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三十二話『こんなデートも悪くない』

出版社様からコミカライズしていただけることになりましたのでご連絡いたします! 

また活動報告で読者様参加型コミカライズ企画を10月の15日まで開催中です!良ければ参加お待ちしておりまーす!

 二人で歩く街並みはやはり見慣れたローズウェル王国の建築物とは様式が異なるようで、異国情緒が漂う。


 ローズウェル王国は海に面していることもあり、海から吹き上げる潮風に耐えられるように外壁はレンガ造りになっている。


 石灰岩の石やレンガで外壁を造り、壁が崩れないように白い漆喰を厚塗りしているのがほとんどだ。

 

 屋根には艶々した暖色の瓦が敷き詰められており、嵐にも耐えられるようにしてある。


 一方で海とは距離があるレイス王国は木造と漆喰とレンガで外壁が作られており、レイナス王国とローズウェル王国の建築方法を混ぜたような建物だ。


 煉瓦を積んだ土台となる壁の上に立派な木製の柱を交差させるように組み上げ。柱と柱の間に色とりどりの漆喰の外壁が作られている。


 前世の記憶で、たしか有名な魔法とロボットのように動き回るお城が出てくるアニメ映画で見たような街並みは、見ていてとても面白い。


 カイと連れ添って散策を続けていたのだが、教会前の広場に立ち寄った際何か催し物でもしているのか人垣が出来ていた。


「カイ! 行ってみよう!」


「わかったわかったから、慌てるな! そんなに急ぐと」


 カイを振り返りながらはやくはやくと急かしながら小走りで移動していたのが悪かった。


 人混みから現れた分厚い壁、もとい教職者のローブを纏った巨人のような男性にぶつかってしまったのだ。


「きゃっ、すいません!」


 慌てて謝りカイのもとに戻ろうと踵を返したものの、私ものの見事に捕まりました、ごめんなさい。


「無礼者! この方をどなたと心得る! お前のような小娘が前を横切るどころか危害を加えるか!」


 手首を背中に回されてギリギリと捻り上げられ痛みに涙が滲む。


「リシャ!」


 幾人か隠れて付いてきていた護衛が殺気だった。


 それを見て、カイは動きを封じるように手で待機指示を出した。


「申し訳ございません、妻はなかなかこのような街に来る機会がなかったため、少々うかれてしまったようです、双太陽神教会の神父様でいらっしゃいますか?」 


「いかにもこのお方は双太陽神教会の大司教ヴゥラド様にあらせられる」


「まぁよい、今日は気分がいいでな、そのような田舎者の小娘など放っておけ」

 

「司教様がそうおっしゃるのであれば……」


 まるで私達の存在などなかったと言わんばかりに去っていく宗教家あらら、ちに心の中であっかんべーをおしてやる。


 田舎者ですか、たしかに普段着ないお忍び用のワンピースを着てますけど、これでも一応ローズウェル王国の公爵令嬢としての教養は学んできたんですぅ!


「ぶっふぁ! リシャ、思ったことが全て顔に出てるぞ」


 そう言ってカイは私の唇を人差し指でつついた。


「鳥みたいに唇が尖ってる、気持ちがわからないでもないがその顔は可愛すぎるぞ」


 クスクス笑われながら可愛いと言われても、嬉しくないもん!


「ほらこれでも食べて機嫌直せ」


 カイは持って来ていたショルダーバッグからごそごそと何かを探しだして素早く色とりどりの小さな粒が詰まった色ガラスの瓶を取り出して、中身を数粒取り出すと出すと瓶ごと私に渡してきた。


「なんで甘露飴持ってるのよっ、むぐっ!」


 口を開いた瞬間に狙いを定めて口へ甘露飴を突っ込まれる。

 

「それはレイナス王国を出る前に購入しておいたからだな」


 何事もなかったように開いた口にまた放り込まれ口を閉じる。


「レイナス王国の王都見物した時に気に入ったようだったからな」


 そう言ってカイは一つ自らの口の中に放り込んだ。


「しかし甘味は嫌いじゃないが、こうも甘いと喉が渇くな、飲み物の屋台がどこかで出ているだろうから移動しよう」


 差し出された大きな手に自分の少し小さな手をのせて、ゆっくりと歩き始める。


 こんなデートも悪くない。


 翌早朝、ローズウェル王国側からこの街に王家の使者が訪れたと言う情報を聞き、やっと母国へ帰還出来ると思っていたけれど、その使者が向かったのは私達の元ではなかった。


 

 

  


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