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第五十話『ルーイ捜索隊出動!』

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 さてさて父様とセオドア陛下、救出されて護衛をしはじめた騎士達とルーベンス、その他使用人達で地下牢を脱出し地上へ戻って来たわよー!


 うん、やっぱり外はいいな。


 牢屋は湿気っぽいし黴臭いし、すえた匂いで充満していてもう行きたくないのですよ!


 とりあえず非戦闘員を沢山抱えた状態では戦いにくいため、彼らを連れて一度私達が突入してきた入り口へみんなで向かっている。


「みなさんこっちです!ついてきてください!」


 ドラタマが開けた穴に案内しようとしたところでガシッとルーベンスに肩を掴まれ第一歩踏み出し損ねた。


「いいか、リシャ? 今は有事だからな? 俺が案内するからお前は迷子にならない様にロベルト宰相と手を繋いでろ、わかったか?」

 

 まるで幼子を諭すように言われてムッとした。


 このぅ、ルーベンスのくせに!駄犬王子に言われるとすごく悔しいんですけどなんでだろ?


「私の可愛いリシャは、父様を案内してくれるんだろう? 他の有象無象はルーベンス殿下にやらせておけば良いよ」


 そうしてこちらへ差し出してくれる父様の大きな手をしっかりと繋ぐ。


「そうですわね、私は父様の案内に集中しますわ」 


 そんな私の様子を見てやれやれとため息を付きながら、ルーベンスは穴ではなく城の周りをぐるりと囲む外壁に沿って進むことにしたらしい。


 暫くぞろぞろと敵兵士に見つかることなく進んで居たのだが、進行方向から悲鳴を上げながらこちらへ走ってくる女性がひとり……


「助けて下さーい!」


 独特の発音で助けを求めてきたリラの後ろには3人もの敵兵士と思われる男たちが武器を手に走り寄ってくる。


 すぐさま走り出したルーベンスに追従する様に走り出した騎士達がルーベンスを追い越してリラの身柄を確保したあと、後ろの3人も危なげなく斬り伏せたり捕縛していく。


 さすが騎士の面目躍如といったところかしら。


「たしかリラと言ったか? 何をしている?」


 正体がわからない不審人物を国王や宰相に不用意に近づけるわけにはいかないため拘束されたリラに、面識があるルーベンスが声を掛ける。


「いんやー助かっただよ!ルーイ様捜してだっけあん人らに見つかっておら逃げてきたんだでば」


 ちょっと奥さん聞きました?と隣人の奥さんでも噂話するような勢いでルーベンスに答えるリラは普通なら不敬罪で処罰されても仕方がない。


 ドラクロアへ行く前のルーベンスならギャーギャー騒いでいたと思う。


 そんなリラを全く気にせずにリラの話を聞くその姿は孤児院で子供達の話に一生懸命耳を傾けていた姿と同じで、不敬を咎めようと動きかけていた騎士達を黙らせるには十分な姿だった。


「それでルーイ殿下は見つかったの?」


 リラに近づき声を掛ければぱちくりと大きな瞳を瞬きしてこくこくと頷く。


「見つけたは見つけたんだげっともお城の中がゴチャゴチャしてるわ穴だらけだわでたどり着けねくて困り果てでだんですわ」

 

「それでどこにいるんだ?」


 ルーベンスが問いかければ、四隅にある塔の一つを指さした。


 そこは陛下たちの監禁場所として適切ではないとの理由で最初にカイが除外した場所だ。


「目が見えないルーイや女性のシャイアンなら塔でも監禁できるだろうからな」


 それまで黙っていたセオドア陛下がこちらへやって来る。


「……出来ない女性もいるけどね」 


 ボソリとルーベンスの小さな声が聞こえて勢いよく振り返れば慌てて何事も無かったように視線を反らした。


「あのぅ、妃殿下……こちらの方は?」

 

「ん? あぁ、ルーイ殿下の父君だよ」


 恐る恐る聞いてきたリラに答えればリラはあたふたと慌てながらその場に平伏し始めたせいで拘束していた騎士が慌てふためいている。


「はっ、はじめまして、リラと申しますだ! ルーイ様にはいつもお世話になっておりますだ」


「陛下、こちらの女性はリラと申します。 拉致されたルーイ殿下を助けようといらした勇敢な女性です」


 追加で紹介すれば、陛下はその場で片膝を付き自らリラの手をとり起き上がらせる。


「リラ、息子のためにありがとう……父親として礼を言わせて貰う」


「えっ、いや当たり前なことをすただけです」


 あわあわと慌てながらそんなことを告げているけれど、彼女が当たり前だと言い切った事を出来る女性がいったいどれだけいるだろう。


 私だって出来るかと聞かれたら……その時になったら考えますとしか言えないわ。


「陛下、父様、ルーイ殿下の救出に行きましょう!」


「おいまて! リシャはやめておけ!」


「なんでよ!」


「何でじゃない! お前を守れと頼まれたのに何かあったら俺が兄上にどやされるんだぞ!?」


 ルーベンス殿下に反対されたけど、隣りにいる父様を見上げておねだりする。


「父様、お願いします!」


「……」


「おーねーがーいぃぃい!」


「……はぁ、仕方がないね」


 根性で両目を潤ませてお願いすれば、ため息をついたあと了承してくれた。


「ロベルト宰相! 娘に甘すぎるぞ!」


 ルーベンスがぎゃいぎゃい父様に文句を言っているけれど、父様は私のおねだりでも駄目なものは駄目だときっぱり切り捨てるので、許可を出したなら大丈夫なのよ。


「さて、そうと決まれば皆を城外へ避難させる者とルーイ殿下を救出する為の人員に分けなければなりませんね」


「そうだな、しかしこの中で外に通じる穴がどこにあるのかわかる者はルーベンスと自分で動けずにいた救出した騎士達だけだからな」


 彼らを連れて脱出させるにしても護衛は必要だし、ルーイ殿下を救出する為には城内にいるだろう敵兵を躱して、または倒して行かなければならない。


 先に突入したソレイユ兄様達とその援護に向かったカイ達がどれだけ謀反を起こした貴族達を倒したのか分からないけれど、ルーイ殿下を救出する為にはそれなりの人数で挑まねばならない。


「ルーベンス、皆を城外へ避難させてから合流出来るか?」 


 陛下からの問いにルーベンスが頷く。


「できると思う、東の塔まで行けばいいんですよね? ついでに直ぐに医師に見せられるようにクリスティーナに準備をさせておきます」


 頼りなかった第三王子はもはや居ない……


 クリスティーナ様にしっかりと手綱を握られたわんこ王子がいるだけよ。

 

「リラ、許可が出ましたから一緒にルーイ殿下を迎えに行きましょう!」 

  

「はい!」


「いざ行かん!東の塔へ!」


 元気な返事をしたリラと父様、陛下とその他護衛騎士達と共に歩き始めた。

 

 

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