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美形王子が苦手な破天荒モブ令嬢は自分らしく生きていきたい!《コミカライズ完結!》  作者: 紅葉ももな
『悪役令嬢ってもしかしてこれのこといってます!?』
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101『婚約破棄のその後』

 さて学院生活に復帰して私はクリスティーナ様と一緒に婚約を破棄された女子生徒達で形成されている薔薇保護親衛隊の隊長であるサンセット侯爵家のマーサ様やあの騒ぎの犠牲者となった攻略対象者達の元婚約者の皆様とお茶会を開いていた。


 本格的な授業が始まる前にとマーサ様に声をかけたら、皆さん快く集まってくれたのには感謝しか出ない。


 円形のテーブルには色とりどりの可愛い焼き菓子やお花を愛でながらマーサ様の話を聞く。


 あの婚約破棄騒動は、私達が学院を去ったあとも暫く続いたようで、薔薇保護親衛隊の隊員十三名のうち六名が無事に婚約を破棄して新たな婚約を結んでいるらしい。


 良縁を結べた令嬢方から大変感謝された、掘り出し物の好物件な独身男性を見付けてきたのは父様や兄様達だけど、やっぱり家族が褒められるとうれしいね。


 あの婚約者達による裏切りとも言える騒動が被害者である彼女達にどのような心の傷を遺してしまったのではと心配だったけれど、にこやかに談笑する彼女達ならきっと大丈夫だろう。


「リシャーナ様が歓迎会でお召しになっておられた青いドレスとっても素敵でしたわ」


「白い礼装を纏ったカイザー殿下の隣に立たれると、まるで対人形のようでしたよね」


「そう? 私はアラン殿下と手を取り合い親密に躍り会うリシャーナ様の美しさに我を忘れてしまいましたわ」


「そうですわよね! あの色々な意味で難易度が高いダンスを蕩けるような笑みを浮かべて踊るアラン殿下の魅力に胸が高鳴りましたわ!」


 流行りのドレスやダンス等話題はつきないなか、なぜか話題はカイザー様とアラン様に。

  

 歓迎会の二人の姿を思い出しているのか、私とクリスティーナ様以外のご令嬢方がそれまで話していた内容を放棄してカイザー様とアラン様の魅力について熱い議論を交わしているようだった。


 手元にあるお菓子から一口大に丸められたドーナツのような菓子を摘まみ口へと運ぶ。


 どうやら生地に乾燥させた果物が練り込まれているようで凄く美味しい。 みんな食べないの?


「クリス! これ美味しいですよ!」


「まぁ、本当に美味しそうですね。 おひとつ頂きますね」


 私が勧めるとクリスティーナ様が白魚のように美しい手で銀のフォークを使ってドーナツを口へと運んだ。


 ついつい指で摘まんじゃったよ。 このクセとなりつつある摘まみ食いは、淑女としてはしたないので直さなくちゃとは思う。


「あの、リシャーナ様が歓迎会でお召しになっておられたドレスはカイザー殿下がお選びになられたとお噂を聞きましたが本当なのですか?」


 期待の視線で詰め寄られる。


「えぇ、確かに歓迎会ではドレスをお借りしましたけど」


「そっ、それではアラン殿下がリシャーナ様とのダンスの選曲をされたのは?」


「あー、そんなことを言っていたような気も……」


「「「キャー!」」」 


 私の回答にキャーキャーと盛り上がる薔薇保護親衛隊の皆様。 なんなの一体。


「クリス? 私何か変なこと言いました?」


「ふふふっ、皆美形の王子様達の話が好きなのですわ」


 ふぅーん、そうなんだ。 皆美形が好きだねぇ、正直美形に関わると祟りかと思えるくらい厄介事しか舞い込まないんだよね。


『カイザー様親衛隊の皆様もアラン殿下を応援し隊の皆様もここは静かにリシャーナ様の恋を応援致しましょう?』


 蛙って言われたり、辺境へ飛ばされたり、破落戸に絡まれたり、戦争に巻き込まれたり……。


『そうですわ。私達の恩人である大切なリシャーナ様を見初められた両殿下の女性を見る目は認めますが、リシャーナ様をお任せできる殿方かどうかは別ですわ!』


 あれ? 変だな、美形って言うよりもほとんどルーベンス絡みじゃない?


『私達薔薇保護親衛隊はリシャーナ様がどなたをお選びになるか、そしてどなたがリシャーナ様の心を射止められるか暖かく見守りましょう?』


『えぇ! それなら隊名も変えなければなりませんね!』


『そうですわよね! リシャーナ様を見守り隊?』


『いいえ! それでは不審がられてしまいますわ。 何かありませんかしら……何か……』


 遠い目をする私を余所にクリスティーナ様が薔薇保護親衛隊の皆様になにやら身振り手振りで話し込んでいる。


「ん? クリス、皆様どうかいたしました?」

 

「「「いいえ! なんでもありません」」」


「リシャ! こちらのフィナンシェも大変美味しいですわよ?」

 

「わぁ! 美味しそうですわね!」


 クリスティーナ様おすすめのフィナンシェにパクつきながら明日からの学院生活が心穏やかであることを切望するのであった。



 


 

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