まおうさま
家の前に立ってたドキドキする…。家の前にあった輪をドアに当てて叩いてみた。大きな家じゃないから多分聞こえると思う。トントンと数回叩いた後ドアが開いた。神様僕と変わらない女の子だった。でも何故神様といわれるか?分かった。亜人とか魔物が居る世界だけど、この子は異様だ。全身真っ白。白髪じゃなくて銀髪に近いけどとにかく白い肌に赤い目。まるで白ウサギだ。昔から日本ではこういった白い獣が神様として祭られることが多い。そういった価値観が共通するのかもしれない。僕はその姿にしばらく話を切り出せなかった。
「何の御用でしょうか?」
やけに淡々とした抑揚の無い無感情な声だった。どんどん僕の中で彼女が神様っぽいと感じてしまう。
「神様ですか?」
あれ??なんて良いか分からずに気になってたことをそのまま言ってしまった。
「いいえ、まおうさまです」
ああああ、僕はそうだまおうさまを探してきたんだ。いたーー。
「まおうさまでも良いです」
何を言ってるか?分からなくなってきた。それぐらい混乱してた。この数年ずっと探していたまおうさまやっと見つけた。でも自称だぞ?そんな事どうでも良かった。彼女の容姿がまおうさまでなくてなんだと言うのか?でもまおうさまってイメージ黒だよな?ってどうでも良い事日本人のイメージで考えてしまった。そう僕がまおうさまを探したのは不思議だっただけじゃない。直感的に日本との繋がりを感じたから。彼女が僕の返答にぴょこっと言う感じで首を傾けた姿で僕は一目ぼれをしていた。この子すごく可愛いんじゃ無いか?と思っていた。
「混乱してすみません。村の子らがまおうさまの事を神様と言うから神様ですか?と質問したのですが、そうじゃないと返答だったので。」
「うん、何か村の人達は神様と言うから神様にしてるけど、私ずっとまおうさまと言ってるよ。村の中では神様の方が通じるからそのままにしてる。外の人だから」
「丁寧にどうも…」
言葉が上手く伝わらないのか?と思っていたら普通にこの子頭回ってる。何を言ってるかわけ分からないのは僕の方だ。
「実は僕はこの数年ずっとまおうさまの図書館と言う噂話を聞いてどこにあるのか?を調べていました。ここがそうなのですか?」
「図書館?」
「好き勝手言ってるだけで別にそうだと言うわけじゃないです…」
「良いんじゃない?図書館で」
奥に見える本棚の本の数が膨大だった。生活のすべてが本だった。ただ図書館は確かにこれ大げさだ。まおうさまの書斎ぐらいだよな…。小さな村だからな…。そもそも何で僕は魔王様ってイメージじゃなかったんだろ?こっちの言語には漢字とかひらがなの概念が無い。あったらあんな形でそもそも呪文が訛らないのもあると思う。根本的に違う言語なんだ。英語とかに近いと思う。ニュアンスが子供っぽい部分があった。幼児語というものがあってそれに近い感じだった。ただ今会ってその意味が分かった。彼女の少女っぽさを表現したなかったんだな。まおうさまの図書館は実際あった人のイメージだったのか。
「それじゃ」
「え??」
「まおうさまの図書館見たかっただけでしょ?」
「ちょっと待ってください」
僕も可笑しかった。彼女の言ってる事は間違ってなかった。最初はそのつもりだった。確認したらそれで終わりだった。本見せてよって何かそんな気持がわいていた。本当は違った帰りたくない口実を探してた。姉さんは世間的にはノーカンならこれ初恋だと思う。シセルへの好意はそんなものじゃない。今それが分かった。姉さんの気持ち近いようで遠い。姉さんは生まれたときからいた。だから変な気持だった。彼女は突然出会ってしまった。これが僕の心を大きく揺さぶった。
「こんな事をお願いしてよいのか?分からないのですが本を数冊読ませてもらえませんか?どんなところだったのか?人に話したいんですよ。良いでしょうか?」
「うん、別に良いよ」
中に入らせてもらってスグに目に付いた本のタイトルがあった。『マグニールの神話』この辺りはマグニール地方と言い、その地方にあるチフル村と言う位置づけだった。僕のライフワークと大きく関係していた。今気がついたら僕は本と言うものをほとんど読んだ事が無い。文字はかけるし読める。学校に行ってたから。しかし本をほとんど読んだ事が無い。そもそも本というものが極端に少ない。活字がこの世界には無い。彼女の手書きなんじゃないか?と思う。基本この世界の伝承は口伝によるものが多かった。魔法とかはさすがに手書きの書物が大量にあった。ただそれは一部の特別な研究者が見れるもので、基本授業は教師だけが書物を見ながらの言葉を書き写す時間だった。図書館がなかったわけじゃない。ただ考えて見ると個人でこんな膨大な書物を持ってる人は見た事が無い。
「もしかして貴重な本なのじゃないでしょうか?」
「汚れとか?良いよたまに書き写してるから。でもなるべく汚さないようにしてね」
淡々と話す事が多かった彼女が始めてちょっと感情的だと感じた声色になった。彼女が神聖なのは彼女は人間らしい温かみを心から感じないから。ATMの音声サービスのようだった。懐かしいなATMかって何か久しぶりに思い出した言葉にまた感傷的になってしまった。やはり彼女からは日本を感じる。




