2話
1年の月日とは早いものだね。
ここに生まれてから1年が過ぎた。今ではハイハイが出来るようになり、簡単な単語ぐらいは言えるようにはなった。
ママやパパ、それとおっぱ…おっと失礼。
とまぁ、そんな感じに元気良くすくすくと育っています。
この時期になると既に歩ける子もいるが…まぁ、個人差ってやつだから仕方ないか。
そんなことは置いといて…この1年で分かった事がある。
それは、術式というものが存在するという事だ。
この前、グレイズが怪我して帰ってきた時にシエルがその怪我に手を当てて口を動かしていた。その後、淡い緑色の光を発しながら傷口を塞いでいったのを見た。
その時にシエルが術式であると教えてくれたのだ。
術式…魔術とかそのへんなのかな?魔法みたいなものだとは思うが、まだまだよくわからん。
他にはこの家の事なのだが…2階建てのログハウスみたいなものだ。それに、周りは四方八方全部、木であった。おそらく森の中に建てたのだろう。すごいね!どうりでこの2人以外の人を見かけたことがないはずだ。
今のところはこんなもんかな。きちんと歩けるようになったら外とかを探検してみたいものだ…大丈夫だろう、最初は寝返りさえ打てなかったのに、匍匐前進のハイハイから今では四足歩行にまで進化した。これなら夢の二足歩行の実現が出来るだろう!
あぁ…楽しみだ。
★o:+゚+:o☆o:+゚+:o★o:+゚+:o☆o:+゚+:o★o:+゚+:o☆
やったね!歩けるようになったよ!!
…いやまぁ、2歳になればそりゃあ歩けるようにはなりますわ。
もちろん、母乳も卒業していますとも。
それに、最近は本を読むようになった。この家に7冊ぐらい置いてあったので読ませてもらっている。
今はその中の1冊の「術式について」と言う書物を読んでいるところだ。
おっと、邪魔をしないでくれたまえよ。今は読書の時間だからな。
………………………………………ふむ。
なるほど、なんとなくだが術式について分かったような気がする。
この書物によると、術式とはありとあらゆるモノが保持している【魔力】を糧として発生させるモノ。
術式の発生の仕方には主に2種あり、1つは【自己式】。もう1つが【限定式】である。
自己式は自分の意思で術式を発動させること。
限定式は特定の条件を満たしている場合のみ発動する、または自動的に発動してしまう術式のことである。
おそらく、前者が詠唱か何かで自発的に発動させるモノで、後者が必殺技とかそこらへんだろう。これは俺の個人的な考えだが、限定式の自動的に発動してしまうってのは、例えば一定数以上の力を加えると爆発する術式を埋め込んだ石があるとする。もちろん、その石は設定された以上の力を加えなければ、触っても唱えても握っても蹴っても投げても磨いても爆発はしない。しかし、その一定数以上の力を加えると…あぼん。って感じか。
次は…術式の種類か。
術式の種類は大きく分けて3つ。
1つ目は魔術式。
2つ目は武術式。
3つ目は契術式。
さらに、細かく分けると全部で11種類。
魔術式は火系、水系、風系、地系、天系、光系、闇系の7つ。武術式は身体系、精神系、物理系の3つ。契術式は召喚系のみ。
あと書物に載っているのは魔術式の火系、水系、風系と武術式の身体系と物理系の5つの使用方法だけだった。
もちろん、今から試してみるぜ。どうやら適性があるらしく、1回でできるものと何十回やってもできない種類がいるらしいが…俺は転生者だからな。
チート能力の1つや2つ持っているだろうしね…全部の術式に適性があったらりしてね!
…なんて思ってた時期が私にもありました。
実際に本に書いてある5つの術式を試してみた。
結果は武術式の身体系と物理系のみでありました!…(´;ω;`)ブワッ
僕、そんな肉体的なやつはいらんねん。本当は魔術つかってみたいねん!
こう、指を鳴らすと同時に炎を出してみたりとか?風の力で空を飛んでみたりとかしてみたいわけですよ!
あーもういいもんね〜怒っちゃったもんね。極めたるわ、武術式。完璧にしてやるからな!
…でも、まだ魔術式には4つあるわけだから、もしかしたら…ね?
と、ちょっと期待。
…それから8ヶ月過ぎた。
母親のシエルのお腹が大きくなっていた。かなり大きい。おそらく、あと1、2ヶ月したら臨月になるだろう。…楽しみだな〜。
でも、シエルが気になることを言ってたな。確か「まだ6ヶ月ぐらいしか経ってないのに…。」って。
まぁ、いいだろう。それよりもこの月日で俺は「術式について」と「武術式を学ぼう!基礎編」と「イヌガミ物語」の3冊を読破した。
武術式を学ぼう!基礎編は、武術式の3つの基礎的な使用方法がのっていた。もちろん、試してみたよ。…結果は、武術式は全部適性あり。
あとは魔術式の残り4つと契術式のみ。…正直、期待はしてない。武術式全部適性ありってわかった瞬間から限界を感じてしまったからね。
それと、もう1冊のイヌガミ物語というのは昔話みたいなものだ。
場面はとある村。その村にはイヌガミサマという化け物がいたらしく、いつも村を襲い村人たちを苦しめていたんだと。
ある時、村に一人の旅人がやって来た。その旅人はイヌガミサマの事を聞くと何を思ったのか、自分が退治すると言った。
早速、イヌガミサマを退治しに向かった旅人。そして旅人は苦戦をするもイヌガミサマを退治することに成功。村は平和になり、その村には旅人の銅像がたてられたそうだ。
めでたしめでたし。
…て、感じの話だ。
よくある昔話だね。
話は変わるが、武術式の身体系と物理系の効果がある程度分かった。おそらく、身体系は性能強化。物理系は追加強化だと思われる。
精神系はまだよく分からない、わかることは相手の神経や状態を刺激して様々な影響を与えるってことぐらいだ。
まだまだ試すことは多そうだ。
てかシエルのお腹、大きくなるのが早い気がする…気のせいかもしれないけど。
まぁ、おかげさまで夜のギシギシアンアンがここ2、3ヶ月聞こえなくなったのでぐっすりと寝れるようになったから良いんだけどね。
さてと…さっさと武術式をマスターしてやろうかな。