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ドラゴンスレイヤー

 そして卒業から1年以上が過ぎた姉さんが結婚して冒険者をやめてしまった。子供パーティーはこれで解散してしまった。二人は優秀だったけど、ソロを好んでいたジョンがパーティーでの依頼をあまりこなさないので自動的に消滅したところが大きい。実は姉さんがいなくてももう僕が姉さん以上の回復魔法を使うことは出来たんだけど。物理障壁魔法障壁、肉体強化など絡めたら僕はおそらくラッシュの役もこなすことが出来る。ただそういった事は隠していて姉さんの結婚が元子供パーティーの解散となってしまった。そもそももう僕らは子供パーティーじゃなかった。後続となる新しい子供パーティーがぞろぞろと生まれて僕らはもう十分にベテランパーティーだった。良い時期だったのかもしれない。ストバーク家に嫁ぐ姉さんと僕は話し合ってずっと暮らしていた家を売った。僕はいろんな意味で独り立ちをした。


 僕の中で姉さんとの離別はかなり大きな事件だった。姉であり、母であり、恋人だった姉さん。そのすべてを失ってしまった。結婚を前提とした恋人の存在それ自体もショックだったが、本当に結婚して離れ離れになってしまった事が強い衝撃になった。僕はソロでのドラゴン狩りの依頼を受けた。やけになっていたんだと思う。ただ頭は冷静だった。僕はドラゴン以上の存在でも破滅できる。だからなんとも思ってなかった。後衛集団戦、それでこそ映えるというのが魔法使いの常識だった。その常識を覆してしまった。竜殺しの魔法使いと言う2つ名がついてしまった。戦闘はあっけないものだった。以前からそれが可能なのは分かっていた。そもそもドラゴン自体は何度も狩っている。ただパーティーの中で。その時いつも一人でもこれ簡単に倒せると思ってた。


 最初はスタッフ格闘術でのらりくらりやり過ごしていた。それはすべて詠唱の時間稼ぎ。さすがにじっとしたらドラゴンのブレスで僕といえども苦しい。ただアノ程度で僕の障壁を敗れるのか?と思いも合ったけど。試す気にはなれなかった。無詠唱の低位魔法と長い詠唱の高位魔法を組み合わせた独特の戦術。これは理にかなっていた。無詠唱の低位魔法を打つ条件が高位の魔法を使いこなせるレベルにあったから。ドラゴンを怒らせてうろちょろと動き回らせるのが目的でそれで倒せるわけがなかった。目的は100人殺しの爆裂魔法にあった。そういえば、骨一つ残さず消して去ってしまったのだが、どうやって証明したか?でこれが一番困った。ソロだったから証明してくれる人が居ないし。しばらくたって依頼した人からどうやら消えたようだと伝えられてやっと依頼料金が支払われた。実際さっさと帰ってきて、ドラゴン倒したよだけで信じる人も居ないか…。


 本来ならこういう騒がれ方は好きじゃない。やけだったんだろうな。後から正直後悔した。どこまでやれるのか?試したかったのもある。ただそれでも目立ってしまって良いのか?と言う思いがあった。どうやって倒したか?分からないのがまだ良かった。それを知られたら多分僕はもっと目立っていただろう。おそらくこの世界でこんなクラスの魔法を使える魔法使いは居ないだろうから。


 僕は傷心のままソロの依頼ばかり受ける事になっていた。僕は趣味に生きようと気持を紛らさせることにした。ソロになって時間的に自由になる時間が増えてあっちこっちいった時に余計な所をいろいろ見回っていた。その中で僕はとんでもない発見をしてしまった。ポテチの袋だった…。なんでこんなものがあるんだ??これによって僕はある仮説を立てた。僕がこの世界に来たようにこの世界には様々な日本の物が流れ着いてる可能性があると思っていた。漂着と僕は読んでいた。僕は魂?意識?そんなものが転生したんだろうと考えていた。僕だけが考える突飛な考えだった。ポテチの袋が僕の人生を変えた。なんか覚えがあるぞあの芋に手足と目のついたあの袋。僕はこれをこっそりもって帰った。世界各地で依頼のついでに僕は日本からの漂着物を集める事をライフワークにしようと考えていた。この世界で一人日本人であった事がアイデンティティの様なものになっていた。彼らは孤独な僕の友達だった。


 姉さんと別れて生活したことがものすごく大きかった。この世界で僕を強くつなぎとめる存在が姉さんだった。離れてみて分かるけど、僕は本当に姉さんを異性として好きだった。僕の中でどんどん日本人としての自覚が強くなっていった。異性として意識したのは僕らが姉と弟の関係じゃない面があったから。そこが僕の日本人としての自覚だった。僕らは全くの他人でその人がとても優しく愛情豊かに接してくれた。弟だった時はそれが当たり前だったけど、日本人としての面を強く自覚したら、アノ人を好きにならないほうがおかしいと素直に思っていた。数年して姉さんに子供が生まれた。さすがにその時は合いに行った、でも僕はストバーグ家にほとんど訪れることはなかった。


 結婚した直後に話したことだけど、


「姉さん僕は義兄さんには素直に親類として接する事が出来ないと思う」

「仲良くして欲しいよ」

「義兄さんを嫌ってるわけじゃない嫉妬してしまうんだ。僕が姉さんを好きな気持ちは弟のそれじゃない。姉さんは信じてくれなかったけど、僕は別の世界のもう30超えた中年の男なんだ。姉さんシスコンが拗れておかしくなったとか思わない欲しい。僕は前から話してるはずだから。ただよりこれで信じてもらえないね…」

「リック困るよ」

「そうだね」


 言ってはいけないとずっと自重してきたけど、当たり前の様にたずねて欲しい姉の気持にはこたえられない。僕は姉さんを独り占めしたいんだ。姉さんの何か悲しそうな困った顔だけずっと忘れられない。僕も自分の言ってる事が受け入れられないのは分かってはいた。


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