仮説(最終回)
数日経て考えがまとまったのでユニに聞いてもらう事にした。
「決定的証拠は無いけど、AI君との邂逅を経て得た仮説を話すと、この世界自体がどうやってか?良く分からないけど、巨大な魔法装置になってるんじゃないか?って結論」
「えらくぶっとんだ仮説だね」
「装置が無いならそこは後から誰か発見してって無理矢理な仮説…。ただ傍証ならあるユニが調べたスポットの変化。あれね多分ね装置の自己増殖じゃないか?って見てる。おそらくかなり小さな範囲でアミューズメント施設として使用されていた魔法の装置が文明崩壊で制御を失って拡散と自己増殖を繰り返した結果じゃないか?と見てる。これだとスポットが消えていく現象が説明できる。最大の問題はどこにその装置あるの?ナノマシンとか駄目?」
「無いとは言えないけど、調べるの無理だよね」
「ナノマシンが連結して巨大なニューロネットワーク化してるなんて壮大でしょ。もう一つ傍証がある。ユニと僕とで魔法の限界に差がある。他の人は日本語知らないからでこれは生物と非生物の差なんだよ。多少使えるのってが変だよね?だから食べの物じゃないか?と見てる。どうユニが処理してるかしら無いけど」
「排泄私し無いよ?」
「博士何故おしりの穴つけてるんだろね…、言ってて僕が何か恥ずかしい」
「おしりの穴でも出来るようにじゃない?」
「ユニさん下ネタ好きだな…」
「実体験だから」
「僕やってないよー。この話はやめよう…。博士の性癖を疑ってしまう」
「思い切り話し脱線した。体内に何かしらの形で食べ物の要素を取り込んでる。それが魔法を増強させてる。後生物重要じゃないと思う。世界そのものが装置ってのが僕の仮説だから。あくまで何故差が出来るのか?だから。後博士2号も知ってたけどなんで?」
「なんでだろうね、博士も仮説だったんじゃないの?ここまですごいテクノロジーだと多分博士もっと詳しくなってると思う。博士どうみてもあの10Mボックスのレベルしか知らないから。世界の叡智のすべてタワーにあったって夢があるけど2割ぐらいは漏れがあったんじゃないか?」
「夢ね、ユニ僕に気を使ってくれてる?結構人体実験とかきついからね」
「うーん博士2号擁護する部分が多いな。ちなみにモニカね」
「重大な話さらっとするね」
「彼女別の名前持ってる。だから本名じゃないから出さなかっただけでそっち忘れてしまった。そっちはあまり話さなかったからね。うーんとね、リックとモニカって似てる部分があるんだよ。研究者気質と科学の力を信じてた。ただ同時に挫折も味わっていた。後から分かってモニカでも知らない知識が合ったんだって、ちょっと悲しい。モニカは認めないと思うけど、タワーは科学文明の再生に失敗したと思う。でもまだこんなテクノロジーあったのかと知るとね。モニカならこれをどう使ったかな?って気になるから」
「2号のせいじゃない、これ1号のミスだな…」
「それも擁護すると時間が無かったんだよ」
「そうか君にとっては両親であり妹だもんな。ユニってそういうの薄いって感じるけど違うんだね」
「どうだろう。肉親よりリックと似てる。今の時代はなせない事だからね。そういう話が出来た人は違うよ。今になって分かる感情で当時はそれが当たり前だったんだけどね」
「今の世界つまらない?」
「そんな事は無いよ。ただ私には人の生きてる単位でものを見ないから。そういえば私1000以上だけど、これ大雑把。正確には崩壊前の方が多分長い。セカンドファーストって言ってるけど、この間すごく長いからね。魔法の装置の自己増殖説さあるかもね。すごい長い時間だから。私にとってはセカンドとファーストの間の時間も大切な時間で一番思うのはあの時間は2度と取り戻せない」
「人類がまた発展するかもよ?」
「それはそれで悩む。そうか今気がついた。関わらないでってこれも入るね」
「これはありじゃない?だって僕のせいだもん」
「でも私が居なかったら今日の仮説は出ていたのかな?」
「無いだろうね。作った開発者と関わっていたAI君でさえびっくりする発展だからね。僕がこの仮説に確信を持てるのは、ユニがいるから。基本的に君ポンコツだけど、長期間生きるって事だけ取るとすごい高性能な部分もってるからね。後日本語の話し無いと」
「聞かせてよ」
「これはAI君の情報が大きい。最終的にどんな形になったか?分からない。ここを飛躍させる。一つの町単位であったんじゃないかな?何か聞いてるとファースト前って混乱してるよね?だからそういう閉鎖的な町があったんじゃないか?と推測してる。そこでの日常言語は日本語だと都合が悪い。後はこっちの勢力が今の多数派になったと思えば良いかと。日本語忘れられたのは一部の人間だけが魔法を使えたのかもね。考えてみるとファーストとセカンドの間の時代良く分かって無いんだよね?技術的な変化はなかったけど、この間に日本語による魔法が特権階級の知識になったんじゃないか?と見てる。これ合理的なんだよね。魔法が使える領域が増えると、魔法民族が他の民族を制圧していくからね。自己増殖に必要な時間は、そのための準備期間になったと見てる」
「それこの世界が魔法装置って仮説が崩れたらガタガタだね」
「しゃないよAI君だってこの変化分からないんだから。モニカ博士は多分優秀じゃない?でも魔法技術無視ぐらい扱ってない。これは博士が知らない情報が今の時代に関係してると見るのが自然だよ。僕はモニカ博士を知らないから」
「あの人知的レベルを引き上げられた人造人間だからすごく頭良いよ。だからその仮説確かに信憑性あるね。モニカが生きていればこの世界すべて変わるよ。それぐらいの偉人だよ」
「ベタ褒めだね」
「これ事実って言えると思う。今リックのこの説公表するだけでどうか?と思ってる」
「ちょっと否定的に言われて困ってるけど、図書館に置いたら駄目?」
「まあ良いよ。約束は守れないかもしれない。でも私分からなくなってる。良いとか悪いとか分からないよ。それに拡大解釈だしね」
「1000年か人間の立場で僕が許すよ。それ以上拡大解釈の約束で君を束縛するのは恩人のする事じゃない」
「ありがとう」
時折感情が混じる彼女の声色。重みのある有難うだった。なんとなく僕ははじまりの王達に怒ってた。苦しんでると言うほどでもないけど、遅かれ早かれ人間はまた発展するんじゃないか?と思う。その事に対するメリットデメリットをすべて彼女に起因するのは間違ってる。僕は正直何に怒ってるか?が分からない。ただ良く分からないけど彼女が約束を破るのを非難するのは不愉快だった。僕が全面的に彼女を擁護する事で約束破りの同罪になろうと思った。それは自説が闇に葬られるのが嫌なんじゃない。図書館に何を残すか?今後僕が死んだ後の世界で思い悩むのを考えると嫌で仕方なかった。
そうか分かった僕は彼女一人に背負わせたくないから僕の責任でもあると彼女に表明したかったんだ。
魔法をめぐる大きな物語はこれで閉じる。しかし僕達二人のこの不思議な魔法世界での日常は今後も続いていく。それらがまほうさまの日記綴られ図書館に公開される日を楽しみにしてる。




