学校
ただこの衝突は意外な副産物を生んだ。僕の魔法を応用して武器に魔法の効果を与えられないか?とジョンが相談してきた。実はできる。僕はそれは効果が弱いのでやらなかっただけで。僕の場合直接流し込んでやる事がさほど難しいことじゃなかったから。でもこの世界の常識では出来ない。それは専門の魔法と相性の良い武器だけが使用できるものだった。僕だけが出来たのは例の新しい魔法によって応用したからだった。ジョンが魔法の常識をあまり知らないのが逆に良かった…。この事はかなりの効果があった。
「俺魔法の事は良く分からないが、お前もしかしてすごい魔法使いなんじゃないか?」
「そうなのよリックは天才なのよ」
姉さんが変わりに答えてくれて僕は照れていた。ジョンがどういう意味で言ったか?知らないけど、この世界では多分僕しか出来ないかもしれない。ただ僕も姉さんが受けた教育から分かってるだけで、姉さんが知らない高等な魔法教育では違うのかもしれない。
数年が過ぎてこのパーティーの中では僕は無くてはならない存在になっていた。
「リック、私達で工夫するから依頼の頻度を減らしてあなた学校に行った方が良いと思う」
姉さんはそろそろ自分が独学で教える事に無理を感じていた。リックにはあまり有用じゃないのは分かっていた。それでも全く知らないのは駄目だと思っていて魔法学校の入学を勧めていた。ただ姉も実は良く分かってなかった。リックの魔法は根本から違ってて、今の魔法学校の教育が役に立つのか?かなり怪しいものだった。リックはあまり期待してなくて、魔法の常識でも知っておくかと軽い気持でエミリアの申し出を承諾した。
僕の予想通り学校生活は退屈そのものだった。何もかもが低レベルすぎた。僕はわざとこの世界の低レベルな呪文を頑張って使っていた。それでもそれなりにはこの世界での常識の枠内での魔法の才能の片鱗を見せていた。ただこのレベルでは僕は優秀な生徒と言う程度でしか無い。姉さんがこの子伸ばさなくてはいけないと思うほどの使命感に溢れるほどの才能の輝きじゃない。僕は最初からそんなもの期待してなかった。この学校でコネクションを作ろうと考えていた。日本と教育制度が違うのは教育期間がとにかく短い。これは逆に日本の教育制度にも問題があると思う。実用的という意味ではこちらの方が優れてる。初等教育の次の高等教育は日本では大学レベルの物になる。小学生と大学生がいきなり別れてしまう。それと言うのもこの世界での大学は研究機関としての意味合いが強い。それを将来仕事にする人が通う教育機関で基本初等教育で終ってしまう。
そもそも戦闘重視の実践的魔法使いなら冒険者になったほうが良い。初等教育からいきなり冒険者になるのは合理的なんだ。魔法使いが身体の高い能力を要求されないので僕は超例外だったけど、それでも魔法使いがパーティーの中で最年少は良くあることだった。僕の様に魔法武術なんて編み出してる例外魔法使いは本当に世界でただ一人かもしれない…。
僕は将来冒険者になる事を考えていて、高等教育機関に進むつもりが無かった。最大の理由は僕の方が優れていたから。初等教育を受けてその事で確信できた。根本的にこの世界の魔法の教育は間違ってる。彼らは呪文の意味が分かって無い。ただ歌ってるだけで歌詞の意味を分かって情感をこめるようなことが出来ない。おそらく僕は高等教育機関に進むとそれらを開示しなくてはいけなくなる。魔法の革命になるだろう。しかし僕はその時説明を求められる。それがどうしても嫌だった。たった一人の世界で一番信頼できる人が信じてくれない事をどれだけの人に話さなくてはいけないのか…。
(君達は日本語を分かって無いと言う事なんだよ)
そんな風に心の中で退屈な授業中に一人つぶやいていた。




