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二十九話『ちぐはぐな襲撃者』inカイザー視点

「カイザー殿下、フォルファー殿が天幕でお待ちです」 

 

「わかった、クラリーサ以外は決して馬車へ近づけるな」


「御意」

  

 リシャの看護をクラリーサに任せた俺はローズウェル王国から連れてきた護衛のなかでもリシャの身の安全については信頼出来る者達へ馬車を死守するように命令を出した。


 リシャの婚礼の際にダスティア公爵家から王太子妃の近衛へと志願した者達が数名、今回の新婚旅行に同行している。


 本来ならば王族の護衛には近衛騎士が警護につくのだが、流石宰相として辣腕を振るうダスティア公爵、自らの小飼の凄腕騎士を近衛騎士、それも王太子妃の専属としてねじ込んできた。 


 建国の英雄のひとりであり、その功績により初代ダスティア公爵となった人物へレイナス王家の姫君が嫁いでこられた。


 ダスティア公爵家はレイナス王国と縁戚と言うこともあるが、姫の輿入れの際に同行した騎士達の指導を積極的に取り入れたことでいまでは国内でも有数の戦力を保持している。


 その精鋭だけでなく、過去の長い戦乱時代を小国ながらに他国からの侵略から自国を守り通したレイナス王国の騎士達は戦闘技術において他国から一目おかれる存在となっている。


 ただの盗賊の奇襲だと思っていたが、ローズウェル王国の精鋭だけでなく、レイナス王国の騎士達すら手こずるほどに襲撃者達は手練れだった。


「フォルファー、賊の尋問はどうだった?」


 フォルファーが使用している簡易天幕へ入ると、持ち運びがしやすいように組み立てられる椅子にすわり、組み立て式の簡易テーブルにいつもの飄々とした表情をしかめさせてフォルファーが書類を睨み付けているようだった。


 昔は不揃いな大きさの高価な羊皮紙や木の板に文字を書き込んでいたが、リシャーナが作ったらしい『ハリセン』という武器の主原料となる植物紙と言うものが少しずつ市場に出始めている。


「残念ながら数名はとらえて直ぐに服毒自害されました」


「躊躇った様子は?」


「ありません、生きている賊達は自害した男達に金銭で富豪の商人の襲撃を依頼されていたようです。我々がローズウェル王国の王族であることも護衛にレイナス王国の騎士がついていたことも知らなかったと言っています」


「そうか、依頼した男達ついて何か覚えていることは無かったか? 自害したもの達の所持品は?」


「残念ながら所持品は残っておりませんでした」 

 

 捕らえられてから自害するまでの思いきりの良さも、捕虜となった際に自害出来るように準備していただろう致死毒、そのすべてが素人では無いことを証明している。


 情報を漏らさないように自害した襲撃者と自分の優勢を確信し、狙いは俺の命を奪うことだと得意気に語って見せた男。


 これほどまでに態度が違うのは一体どういう事なんだ?


 リシャの体調も気になるし、他国では……旅の間では守りを固めたくても限界がある。


「引き続き尋問はつづけてくれ、賊はレイナス王国の騎士に引き渡そう。 襲撃者の意図がはっきりしない以上これからも襲われる危険がある」


 俺の言葉にフォルファーはしっかりと頷き返した。


  

 

あとがき

リシャ「人はそれをフラグと言う……Zzz」

クラリーサ「あら、寝言ですか? なんでしょうフラグって?小さい頃から不思議な寝言ばかりですわね」


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