試験
ジョンが話し始めた
「リックがすごい魔法使いになる可能性を秘めてるとエミリアから聞いてるけど、この数日間でのギルドでのやり取りを見させてもらった確かに年齢でそのまま見てはいけないのは分かった。ただエミリアは俺達のパーティーにリックを加えたいらしい。それはリーダーとしてじきじきに見る必要がある。今から模擬戦闘をしてもらう。リックの実力は良く分かったからあまり高位の魔法は使わないでくれるとありがたい」
困ったな。それ以外僕には武器となるものが無いのだが…。ただ確かに僕の魔法はやばいかもしれない。自分では分からなかったけど、段々僕の魔法の危険性がこの数日間で分かってきた。直撃したら普通の人なら即死するレベルの魔法を僕は使えてしまう。
「試合開始」
相手を倒すとかそういう試合じゃないと言うのが徐々に分かってきた。ジョンは何かを調査してる。試すような動きが多い。それでも一応低位の魔法で対処しながら攻撃を加えていた。当ててしまって良いのか?と心配はあった。しかしそれは杞憂だとすぐに分かった。そんな簡単に当たらない。じゃ僕ってどう戦えば良いんだ?となってしまった。高位の魔法ならまぐれあたりの一発逆転がある。しかし低位の魔法を確実にヒットなら僕は使い物にならない。
「もう良いよ分かった」
ジョンは途中で模擬戦闘をやめてしまった。僕はショックを受けていた。一応姉さん自慢の天才なので…。
「合格」
「ええ??どういう?ジョンさんどういう事ですか?」
「ああ確かに何も説明しなかったからな。でも事前に説明するとそこばかり頭が行ってしまって実践的じゃなくなるから。距離の計り方を見てた。遠距離攻撃を得意とする魔法使いだと極端な話し相手の攻撃を避けるのに、逃げてしまえば良いから。逃げると避けるは違うんだよ。リックが逃げないか?を見てたんだ。リックは見事に逃げずに距離をとり避けていた。魔法使いと身体による攻撃を絡めた避けるは違う。その魔法使い専用の避けるがきちんと出来てる。どうしても魔法が使えるだけだと怖がって距離をとるのを意識しすぎて逃げてしまうからね。リックこれからよろしく」
「リックよろしく」
「リックおめでとう」
「よろしくお願いします」
姉さんはジョンに微妙な評価を下してたけど、十分彼はリーダーしてると思う。今回の模擬戦闘によるテストなるほどと思わされた。僕は誰に習ったわけでもない。体術格闘技をなんとなく応用して仮に魔法の間合いならって応用しただけでその場の思い付きだった。全くそんな訓練してなかった。その点姉さんは回復系とはいえ魔法に詳しすぎた。僕を過大評価しすぎていたと思う。正直言えば姉さんこんな重要な事聞いて無いよって突っ込みたい気分だ。ただ分かったのは僕は殺傷力の高い魔法を使わないとイマイチ使い物にならない事だった。その点姉さんの判断も分からなくも無い。
「ごめんねリックどう考えても今日のテストぶっつけ本番だったよね?」
「そうだよ姉さん酷いよ。今までやった事と全く関係ないじゃないか」
全くは嘘だったが、それは僕のセンスによるところが大きかった。自分でも意外だったが僕は案外身体能力が高いようだ。日本での記憶でそんなに意識して高いレベルのものがあったのか?はしっかり覚えてない。だから意外だなと思ってしまう。いやそうでもないだろう。おそらくスキルによるところが大きいと思う。ずるいと言えばずるいが弓や銃による距離を置いた戦闘も僕のスキルにはすでに入っている。ただぶっつけ本番で応用力が無いからその辺りカバーしてたのが僕のこれまでのギルドでの経験だと思う。
スキルの応用力の無さの補助を学んでいたといえば良いんだと思う。僕はスキル無しでどこまで出来るのか?をあまり試してない。それは僕が実は姉さんの目を誤魔化すのを目的としていたから。誤魔化すって言葉が良くないんだけど、スキルの完成度が高かったから。僕はおそらくこの動かされる感覚からいずれは動かすに変わると見てる。今だけはスキルによって補ってもらおうと思って妥協していた。
姉さんが当初考えていた僕の焦りと言うのは多分当たっている。ただそれがすぐばれる様な幼稚なものじゃない。そこなんだろうと思う。もっと本格的な依頼をしたかった。シンプルにお金だと思う。余裕があるのは知っていた。ただ一切収入が無いのと言うのはそれを吹き飛ばしてしまうものがアル。ある日突然僕は日本の大人だった事を意識し始めたわけだけど、その前僕はおそらく姉さんにとっては負担だったと分かるから。




