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眠りに落ちつつ

何の意味もない。そんな事を書いてみたくなった。

読み直して、「読めるな」と思ったので此処に挙げる。

 ちょうど眠り時。


 確か二段ベットの下だった。上は兄が眠るはず。どうしてかあたしの記憶に兄の姿は無い。

 別に鬼籍に入ったなんて話じゃないんです。多少は気を使ってはいたはずなんですが・・・思い返すとまったく気にしてないんだから不思議なもんで。


 お気に入り・・・というのも妙な話で、次男なんで新品はあたしの所にゃ降りては来てくれません。最初に兄がコンポ、あたしがwラジカセなんて物を手にした前の話。どう言う経緯があったか忘れましたが、多分、兄弟興味が無かった頃合に銀色のふるぅいラジカセを勝手に押入れから掘り出し、枕元に用意して、明かりを消し、イヤホンを刺して・・・この辺が気にしてますね。根が小心者なもんで・・・寝入るまで聞き込んでいた事を思い出します。


 それにしてもラジカセなんて物はカセットテープとラジオしか聞けないってのに何だってあんな重かったのか?むしろ不思議に思うくらいで。


 背伸びをしたかった頃合だったんでしょうね。聞く曲は親の古びたカセットテープ。ひどいもんでね。生録ですよな生録。テレビの前にラジカセ置いて録音ボタンをガシャリと押す。

「提供は―――」

 なんて言葉が鉈で切ったようにブツリと切れて、次の曲が始まる具合で、遠くで皿洗いの流しの音が聞こえたり何なりと―――ひどいでしょ?


 そんな物を聞いてるのが大人だなんて思ってたんでしょうね。そんな事ばっかり覚えてる。

 大人の真似事。そして、そんな事は長くは続きませんで―――


 思い出しました。確かその頃は八時になると寝床に入れと布団に押しやられて、それなりに成長したあたしが寝入るまでの暇つぶしに始めたことだったんですよ。


 ぶつ切りのテープは早々に飽きちまって、でも、今その曲を聴くと感慨深い思いに浸れるから、三日坊主のあたしにしちゃ、ずいぶん意地を張ったほうなんですかね。

 褒める事じゃないですが―――


 んでね。ラジカセで、ませた餓鬼が曲を聴きまして飽きました。なんて話じゃない。お話にもなりゃしない。


 好きな物があったんですよ。

 どうやって見つけたかなんて忘れました。ただの偶然、何しろ娯楽に飢えた餓鬼だったもんで、ラジオから聞こえてくる小説の朗読にズッポリはまっちまいまして。原本買って読みふけってれば末は作家先生か?―――ってなったんでしょうが、まぁ見ての通りでさぁ。


 あたしは「しめたっ!」って思いましたよ。テレビは見れない。漫画は無い。子供の小遣いに高級品でね。日曜に100円のお駄賃じゃ手なんか出ませんよ。我慢のきかねぇ餓鬼でして。

 小説なんてかたっ苦しい物は読む気も起きない。


 ―――朗読だったら話は別。


 ただ、この話にはオチがあって、毎日15分、土日を抜いた2週連続で一本のお話。10夜連続といったしだいで150分。結構な大作なんですが、子供の頭に毎日15分の番組

 ―――みみっちいな。と思ってましたよ

 そんでまた、一夜たりとも聞き逃せない。さらに言えば八時に就寝、番組開始が九時四十五分。ちょっとした苦行ですよ。カセットなんて聴いてられません。時間を逃したらアウトなんで、訳のわからない音楽番組を聴きながら時間を待つわけです。


 世に名曲は数あれど聴くあたしがぼんくらじゃ意味が無い。洋楽はいかに名曲と言えどまったくわからない。DJのトークだけで何とか間を持たせて、DJにもうまい人下手な人がいるもんで、やったら陽気で面白い話をするオネーチャンが「私の曲ですけど聴いてください」って。

 そりゃね。ラジオのDJやってるぐらいなんだから歌手でしょう。プロでしょう。そのくせ布団の中でげったげった笑かす人の曲には興味ありますよ。


 ―――めっちゃ暗いでやんの。


 もう誰だかわかる人にはわかるね。絶対二重人格だよ。あの人。

 DJ一本で食っていけるよ!って思ってたらその後ブレイクするし・・・すごい人は本当にすごいね。

 そんなすごい人たちが代わる代わるDJやってるんですが、当時のあたしにはまだ好きな曲なんてなかったし、そんなすごい人たちが「本当に名曲なんですよ」と紹介した曲も、頭をすり抜けていっちまってね。

 邦楽ならまだわかるんですが、洋楽になると点でダメ。こりゃあたしに聴く才能が無いんだなと思い至るしだいで。

 あたしはお話がないとまったく生きていけない人種のようで、邦楽は曲からお話が読み取れるから好き。ってな具合で―――


 ダメ人間のダメな理由はさておいて。


 山ほどお話を聴きました。そりゃ活劇調のお話なんかは楽しいし、明晩が楽しみで楽しみで。

 ただ、記憶に残ってないんですよね。

 ただただ面白かった記憶だけで―――


 ―――覚えているのは変な話。


 ひっどくくだらない物もありました。「ぴんぽん」だっけな。玄関のチャイムの音がながぁく響いて、次第に連打に変わる。まぁ、気持ちはわかる。そして

 ―――フィフティーン・ラブ

 無駄にいい声で響いた。


 その時のあたしの置いてかれっぷり!それに笑い転げた。眠いの我慢してこの仕打ち。ね、くだらないでしょ?


 ―――考えた人には悪いけど。

 まぁそれも見越してのネタでしょう。気にしない。いまだに脳の片隅に無駄に残ってメモリ食ってるちょっとした呪いですよ。


 そんな眠る前のひとこまを、聞き流した名曲に引き出されて書いてみた。


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