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38話

 『やっと、やっとここまで来たよ……。今まで行ってきた試合数は全部で60。その中で見所があったのはたったの8試合……。でもぉ、残る試合はあと3試合! しかもここまで勝ち進んだのだから、それはもう見応えのある試合を僕たちに魅せてくれるに決まってるさぁ! と言うより、そういう試合をしてもらわないと僕の炭酸のストックが切れそうなんだよね』


 現在、15時45分。


 はい。二回戦は無事、何事も、一切無く終わりました。

 お約束のソラ無双です。まぁ、そんなことは置いといて……。


 二回戦が終わり、控室にあれだけいたドールロイドも、ソラを合わせて3体しかいない。あとはそのマスターと関係者ぐらいである。


 ……とは言っても、実際に試合に出るのは2体だけであり、残りの1体はと言うと。


 「おいリプル、まだはじまんないのか? いい加減まちくたびれたぞ」


 「エルム様、もうそろそろ始まりますのでお静かにお願いします」


 ……とまぁ、その1体はSランク相当の実力を持ち、6年連続で本大会に優勝しているドールロイド、シャリムだ。

 何故シャリムがここにいるのか。

 なに、簡単なことである。そこにシャリムのマスターの弟がおるじゃろ? 名前をエルムと言うんだが、ソラの1回戦が終わったあとにみんなで屋台を回っていたらそいつに見つかったのだ。

 まぁ、見つかって一緒に屋台を回ったのだが、何故か控室まで付いて行きたいとエルムが騒ぐのでここに連れてきたってわけなのだ。


 なんて説明してる間に、モニターに組み合わせが表示される。


 一試合目 99、97、426

 二試合目 147、500、22

 三試合目  333、51、9


 わお、いっぺんに出してきた。面倒くなったんだろうな、きっと。


 さて、このモニターを見る限りではソラは1試合目にやるみたいだ。

 426と99。

 99はよく分からない。2回戦を見ていたが、いつの間にか終わっていた。モニター越しでは何が起きたのかさっぱりであった。ローブを羽織っているところから何か小細工でもあるのだろうとは思う。

 逆に426はわかりやすかった。単純明快、ゴリッゴリのパワー型ドールロイドだ。

 なんというか、もう見た目がパワー型なんだよ。素体は他のドールロイドよりも一回り小さいく可愛らしいだが、その両腕がゴツい。

 入退場の時はそのゴツい両腕を引きずって来るのだ。萌えである。


 闘い方は己のパワーを活かした大胆なごり押しである。

 ありとあらゆる攻撃を己の拳でぶち壊していく……剣撃? なら剣を振らせなければいいじゃない。魔術式? なら発動させなければいいじゃない。

 え? どっちもダメだったら? そんなの決まってるじゃない、拳を突き出せばいいだけでしょ!


 こんな熱いセリフが聴こえてきそうな闘いっぷりだった。


 恐らく……いや、絶対にピエールのお目にかかっているハズだ。

 ……あ、いやどうだろうか。この子、2回戦の時にステージぶっ壊してるからからなぁ。


 まあいい、それより気をつけるべきなのはあの99番のドールロイドだ。

 種がわからない以上、下手に動けない。


 ……ソラだし大丈夫か。


 そうこうしているうちにどうやら試合の準備が整ったようだ。


 「まぁ、負けない程度に頑張ってね、ソラ」


 「はい、マスター」


 本当なら肩を叩きたいところなのだが、残念なことに届かないので仕方なく獣腕を叩いて活を入れる。

 もふもふとした毛並みがとても気持よかとです。


 俺の活を受けたソラはそのまま控室から試合場に向かう。


 「どれ、おてなみ拝見といこうか!」


 「……あー、そういえば2試合目のときエルムはトイレ行ってたもんね」


 そう、2回戦はエルムがトイレに行っている間に終わってしまったのだ。


 「フフン、ちゃんとおしっこは行ったからな。こんどはちゃんと見れるぞ!」


 腕を組んで得意気な顔をするエルム。

 そこまで誇らしげにされてもただただ可愛いだけなのでやめてほしい。

 いやウソ、もっとやっていいよ。


 『ほほ~、この組み合わせは……。みなさぁ~ん! 3回戦は最初からかなり見応えがある試合になりそうだよ! なんてったって、この僕が目をつけていた選手たちが固まっているんだからねぇ!

 ……まぁ、その後の2試合が心配だけど大事なのは今だよね!』


 試合場の中央でマイク片手にピエールが口を動かしてる間に3体のドールロイドが配置に着く。


 それを確認したピエールは宙返りをしながら大きく跳躍し、空中で着地する。

 物理術式を展開して足場を作っているのであろうか。試合中はいつもあそこにいる。

 安全に試合を見渡すならあそこがいいのかもしれない。


 『……リプル』


 「ん? どうしたマリル」


 くいくいっと服を引っ張りながら俺を呼ぶマリルの方を見る。

 眉をハの字にして、股を押さえながら太股をもじもじしている。

 あれ、これって……。


 『お、おしっこぉ……』


 ですよねー。そう来ると思ってました。


 「わかったよ、一緒に行こうか。

 すみませんシャリムさん。俺とマリル、トイレ行ってきますね」


 そう言いながら義足に魔力を込める。


 あっあっ、むっちゃ吸われる。


 「ぶはっ、おまえらトイレ行ってなかったのかよ! おれなんてちゃんとすまsって痛! なにすんだよシャリム!」


 「お静かにお願いしますエルム様。

 リプル様、マリル様、了解しました」


 頭を引っ叩かれて抗議するエルムを無視してシャリムはそう言った。


 『むっ、リプルいこ』


 「ちょ、引っ張るな。それじゃ行ってきます」


 手を引かれながら控室を出てトイレに向かった。

 あぁ、ソラの試合、観たかったなぁ。


 

いや決して、二回戦を書くのがだるかったわけじゃないですよ、甘えたわけではありません、えぇ。


何かありましたら気軽にコメント下さいな

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