアル。ただその事を黙っていた。なんとなく姉さんの考えは分かっていたから。これからは多分こっそりしか使わないと思う。姉さんの信仰にたいする心が間違いなく揺らぐだろう事実だから。姉さんは回復が神様のおかげと真剣に思ってる。僕はそれを今疑ってるんだ。これは何かこの世界の宗教には裏があるぞ?と思い始めている。
日本からこの世界に来る間僕にはそれが全く分かって無い。何故僕だけが特別な能力を多数持つのか?そろそろそういった事に疑問が生じていた。ただそもそも僕はこの世界に来たのも良く分かって無いし、日本にいた記憶も曖昧。姉さんの言うとおり御伽話しの様な妄想なのでは無いか?でもあの記憶が物語じゃないと自覚する何か?がある。そもそもこの世界とまるで違う物語をポンポン僕が浮かべるのは変じゃないか?とは思う。それに対して異質な実感のアル記憶。間の記憶さえあればすべて分かるのに。




